NPSの特徴と効果的な活用方法

addlight journal 編集部  addlight journal 編集部

「この前のアンケート結果で満足度が高いと出ていたね。順調そうだね!」

私が手掛けたサービスの顧客調査の結果は良好らしい。苦労を知っている同僚や上司は称賛の声をあげる。しかし、私の気持ちは浮かないままだ。顧客調査の結果は良いのに顧客数の伸びが物足りない。本当にサービスは満足されているのだろうか。

顧客満足度調査と商品の伸びが合わないという悩みは様々な場所で見られます。アンケートの設問でよく見られる「この商品に満足しましたか?」という質問だけでは顧客のロイヤルティを十分に測れていないのだろう。そこで、今回は顧客のロイヤルティを測る指標として、日本でも浸透しつつあるNPS(Net Promoter Score)について解説します。

NPSの特徴

NPSとは、企業がいかに自社の顧客を大切に扱っているか、顧客ロイヤルティをうまく生み出せているかを測定する新しい手法として、米国のコンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーのフレッド・ライクヘルド氏が提唱しました。

「0〜10点で表すとして、〇〇を友人や同僚に薦める可能性はどのぐらいありますか?」

企業のサービスを利用した際にこの質問を見かけたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。これはNPSを測定するための代表的な質問です。その商品・サービス・ブランド等を、どの程度友人や同僚へ薦めたいと思うかを聞くことで、回答者の企業に対する信頼度や愛着の度合いを測定します。これを指標化したものがNPSです。

NPSの測定方法はとてもシンプルです。上記の質問で9~10点を付けた顧客を「推奨者」、7~8点を「中立者」、0~6点を「批判者」と分類し、回答者全体に占める推奨者の割合(%)から、批判者の割合(%)を引くことで算出します。

NPSが注目された理由の一つに企業の業績と相関性が高いことが挙げられます。顧客満足度調査でも顧客が商品・サービス・ブランド等に満足しているかを調査しますが、あくまでもその時点で満足しているかどうかを測るだけです。その結果が業績に結びつくとは限りません。一方でNPSは「他人への推奨」という具体的な行動を取る顧客を対象としており、NPSのスコアが企業の業績と高い相関関係があることが調査より判明しています。

NPSと業績の関連性

下図は、NPSを共同開発したSatmetrixが発表しているNPSと収益成長率の相関を示すグラフです。米国の航空業界を対象とした調査で、各企業のNPSスコアと5年間の収益成長率の相関は相関係数「0.89」という結果でした。

出典: Satmetrix「Net Promoter Score: The Power Behind A Single Number」2014.01

統計学においては概ね相関係数が0.7以上あれば強い相関があると判断できますので0.89という数字は非常に信頼のおける数値です。

また、ベイン・アンド・カンパニーは、業界においてNPSのスコアでトップを走る企業は、競合他社の2倍の収益成長率を上げているという調査結果を発表しています。

出典:Bain&Company「 How the Net Promoter Score℠ Relates to Growth」

このようにNPSは業績との相関性が担保されているため、企業のKPI管理としても導入しやすい指標です。次はNPSを実際に導入する際のステップを見ていきます。

NPSの導入ステップ

  1. NPSの測定
    NPSで調査できる対象は様々です。会社全体の評価から、特定サービスのアフターケアまで。このように、目的に応じて調査を設計することができます。多くの場合、はじめに会社全体のNPSを測定します。その際にまず、顧客評価に大きな影響を与えている重要な要素を特定します。そして、個別の顧客接点や要素に関する満足度や推奨度を測定し、どの顧客体験を改善すれば効果が出るのかを分析します。
  1. NPSの分析
    NPS調査では、1.顧客の推奨度、2.推奨/非推奨の理由、3.要素別の満足度の3つを調査することが一般的です。NPSのスコア自体は顧客の推奨度によって算出されます。ただし、顧客体験の向上が目的であるため、推奨度を知るだけでは不十分です。そこで、推奨もしくは非推奨とする理由を定性的に分析するための設問として「その理由はなぜですか?」という質問。商品やサービスを構成する要素別の満足度を定量的に分析するための設問として「それぞれの要素の満足度はどのぐらいですか?」という質問を設定します。
    NPSの分析では、まず推奨/非推奨の理由から顧客ロイヤルティを構成している重要な要因を見つけ出します。これに加えて、要素別の満足度と推奨度の相関性から顧客評価に影響が大きい要素を見つけ出して、打ち手の優先順位をつけていくという分析作業を行います。
  1. 改善策の立案
    NPSの分析で改善すべき要素を定め、実際にどう変えていくのか改善策を立案し、実行に移します。新しい業務によってNPSがどのぐらい向上したかは再度NPSを調査して結果を分析することになります。この改善のループを回し続けることがNPSの導入において非常に重要な部分です。

マネジメントシステムとしてのNPS

ここまで見てきたように、NPSは単にスコアを調べて顧客のロイヤルティを測るだけの指標ではありません。NPSを分析し、改善策を立案する。そして、実際に業務を変え、よりよい顧客体験を生み出していくマネジメントシステムとして機能させることがこの指標の本来の使い方です。そのため、経営層がしっかりとNPSを理解し、短期的な取り組みではなく長期的な企業文化の変革として取り組むことが求められます。導入のハードルは高いかもしれませんが、NPSが機能し、顧客からのフィードバックを意思決定に組み込むことができれば、大きな成果が期待できます。顧客満足度調査の代用ではなく、業務のあり方を抜本的に変えて顧客志向の組織を作り上げていくためのツールとしてNPSを活用してみてください。

弊社の支援事例

弊社アドライトでは、業務効率化による利益率の改善と顧客満足度の維持・向上を目指すクライアントに対して、NPSを活用したKPI管理の提案及び導入支援を行った実績があります。このケースでは顧客満足度に強みを持つクライアントが、業務効率化によって利益率改善を図りたい。しかし、提供業務を削減することで顧客満足度が低下する可能性があるという課題を抱えていました。これに対してNPSをKPIとして採用することで、業務効率化による顧客満足度の低下を最小限に抑えつつ、利益率を改善することができ、将来的なNPS向上による売上増加も期待できます。

ご興味おありの方はお気軽にお問い合わせください。

※Net Promoter®およびNPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。