SkypeやFunderbeamに続くのは?エストニアのスタートアップ事情

 addlight journal 編集部

みなさんエストニアという国をご存知でしょうか?スタートアップ界隈での注目度が上がってきているマーケットのひとつなのです。

 エストニアは、バルト3国の一番北にあり、人口約130万人ほど、青森県と同じくらいの規模です。また、エストニアにはe-Residency(https://e-estonia.com)というプログラムがあります。国民がIDカードを持つことができ、カードひとつであらゆることが可能になるシステムです。

例えば、国民健康保険証、銀行口座のログイン、書類のデジタル署名、自宅からのオンライン投票、自分の医療記録へのアクセスなどに利用できます。それに、数分でオンラインビジネスを始めたり、5分以内に納税したり、プライベートビジネスをプラットフォームに接続して取引確認を行うことも可能です。

また、非在住者カードを発行すれば外国人であってもインターネット手続きのみでエストニアに会社を作ることが可能です。これほど会社を作りやすい国は珍しいと言えます。

スタートアップの発端、Skypeマフィアの存在

読者の皆さまの多くはご存知であるインターネット電話サービスのSkypeはどこで生まれたかご存知でしょうか?

そう、エストニアなのです。Skypeはローンチから2年経たずで(2005年頃)eBay2.6億ドルで売却。その後、eBayはマイクロソフトに8.5億ドルで売却しています。これを発端として、現在のエストニアのスタートアップ企業にはSkypeに携わっていた人が多くいます。そしてSkype出身の企業をSkypeマフィアと呼ばれているそうです。

(出典:http://skypemafia.com)

それではここで、Skype Mafiaのスタートアップを一部紹介したいと思います。

TransferWise 

TransferWiseは、2011年に創設された、P2P送金サービス。一般的な銀行と比較して、最大8倍安いコストで海外送金を実施することが出来ます。従来の国際送金との違って、別通貨に換金することをせず、換金手数料を抑えています。

Taxify 

2013年に設立されたTaxifyは、配車サービス。イメージはUberに近いが、世界で初めてmobile carrier billing(携帯キャリアからの支払い)が可能。20173月時点で、15の国と25のヨーロッパの都市でサービスが展開されています。南アフリカ、ケニア、ナイジェリアでは2017年のアプリランキングトップ2にランクインしています。

ブロックチェーン・スタートアップの登場

最近色々なところのニュースでも話題に上がったFunderbeamはご存知でしょうか?

Funderbeam は世界中の個人投資家とスタートアップのアーリーステージをつなぐサービスを提供しています。金融ハブであるロンドンにオフィスを置き、クロアチアのザグレブ証券取引所やスロベニアのリュブヤナ証券取引所と業務提携しており、既にヨーロッパ市場でのプレゼンスを確立しています。今年は、孫泰造氏率いるMistletoeと提携し(200万ユーロ(約2.4億円)調達)、アジア太平洋地域進出に進出する予定です。

なぜFunderbeamが注目されているのか

Funderbeamは当初、世界中のスタートアップと個人投資家の情報を収集・分析するサブスクリプション制のデータプラットフォームとして設立されましたが、今春、NASDAQなど既存の株式市場とはシステムを異にする世界初のオンラインマーケットプレイスを新たにローンチし、世界的な注目を浴びました。投資家となる人たちは、Funderbeamが収集した膨大なデータベースに裏打ちされたマーケット分析結果をもとに、自分が投資したい分野の動向を事前に学ぶことができるというサービスを提供しています。投資により出た利益の1%Funderbeamは徴収し、投資家は100ユーロから始めることができます。

まとめ

エストニアは国家がテクノロジーを主導する大変面白い国です。また、2014年にはヨーロッパで最も若い36歳の首相が誕生する(任期2014~2016)など、政府側も新世代としてテクノロジー革命を主導することに積極的です。今年5月に開催された、IT系スタートアップが集結するテックカンファレンスLatitude59では、大統領が登壇するなど、ITへの熱意が世界随一だと感じざるを得ません。

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