中国の秋葉原「華強北」で感じた深センのモノづくり文化

 addlight journal 編集部

深センのイノベーション醸成を支えるのは、大手電機メーカーKONKAが手がける「Konka Star」や、中国テックジャイアントの一角・Tencentによる「衆創空間」をはじめとしたインキュベーション施設だけではない。「華僑北」のような世界最大級の電気屋街も含まれる。

まず驚くのはそのスケールだ。深センの秋葉原とも呼ばれる華北強だが、実際には秋葉原を凌駕するほどの街と言える。華北強で存在感を放つ「華強電子世界」は1号館と2号館で構成されている。地下鉄の駅から出てすぐに見えるのが2号館で、混沌というより様々な製品が売られているという印象を受けた。1階にはLenovoやHuaweiなど有名メーカーのPCが売られており、さながら家電量販店のよう。2階以上はVRヘッドセット、スマートウォッチ、ロボット、電子楽器などバラエティに富んだ商品が置かれていた。

巨大な市場―売ってるものは電子パーツで支払いは微信支付

華強電子世界の1号館はまさに混沌とした世界である。アジアの市場を彷彿させる店構えにに電子パーツが並べられているといった感じだ。1つのデバイスを制作するために必要な物がすべて揃っているといっても過言ではない。各店舗にはバッテリーや各種ケーブル、スマホ表面のガラスや基盤などが積み重なっている。 

支払いはもちろんWeChatPayやAlipayに対応しており、店先にQRコードが掲示されている。

ドローンにセグウェイ

2階には部品を売っている店の他にドローンやバッテリーに加え、電動移動機器を扱っている店舗もあった。中国のドローンというと民生用ドローン最大手のDJIが有名だが、飛ばすことが目的のラジコン機能だけを持つものからGPS機能やカメラが付いている本格的なものまで、さまざまな形のドローンが取り扱われていた。

華強電子世界の外では自走可能なドローンのデモが行われており、2階では耐久性の高い小型GPSカメラ付きドローンを店員が飛ばしていた。[SMAOと全く同じものだったが、300元(日本円でおよそ5,000円)という安さ]

またセグウェイのようなものや、電動スケートボードなども販売しており、見ているだけでも楽しめる。(見つけることはできなかったが電動一輪車というものも売っているらしい)

前日の深センスタートアップ訪問の際に訪れたBoltPowerのバッテリーを取り扱っている店もあった。(本物の製品かどうかは不明)

スマートフォンも数多く並ぶ

華強電子世界の向かい側にはスマートフォンを取り扱う店が並ぶ。怪しいほどにAppleのロゴが並んでいるが、どうやら画面修理なども受け付けているようだ。Appleの他にはOppoやSAMSUNGといったメーカーの名前が並ぶ。”山寨機”と呼ばれる所謂ニセモノスマホも多く並ぶので購入の際には気を付けなければならない。

縦に配置された特徴的なデュアルレンズ。 iPhoneのフォントと音量ボタンの出っ張りがやや気になる…

縦に配置された特徴的なデュアルレンズ。 iPhoneのフォントと音量ボタンの出っ張りがやや気になる…

特に多く並んでいたのは”iPhone”だったが、こちらもやはり本物なのかどうかは判別しがたい。(本物かどうかは不明だが、遠目にはほとんどのものが本物に見えるほどのできだった)稀に機体背面のiPhoneのフォントが違うという気合いの入った機種もあったが、おおよその出来は本物同然と言えるのではないだろうか。

時間の制約がありじっくりと見学ができたわけではなかったが、ハードウェアスタートアップが次々と登場している理由は一目瞭然だった。たしかに未だに深センの街に”ニセモノ”が紛れ込んでいるというのは間違いないだろう。しかし、こうした背景がハードウェア開発力を急激に成長させていることにも目を向けなくてはならない。深センがハードウェアのシリコンバレーに上り詰めた背景には、華強北のようなモノづくりを加速させる市場のおかげなのだろう。

華強北も中国・深センのエネルギーを十分に感じることのできる場所だった。

日本でフィルムコンデンサやフォトトランジスタといった専用部品を揃えるとなると秋葉原をさまようか、ラズパイの代理店として有名なRSコンポーネンツあたりで見つけることになるだろう。