RPA、AI、IoT―加速する自動化シフトで近い未来に起きること

 addlight journal 編集部

日本では職場の自動化が急速に進んでいる。ありふれたものはこれまでにないほど自動化製品やサービスにアウトソーシングされている。これらの変化を先導しているのはAIやロボティクス、機械学習やIoT、そして自動化ソフトウェアのような次世代型テクノロジーに影響を与える新時代のイノベーター達だ。

企業における合理化、職場の生産性の向上、そしてコスト削減。さらに、繰り返しで達成感のない仕事から創造的で有意義な仕事へと人々は解放された。

オフィスから接客まで 日本で広がる自動化事例

これは、少子高齢化、生産性改善の流れによるところが大きい。そのため、多くの小売業の自動化技術やロボットによる業務自動化(RPA)、ソフトウェアロボットやAI“労働者”が様々な問題を改善することに期待が高まっている。次世代のテクノロジーを開発し直面する膨大なビジネスの機会を探究するスタートアップとパートナーを結んだ企業は、社会問題に加えて日本の職場問題解決にも取り組んでいる。

アヤドロイドは東京を拠点とするスタートアップ、株式会社UsideUによって作られたAI使用可能なコラボレーションロボットだ。コボットは小売の衝突を避けるために作られた。

アヤドロイドは東京を拠点とするスタートアップ、株式会社UsideUによって作られたAI使用可能なコラボレーションロボットだ。コボットは小売の衝突を避けるために作られた。写真:株式会社UsideU 代表取締役・高岡淳二氏

東京を拠点とする自動化スタートアップ株式会社UsideUは、「アヤドロイド」というAI が組み込まれたコラボレーションロボットを生み出した。ユーザーの総合的な経験を強化する一方で、小売過程での衝突を減らすために、顧客との交流からのフィードバックを使う小売指導プロジェクトだ。

一方で、IoTエコシステム会社、IoT職場ソリューションプロバイダーの株式会社ウフルは、イギリスを拠点とするArm株式会社と協力し、IoTツールを用いてワークスタイルリフォームプラットフォームに挑戦している。

この実証実験の地、和歌山県白浜町でモバイルワークに関するソリューションに関する研究を進めることで、このプラットフォームは効率や会社のボトムラインを上げながら、従業員が遠隔地で働くことだけではなく、健康や幸福状態そしてエンゲージメントを向上させることを可能にするだろう。

企業の再起にもPRA

三井住友フィナンシャルグループ(以下、SMFG)、三菱UFJフィナンシャルグループ(以下、MUFG)そして、みずほフィナンシャルグループ(以下、みずほ)はRPAを用いて労働者やコストの削減を進めている。

2017年、従業員にRPAの使用方法を教育するのと同時に、顧客の投資や資産データを内部で収集・配布する作業の自動化を含むRPAの履行が三井住友フィナンシャルグループ、三井住友銀行で始まった。MUFGやみずほも同様に、常時人が行う業務を自動化するべく、銀行部門にRPA戦略を実施している。

例えば、みずほが会計年度2018年度の暮れまでに100の仕事の自動化を目指す一方、MUFGは会計年度2018年から6年間でRPAをおよそ2000の業務(銀行内取引や国際送金など)で用いる計画を立てている。

RPAはここまで進化

4月6日、株式会社アドライトが主催した「Japan Tech Leaders Summit 2018 Sping(以下、JTLS)にイギリスの最先端AIスタートアップの一つ、re:inferRPAホールディングス株式会社を含む、AIや自動化を先導する世界中のスタートアップが集結。自動化の今と未来について語った。

冒頭でも触れたが、オフィスワークは自動化にシフトしつつある。RPAホールディングスの提供するソリューションは3段階に分けられる。

パネル「The Future of Workplace Automation Businesses」に登壇した、RPAホールディングス株式会社 代表取締役・高橋知道氏

パネル「The Future of Workplace Automation Businesses」に登壇した、RPAホールディングス株式会社 代表取締役・高橋知道氏

1st ステージはコピー&ペースト、ネットから情報を検索・回収またはレポートの作成などのルーティンワークだ。RPAはすでに10年前からフォローできるようになっているという。2nd ステージはコグニティブ・テクノロジー(認識技術)。新聞を読んだり、人の声を認識したりすることができるもの、そして3rdステージが同社がチャレンジしているという次世代AI。

執筆時点で、同企業のRPAサービス「Bizrobo!」はおよそ400の企業と30のスタートアップで使用され、現行のサービスで数万ものロボットで自動化している。

エンタープライズ・インテリジェンス

re:inferも自動化の成長に拍車をかけている。GoogleのDeepMindといった企業を生み出したことで有名なユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのAI研究所で誕生しましており、「『機か会が商業会話を理解できるようにする』という目標を掲げています」と話すのは、税務署長・Stephen Mackintosh氏。ほとんどのエンタープライズのサービス業は文字やイメージを含む大きく非構造的なデータの塊上に成り立っているとも述べた。

次世代のテクノロジーを活用し職場問題解決を試みる日本のスタートアップ

企業 技術 実施内容
HEROZ株式会社 機械学習、深層学習、HEROZ Kishin:AI有効ツール(AI-enabled tool) HEROZ Kishinが株式価格予想するファイナンス分野で使用されるスマートフォンやゲームアプリ
パークシャ・テクノロジー AI、アルゴリズム文章分析、自然言語処理、画像認識 など トヨタ、NTTドコモ、と自動運転車やコネクテッド・カーのためのきAI分野での協力
株式会社Preferred Networks 機械学習&深層学習、ロボティクス、物体認識・制御 交通(自動運転車)、バイオヘルスケア(医用画像分析、診断技術)、製造(ロボティクスや工作機械)
株式会社Abeja クラウド・コンピューティングインフラストラクチャー、IoT、AI、深層学習、ネットワーク、ビッグデータ分析 Abeja Platform(AI実装プラットフォーム)Abeja Insight(小売り、流通、製造、インフラ産業)

技術は本質的に機械学習技術を使って大規模に内外部の企業データを採掘する。「私たちは顧客やオペレーション・チームで使用している電話、Eメール、チャットなどの非構造的な通信回線をリアルタイムで機械可読な構造的なものにしているのです」

これらはグラフィックユーザーインターフェイスという形で分類分けされ、ノンテクニカルユーザーに共有される。これより、顧客は現行の効果をモニターし、行動を起こすことができるのだという。コンテント・マネジメントシステム、RPAのようなダウンストリームの自動化や顧客関係管理事項がアクセスできることがその成果である。

Ascent Roboticsのリサーチサイエンティスト・Anthony DeCostanzo氏によると、東京に拠点を置くアセントロボティクス(以下、アセント)のようなスタートアップも自動化の新しいソリューションを見つけようとしているという。氏はAIやRPAのエキスパートでもあり、「これらの分野は違うように見えますが、実は多くの共通点を持っています」と話す。

左から:ロンドン拠点のAIスタートアップ・re:infer Stephen Mackintosh氏、株式会社アドライト 原田孝一、東京拠点のスタートアップ アセント・ロボティクス Anthony DeCostanzo氏、RPAホールディングス株式会社・高橋知道氏のディスカッションの様子

左から、ロンドン拠点のAIスタートアップ・re:infer Stephen Mackintosh氏、株式会社アドライト 原田孝一、東京拠点のスタートアップ アセント・ロボティクス Anthony DeCostanzo氏、RPAホールディングス株式会社・高橋知道氏のディスカッションの様子

それぞれの研究分野が持つ問題には多少違いがあるかもしれない。しかし、両者とも人間活動を真似した知能機械を創造するという本質的に極めて類似している問題に挑んでいる。

「AIの研究者たちは実際に次世代のRPAになるようなアルゴリズムを生み出しています」

「Ascent, among others in the AI community, is investigating imitation learning that will enable cars, and robots to behave autonomously. The methods we create will filter into RPA.(アセントを含めAIの研究者たちは自動運転やロボットの開発に役立てるために模倣学習を研究しています。そのような手法はRPAにも役立つでしょう)」

AIが映像・音声認識、自然言語処理、そして音声の発生など膨大な分野において大きく前進をしているのを感じるとDeCostanzo氏は言う。そして、そうした技術の実装はRPA製品やサービスの更なる進化へと導いている。

「人間と機械の対話に重きを置き始める企業や、私たちが開発している最新式のアルゴリズムを活かせる企業が今後、出てくると私は思います」

自動化への投資

このように自動化技術は目覚ましく前進しており、職場での自動化も諸手を挙げて歓迎されている。2017年、The Future of Workの調査によると、10人中7人の上級幹部は将来、「労働者」という言葉が人間と知能機械両方を意味するだろうと予想した。加えて、88%の幹部が機械と共に働くことに対して問題がないだろうとも回答している。

経営陣は自らの発言を実行し裏付けている。例えば、非製造会社は今年3月までに2009年以来最大の約2.4兆円をソフトウェアに投資する計画を立てていた。2019年には特にソフトウェア開発部門で日本のIT投資が約9%上昇することが見込まれている。

「そんなに驚くことではないのです」——re:infer のMackintosh氏は未来の職に対する質問での答えがすべてを物語っていた。

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