アジア発テックベンチャーを世界へ!韓国VC Future Playの野望

こんにちは。今回は韓国出身の起業家としてエグジットを経験し、その後グローバルに活動するVCであるFuturePlayを創業したJung-hee Ryu氏にインタビューしました。Jung-hee氏のスタートアップ業界における豊富な経験と知見に基づくお話はとても興味深いものがありました。

起業家としてインテルへのイグジットに成功

Jung-hee氏は韓国でもトップ大学のKAIST(韓国科学技術院)出身であり、大学院の頃から起業していたといいます。そして、2006年の創業以来、彼がCEOを務めていたARと画像認識の技術系スタートアップOlaworksが2012年に米国インテルに買収されます。買収後はJung-hee氏はインテル社内で技術系スタートアップの買収などに関わっていたそうですが、そこで買収対象となっていた数々のイスラエル企業を目の当たりにします。彼の目からみると、技術レベルではアジア企業も引けを取らないにも関わらず、アジア企業よりはるかに高い金額で買収されている現実に直面し、アジア企業のポテンシャルを最大限活用したいという思いから、FuturePlayを設立しました。

自身の経験をアジアスタートアップに注入したい

Future Playでは、ディープな技術系のスタートアップの投資に特化しており、多くの投資先を持っています。韓国以外にもアメリカやアジアにもその投資先は広がっています。

また、技術系スタートアップを創業するための技術を持った発明家(inventor)を抱え、Jung-hee氏のアメリカ企業への売却経験を踏まえ、アメリカ(デラウェア州)に最初から会社を設立し、アメリカ企業へのイグジットを目指している支援先ポートフォリオ企業もあるそうです。

加えて、techupというアクセラレーションプログラムも運営しています。一部の創業資金を提供し、6か月間のプログラムでMVP(Minimum Viable Productの略。検証に必要な最低限の機能を持った製品のこと)のブラッシュアップを進めるとのこと。現在もアクセラレーションプログラムへの参加企業をウェブサイト上で募集しています。

更には、最近では韓国系大企業と連携しての企業アクセラレーションプログラムも運営しており、韓国の財閥系大企業と技術系スタートアップとの掛け合わせで新たなイノベーション創造に取り組んでいるとの話を聞いて、弊社アドライトの取り組むオープンイノベーションの取り組みとも近いものを感じ、強く共感しました。

韓国のベンチャー生態系

韓国ベンチャー業界に詳しいJung-hee氏に、韓国のベンチャー生態系について質問してみました。まず、中心地は江南(カンナム)エリアとのことで、多くのベンチャー企業が集積しています。FuturePlayが入居するMARU180と呼ばれるインキュベーションビルや、Googleのアジア初となるGoogle Campus Seoulも、ここカンナムエリアにあります。さらには、K-Popと呼ばれるエンターテイメント企業や、その他美容系の会社などもカンナムには多く存在しているとのこと。その他には、成熟したベンチャー企業が多くシリコンバレーのpalo altoのような板橋(パンギョ)と呼ばれるエリアや、大学が多く学術都市となっている大田(テジョン)など、多様化も進んでいます。最近にはチェジュ島にもNexonの本社をはじめスタートアップもちらほら出てきているとお話してくれました。

先進的な韓国政府のベンチャー支援制度

韓国政府は、イスラエル政府のベンチャー支援制度を参考に独自の支援制度を積極的に運用しているとのことで、その代表的な取り組みがTIPSと呼ばれる制度とのことです。この制度は、認定された投資家(FuturePlayもこのTIPS認定投資家とのこと)がベンチャー企業に投資をすると、その7倍にあたる金額を韓国政府がそのベンチャー企業に資金提供するマッチングファンド制度とのこと。更には、政府の資金提供は投資ではなく、補助金として提供されるそうです。日本でも成長戦略の第三の矢として注目も高まっていますが、このようなマッチングファンド制度はまだ存在しないため、韓国政府のベンチャー支援制度はアジアでもかなり先進的といえます。

Future Playの未来

今後は、技術を持った韓国スタートアップのみならず、アジアの技術系スタートアップにも積極的に投資し支援していきたいと語ります。今回日本を訪れた目的も、そのような活動をアジア領域に更に拡大していくためのパートナー開拓とのこと。例えば、アメリカにいるアジア系(またはアメリカ系アジア人)がファウンダーのスタートアップは投資チャンスがあるそう。アジアというキーワードでグローバルに連携してゆくことによって、世界を席巻するようなアジア発の技術系スタートアップを数多く輩出してゆくことが使命と、今後の展望を熱く語ってくれました。

最後に

いかがでしたでしょうか。Jung-hee氏はスタートアップ経営者側の視点とスタートアップ支援者側の視点の両方を持っており、また、韓国やアジア圏にとどまらず、北米含めグローバルに幅広く活動されていることから、大変興味深いお話を聞くことができました。特にアジア系スタートアップが技術的には優れているものの、バリュエーションではイスラエル系スタートアップに劣っているお話をしてくれた時のJung-hee氏の悔しそうな表情が印象的でした。Jung-hee氏率いるFuturePlayからグローバルに活躍するスタートアップが出てくる日が待ち遠しいですね。弊社では、今後もFuturePlayと連携して最新情報をお伝えしていきますので、乞うご期待ください。

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