マレーシア政府主導のイノベーション「MaGIC」とは?

MaGIC

こんにちは。addlight journal編集部です。今回、マレーシア政府主導の取り組み事例として、同国財務省直属のイノベーションセンター「MaGIC(Malaysian Global Innovation and Creativity Centre)(以下、MaGIC)」について紹介したいと思います。

MaGIC設立・ナジブ首相の狙い

その前に、みなさんはマレーシアのナジブ首相についてご存知でしょうか。クアラルンプールをイスラム金融の中心地とすべく、国際金融地区「トゥン・ラザク・エクスチェンジ(TX)」の建設を行うといった取り組みで知られており、マレーシアの産業高度化を積極的に推進している人物です。ナジブ首相は、オバマ元・合衆国大統領とも親密な関係を築いており、約半世紀ぶりの現職大統領の訪問を実現させるなど、積極的な対米外交も行っています。彼ら主導のもと、マレーシア財務省直属のイノベーションセンターとして設立された機関がMaGIC。

MaGICのプログラムとイベント

MaGICはスタートアップの成長を加速するためのアクセラレーション・プログラムやネットワーキング・イベント、アカデミック・セッションなど多様な活動を展開しています。特筆すべきは「GAP(Global Acceleration Programを)」という、最大80チームのスタートアップを4ヶ月間かけてピッチが行えるレベルまで成長させるというアクセラレーション・プログラムです。最新の2017年のバッチには、現在世界17か国から57のチームが参加しています。プログラム自体はトレンドの理解やビジネスプランの構成、メディア向けのストーリー・メイキングといった学習セッション、ASEAN地域でのビジネス展開支援や、UXの洗練、成長分析といったビジネス拡大に向けたサポートを行うセッション、そしてピッチに向けたDDなどのエグジット支援を行うセッションなどから構成されているようです。

最新の2017年参加チームは以下の通りです。(一部抜粋)
国際色豊かで、1つのバッチにこれだけ様々な国籍のチームが参加しているのは珍しいケースと思われます。今回、ヘルスケア関連が多い印象を受けました。

  • スポーツ
    • 42Race (シンガポール)
      ランナーのためのソーシャル・プラットフォーム。
    • BiiB (マレーシア)
      ランナーのためのアプリケーション開発。コース、距離の記録や、オンラインイベントへの参加が可能。
  • ヘルスケア
    • AllizHealth(インド)
      予防医療のためのヘルスケアサービス。30名の現役医師の支援のもと、デバイス上で自身の健康状態を管理できるようになる。
    • CarinMED (マレーシア)
      中小医療機関のためのプリケーション開発。患者データの管理等ができる。
    • GetDoc (マレーシア)
      診察のアポイントメントシステムの開発。僅か数クリックで、最適な医師を探し出してアポを取ることができる。
    • CEMPIA (インド)
      医療機関向けに開発された、患者の満足度向上のためのアプリケーション。患者からのフィードバックやサジェスチョンを様々な媒体で収集、統合管理できる。
    • TeleMe (マレーシア)
      ユーザと医師や薬剤師とを結びつける医療用プラットフォーム。デバイス上で医療に関する相談が可能に。
  • レビュー
    • 100Comments(マレーシア)
      消費者向けのレビューサイト。商品ごとの購入者のレビューを参照できる。
  • 民泊
    • Ami(ベトナム)
      民泊経営者のための経営支援アプリ。オンラインでの請求書送付等が可能。
  • 心理
    • Artha Ltd(香港)
      ユーザの感情を読み取るAI、Little Dragonの開発を行っている。
  • グループワーク
    • Assignment Hero (オーストラリア)
      グループワークのためのGoogleアプリケーションの開発、運営。
  • 子供向け
    • Bookyboo(マレーシア)
      子供1人ひとりにカスタマイズされたギフト用絵本の作成サービス。
    • CafeBond.com (シンガポール)
      世界中のコーヒー豆が味わえるコーヒーショップの運営。
    • ChubbeeCloud(マレーシア)
      マシュマロにメッセージをプリントし、オリジナルのギフトが作成できるサービス。
  • 弁護士
    • Canlaw (マレーシア)
      弁護士検索のためのプラットフォームの運営。
  • 介護
    • Caredo(マレーシア)
      ケアワーカー検索のためのプラットフォームの運営。
  • マッチング
    • Cloud Breaker(香港)
      インフルエンサーのデータベース。実際にコラボレーションするところまでカバー。
  • 保険
    • Cover Go (香港)
      保険サービスを一括管理し、その穴を見つけてくれるアプリケーションの開発。
  • オンラインマーケット
    • HypeHarsh (スリランカ)
      ハッシュタグを利用したオンラインマーケットプレイス。ハッシュタグを通じてユーザーが好みの商品を見つけられる仕組み。
  • 音楽
    • KONSERKU(インドネシア)
      コンサート主催者のためのウェブサイト。サービス上では、ユーザーの意見を参考に招待すべきアーティストを絞ることができ、興行の成功をより確実なものにすることができる。
  • Fintech
    • MedKad (マレーシア)
      医療機関で利用できるプリペイドサービス。
    • Swaplt (マレーシア)
      PtoP送金サービス。クレジットカードからチャージでき、外貨両替も可能。(現在はマレーシアリンギットとシンガポールドルのみ)。また、SwapItの発行するクレジットカードで決済が行える。
  • 教育
    • Report Bee(インド)
      教育機関においてデータ活用を促進するためのサービス。生徒に関するあらゆるデータを統合して扱えるようにする。
    • Closing the Gap (マレーシア)
      恵まれない家庭環境の子供たちに高等教育の機会を提供するサービス。キャリアガイダンスなども行っている。
  • 人材派遣
    • SERV (マレーシア)
      フリーランスのカーエンジニアを派遣してもらえるサービス。
  • マーケティング
    • Tagtoo (台湾)
      東南アジア及び台湾におけるインターネット広告を最大限活用し、潜在的なユーザ発掘のプラットフォームを提供。
    • Triip (シンガポール)
      旅行者と現地のエキスパートを結びつけてくれるトラベルプラットフォーム。
  • AR
    • VREX LAB (韓国)
      ポケモンGOとインスタグラムを組み合わせた新感覚アプリケーションの開発。但し探すのはポケモンではなく、友達や有名人の撮った写真。

スタートアップ・コミュニティとしてのMaGIC

MaGICでは、前述したGAPの他に、Distro Dojoというアクセラレーション・プログラムを展開しています。こちらは150K USD以上の資金調達を既に完了しているスタートアップが対象となるようです。さらに、MaGICはいくつかコワーキング・スペースを所有しています。たとえば、講演会場やトレーニング・センター、ラウンジ等も備えた大規模なものです。3Dプリンターといった最新設備を備えているのはもちろんのこと、ネットワーキングセッションや知識シェアのためのセッションなども頻繁に開催されるよう。

10日から行われるMaGICのDemo Dayにアドライト編集部が潜入取材を敢行!そのもようは後日お届けします。お楽しみに!