定量(KPI)管理によるプロジェクトマネジメント

 addlight journal 編集部

プロジェクトマネジメントのための定量(KPI)管理の4ステップ

プロジェクトマネジメントにあたり、以下の4ステップにそって定量(KPI)管理を進めることができます。ここでKPIとはKey Performance Indicatorsの略であり、重要業績評価指標と訳されます。組織の目標達成の度合いを定義するための補助となる数値化された計量基準群です。これはプロジェクトマネジメントの世界でも、定量管理を行う上での指標になります。

STEP1.定量管理の目的の設定と共有
はじめに、定量管理を行いプロジェクトのステイタスおよびプロセスを定量的に可視化することの目的を設定し、それをプロジェクトメンバー間で共有します。ここで、一般的に定量管理の目的は、プロジェクトの現状を数値化して把握し、目標との差を客観的かつタイムリーに把握することにあります。そして、定量管理を行うことにより、それを共通言語にしてプロジェクトの目標や価値観、優先順位を明確に共有することができます。

そして、プロジェクト目標の実現のために、そもそも定量管理によるプロジェクトマネジメントを行う動機付けを行います。その際に、インセンティブや罰則ルールなど、「飴と鞭」を効果的に組み合わせることにより、実効性の高い定量管理が可能になります。

STEP2.定量管理項目の選定と目標数値の決定
次に、定量的に管理する項目(KPI)を設定します。ここで、KPI指標は、複雑化させすぎずに、プロジェクトの目標につながるものをシンプルに厳選して絞り込むことが肝要です。

その際のKPI には大きく分けて二種類あります。ひとつが、結果としてのKPI(結果指標)であり、プロジェクトの活動の結果としての指標になります。KGI(Key Goal Indicator)と呼ばれることもあります。もうひとつが、プロセスとしてのKPI(プロセス指標)であり、プロジェクトの活動のプロセスとして測定可能な指標です。

例えば、新規案件獲得のための営業プロジェクトを考えてみましょう。結果指標は、営業の活動の結果を測る指標であり、受注件数、受注額、受注確度別の顧客数、 Web経由の問い合わせ件数などが挙げられます。プロセス指標は、営業の各プロセスで生じる活動そのものを測るための指標で、例としては電話コール件数、訪問件数、会社案内実施件数、見積提示件数、提案書提示件数などが挙げられます。この両者を区別しながら組み合わせて定量管理を行うことにより、より精度の高いプロジェクトマネジメントが可能です。

KPI設定の際の注意点としては、目標と実績の差異からアクションプランが立てやすい指標を選ぶことも大切です。さらには、指標選定の際に、差異が発生した際のアクションプランを想定しておくことが望ましいと言えます。

STEP3.定量管理のための運用の設計
前STEPで設定したKPIについて、各KPI指標の実績データを収集する方法や、そのKPIをモニタリングするための帳票フォーマットや確認方法などを事前に定めておくことにより、関係者間で齟齬なく効果的なモニタリングを行うことができます。

目標と実績の差異を客観的かつ正確に定点観測できるルーティーンを業務として確立することにより、定量管理の効果を最大限に得られることができます。目標と実績の差異から生まれるアクションプランについても、その後のフォローアップを会議等で定期的かつ網羅的に実施することにより、アクションプランのメンバー間での共有及び進捗確認が可能になります。図でまとめると次表のようになります。

STEP4.定量管理の試行と実運用
最後に、定量管理を適切に運用するため、まずはトライアル期間を設けKPI指標による定量管理を試行しPDCAによる改善を進めます。そして、運用方法を定着させるために、属属人性を排した運用ルールにより、試行期間を通じてプロジェクトメンバーへの浸透を行います。

定量管理の運用が安定的に行えるようになった後は、各KPI指標の目標と実績の差異から生まれるアクションプランを的確に実行してゆくことにより、プロジェクトを目標へ近づけるためのプロジェクトマネジメントを実行することができるのです。

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