【香港スタートアップ事情】ARを幅広い業界/サービスに展開するRedspots Creative

 addlight journal 編集部

こんにちは。今回ご紹介するスタートアップは、ポケモンGOでたちまち有名になったARを使ったソリューションを10年前から幅広い分野で展開してきたRedspots Creativeです。CEOのKevin Lee氏とお会いし、彼らが手掛けたアプリのデモや今後の展開についてなど色々なお話をしていただきました。

元TV局プロデューサーがスタートアップ業界へ

Kevin氏は、元TVB(日本でいうところのNHK)の元プロデューサーで、テレビドラマを初めとして様々な番組をプロデュースしてきたそうです。その当時、テレビ業界は成熟していて文化も古いことを感じたKevin氏は、もっと新しく面白いことは仕掛けていくために、ご自身の会社を中国・北京に設立しました。現地では業界初となるインターネットテレビを立ち上げて約1年後に会社を売却。その後、Redspots Creativeを設立し、現在では、香港、中国、台湾、マカオに拠点を持ち、40名強のメンバーとARを主軸としたサービス展開を行っています。

ARブームに先駆けて色々なサービスを世に輩出してきた

Kevin氏が最初に手掛けたARアプリは、なんと日本の顧客向けで、アニメキャラクターがスマートフォンの中でダンスをするものだったそうです。なんだかご縁を感じます。Kevin氏は、その場でいくつデモしてくれました。

 

まず見せてくれたのが、専用のスマホアプリを写真にかざすと写真に写った人が話すというもの。その写真には、中年夫婦の結婚記念日パーティー向けに作られたもののようで、「私たちのパーティーへようこそ!楽しい夜にしてくださいね!」といったメッセージを話しだす。パーティーに参加された方は写真をとってWeChat(中国のメッセージングアプリ)やSNSでシェアをして楽しんでいたそうです。これを手掛けたのが、10年弱も前のことには驚きです。

カードから浮き上がりメッセージを喋るご夫婦

その次は、トランスフォーマーのキャンペーンアプリ。トレーディングカードに専用のスマホアプリをかざすと、例えばオプティマスプライム(トランスフォーマーのキャラクター)が浮き上がります。画面のアクションボタンをタップすると、オプティマスプライムが攻撃をするといったものでした。こちらは、トランスフォーマーのライセンスを正式に取得してタイアップし、30周年キャンペーンとして行ったそうです。実際のキャラクターが目の前で戦っているのですから、子供やファンは大喜びであったこと間違いないですね。

カードから浮き上がるトランスフォーマーのキャラクター

こちらは、アニメ向けのARアプリ。アニメキャラクターにかざすと歌ったりダンスをしたりします。これだけであれば普通ですが、明らかにダンスの動きがスムーズ。この理由は、モーション認識を活用して実際のダンサーに踊ってもらったものを適用しているからだそうです。元TVプロデューサーだからこそこういった発想や実装ができるのですね。

踊りだすアニメキャラクター

これらはほんの一例に過ぎませんが、それ以外にも色々なARアプリをリリースしてきた同社では、当初他社のARアプリ開発エンジンを利用していましたが、実績が増えるにつれてノウハウも蓄積してきたことから自社独自のARエンジンを開発しました。その背景には、もっと大きな野望が隠されていました。

 

ARをもっと世の中に広げていきたい

「ポケモンGOが世界的ヒットになったことでARの認知度は急上昇したものの、まだ普及してきたとは言いがたい状況なのでもっと色んな人に使ってもらう仕組みを作りたい」と語ったKevin氏。現状のARアプリはそれぞれ独立したアプリなので、企画・開発やプロモーションにを毎回行う必要がありお金と時間がかかる課題を指摘されました。この問題を解決し普及を加速すべく、同社ではプログラミングのスキルがないエンドユーザーでも簡単にARコンテンツをアプリ化できるプラットフォームの開発を進めています。現状だとARアプリを開発するにはSDK(ソフトウェア開発キット)を利用しプログラマーがコーディングをしていく必要がありますが、このプラットフォームを利用することで、誰でも気軽にARの世界を堪能できるようになります。既に中国ではローンチをしておりもっと使い勝手がよく品質が高いものにするため絶賛改良中のようです。

同社ではAR以外にも、音声認識やモーション認識といったテクノロジーを利用して最先端なサービスを政府や民間企業向けにも行っているそうです。Confidentialということでこちらに記載することできませんが、Kevin氏とのインタビューでは色んなアイディア交換ができてとてもエキサイティングな時間となりました。

日本市場におけるARの発展にも着目しているKevin氏は、ぜひ日本のクライアントともまた面白い仕組みをやりたい!と言ってくれました。ご興味ありましたら、ぜひこちらからお気軽にご連絡ください!