採用しても人が定着しない会社に見られがちな4つのミス

 addlight journal 編集部
起業家のための急成長ベンチャー企業におけるHR戦略(Fin Book Camp #8)

「Fin Book Camp」は、株式会社アドライトが主催する、起業家のための資金調達や資本政策等ベンチャーファイナンス全般に関するテーマを題材にした勉強会シリーズです。第8回目となる今回は、少し別の角度から企業の成長を考えるべく、「急成長ベンチャー企業におけるHR戦略」をテーマに河合聡一郎氏が登壇。

河合聡一郎氏

河合聡一郎氏

河合氏は、ビズリーチやラクスルをはじめとする数々のスタートアップの創業期の採用を一手に担ってきた人物。一方で、同時に複数社のインターネットベンチャーの創業や、ハンズオンでの組織創りの支援を行い、2社のIPOにも貢献。その後、2017年5月にHR系Webサービス開発から企業投資、組織・採用コンサルティングを提供する株式会社ReBoostを創業。HR系のメディア・BizHintへの寄稿記事「スタートアップ創業者が全力で探すべきは、こんな人材」が大きな反響を呼んだのが記憶に新しいところ。

「この仕事や成果が似ている」を基準に採用を

「スタートアップが特に採用を頑張らなくてはならないフェーズは大きく分けて2回あります。1つめは、プロダクトやサービスの方向性が見えてきて、収益化が進み、世の中に一気に勝負をかけていこうとするタイミング。とにかくプロダクトを広げていくための強い組織創りをしていくことを最優先にすることが求められます。2つめは大型の資金調達などが完了したり、更に数年後を見据えて組織の総合力を高めていくフェーズ。一方、採用の質を高めることに注力しなくてはなりません」と切り出した河合氏。フェーズ毎に適切な人材を採用し組織を作り上げるために欠かせないのが「事業理解」「採用戦略立案力」「採用実行力」の3つのステップ。

組織戦略のための3つのステップ

「まず、事業の本質的な価値の源泉とそれを支える人的資源を考えなくてはなりません。半年後、1年後といった少し先を見ておき、その時には自分たちのビジネスがどのようになっていて、それを実現する為にはどのような人材が必要なのかを考えていきます。単に人を積み上げて組織を作るのではなく、組織の“ハコ”に優先順位を付けて、そこに人材を当てはめていくという逆斬的な考え方が必要になってきます。そのためには、現状の組織の状態がどうで、本来どうあるべきかを理解しなくてはならず、ここを考えずに採用していくと組織運用がうまくいかず、結果として、会社の生産性は落ちます」

採用する人材像と経営戦略、そして組織戦略は、常にPDCAをまわしていくもの。コツとしては、募集職種の成果定義・ビジネスモデルや業務理解・適切な人材要件定義から考えるといいそう。あるベンチャーで、採用のサポートを行うアシスタントを採用する時に、「日程調整をたくさんおこなう仕事」「オペレーション能力がある」「ホスピタリティのある対応をする」という観点から、星野リゾートのフロントスタッフを採用した例を挙げました。「業種は違えどこの仕事は似ている、成果が似ているという視点が必要」と説きました。

採用ギャップは面接で伝えきれていないことで発生しがち

では、採用ギャップはどんなことが要因で起きてしまうのか。せっかく採用したにもかかわらず短期間で辞めてしまったり、会社のカルチャーfit含めて、組織創りの観点から合わなかったりするのは、だれもが不幸なこと。その際起きがちなものが「4M」という4つのミスといいます。

採用における大事なポイント

1.Miss Hiring(採用ミス):採用のスケジュールやオファー内容など、相手側が主導での都合に合わせて採用した際に起こりがち
2.Miss Evaluation(面談での評価ミス):面談の評価がずれ、結果、入社前の期待値のギャップから起こりがち
3.Miss Assignment(仕事の任せ方のミス)
4.Miss Development(教育方針のミス)

特に2つめの「Miss Evaluation(面談での評価ミス)」は面談中に「期待値の整理」について伝えていないことが大きいといいます。同じポジションや職種でどんな成果を上げられるのかを共有したり、入社後やってもらいたい仕事ベースで質問をしていったりすると、レジュメでは見えないその人の仕事の進め方やスタンスが見えてくるそうです。こうして適切な評価で採用された人材を適切な場所に配置することで、Miss Assignment(仕事の任せ方のミス)も少なくなるとのこと。

河合聡一郎氏

最後に河合氏はこうした評価の軸が定まったとして、「どのように人を集めるべきか」に触れました。「ダイレクトリクルーティング」「リファラルリクルーティング」「採用広報」「エージェントを介したリクルーティング」等の手法がありますが、共通して気を付けるべき点は「採用側と候補者の間のギャップを埋める」ということ。「採用環境において自社はどのように位置づけられており、どのように候補者から見たときに、グルーピング、いわゆるどの様なフェーズや業界の会社と一緒にされているのか確認しないと、実際に採用したい人材が自社を見てくれるのかどうかがわからなくなってしまう(河合氏)」

オーディエンスから積極的な質問が飛び交う

講演後、会場から「どれくらいの割合を人材や組織創りに割り振るべきなのか」「ニッチな分野を攻める際、どのように人材を探すべきなのか」「協業メンバーとビジョンがずれている気がするがどうすればいいか」といった質問が矢継ぎ早にあがりました。「人事制度や評価制度は会社がある程度安定しているときにやったほうがいいです。自分たちのビジネスの収益性も考えて人件費を考慮した方が良いと、現在はアドバイスもしています」等、具体的に指南していました。

採用はイーブン。互いが選び、選ばれる。上記を心得ておくことで、よりよい人材獲得・育成につながるのかもしれません。