【解説】「WeWork」ビジネスモデル:リーン・キャンバス

addlight journal 編集部  addlight journal 編集部

来年2月、都内3箇所にオープンする「WeWork」。リーンキャンバスのフレームを使って企業価値向上につながったビジネスモデルを考察したいと思います。

リーンキャンバスとは?

アッシュ・マウリャの著書「Running Lean」で提唱された、9つの要素を盛り込んだビジネスモデルの図を指します。Mobikeのビジネスモデルを紐解く際使用したビジネスモデル・キャンバスと比べて、より顧客重視で試行錯誤し、変化しながらサービスを固めていくスタートアップ向けのフレームワークと言えます。

 

WeWorkについて

WeWorkは、2010年アダム・ヌーマン氏とミゲル・マケルヴィ氏によりニューヨークで創業され、世界15カ国49都市でコワーキングスペースを展開しています。メンバーは14.5万人。「CrunchBase」によると、すでに10回以上の調達ラウンドを経て約5000億円を調達し、企業価値は2兆円を超えています。単に“働く場所”としてではなく、“コミュニティ形成の場”として捉えている点が特徴となります。

なぜここまで企業価値を向上できたのか?リーンキャンバスを使って、起業当初の着想を中心に解説していきたいと思います。

創業時のWeWork

創業時のWeWork

個人事業主や起業家をターゲットとして事業をスタートしたWeWork。創業翌年の2011年で2,250万人の個人事業主が存在(米国国勢調査局「非雇用者統計(Nonemployer Statistics)」)し、2020年にはアメリカの労働人口の40%に相当する6,000万人がなると予測されているため、魅力的な市場といえます。

コワーキングスペースは当時から存在していたもののWeWorkを始めるにあたり、彼らが掲げたのは “TO CREATE A WORLD WHERE PEOPLE WORK TO MAKE A LIFE, NOT JUST A LIVING(ただ生きるためではなく、豊かな人生を送るために働ける世界を創造する)”。

起業家がビジネスを始めるにあたっての煩わしい業務を一手に引き受け、インフラの完備や生産性向上に役立つツールを提供するほか、医療保険を用意したり登記の所在地としても使えるようにしたりと、幅広くサポート。WeWork Commonsという利用者向けにSNSを展開し、ビジネスの相談をすると世界中のWeWorkメンバーのだれかが返してくれるような場も設けています。

あらゆる企業が一緒の空間で働くことで新しい事業につながったり、スタートアップがVCと一緒に借り上げ、移動コストやコミュニケーションロスを抑えるといったメリットも生まれているといいます。

忘れてならないのは、独自の手法でオフィスを借り上げ、販売モデルを確立したこと。それにより、スピード感をもって展開することが可能となり、建築事務所を買収したことでデザイン性も増し、快適空間を実現しています。

気になる集客は、リファラルプログラムで解決。メンバー、非メンバー問わず登録でき、自身を通じて紹介した相手が契約すると手数料がもらえる仕組みとなっています。これにより、WeWork自体が営業せずとも問い合わせが来て契約に至るケースが多いといいます。

日本では働き方改革が推進され、フリーランスも人口の17%にあたる1,122万人に増加(ランサーズ「フリーランス実態調査2017」)。柔軟な働き方に対応すべく、コワーキングスペース運営や活用に乗り出している大企業が多く見られます。業態としては後発となる中、WeWorkはどのような戦略を取る予定なのか、リーンキャンバスで推測してみたいと思います。

WeWorkは2018年2月に六本木一丁目、銀座、新橋の3箇所にコワーキングスペースを設置後、同年末までに東京都内に10-20カ所開設する計画があります。

日本展開時のWeWork

日本展開時のWeWork

日本の大企業は新卒一括採用で自社人材を育ててきました。これは、同一マーケットで同じ競争優位を保ち続けるには優れたモデルですが、ビジネスモデルが変化した際に人材が適応しきれない事態が起こり得ます。そこで、オープンイノベーションやアクセラレータープログラムを導入したりしていますが、まだまだ国内外の個人事業主と直接取引し一緒にプロジェクトを進めるケースは多くはありません。

WeWorkはオフィスを通じて築いてきたリアル・デジタル両面を持つ強固なコミュニティにより、マーケットプレイスのようなプラットフォームを作れているのではないかと考えられます。仮想通貨を使って均一の取引ルールやコミュニケーションルールを整備する等仕掛けることで、国や企業規模に関わらず安心してコラボレーションができる。結果的にWeWorkのコミュニティにいること自体が個人事業主の信用を向上させるまでまで行き着くと、日本の多様なワークスタイルの推進にも大きく寄与すると思います。

上記のようなマーケットプレイスが機能すると、ビジネス上でもWeWorkのコミュニティが必須になる、それが真の意味で他のシェアオフィスとの差別化になるのではないかと考えます。

筆者も六本木1丁目のWeWork Ark Hills South を見学してきましたが、すでに契約数も多く、大手企業も含まれているとのこと。2017年10月現在、がらんどうの状態でしたが、ここから天井を抜いて2フロアをつなげ、生まれ変わる予定とか。日本での展開スピードは他国に比べても早く、代表がかなり力を入れているとのことですが、真相はいかに。

WeWorkの見学はこちらからも申し込めます。