【Helloコワーキング】「Common Ground」マレーシア発ASEAN玄関口へ

 addlight journal 編集部

マレーシアはASEANへの玄関口としての存在感を増しています。数あるコワーキングスペースの中でも2017年3月に設立し、旗艦拠点を首都クアラルンプールに構える「Common Ground」はその代表格のひとつといえます。当コワーキングスペースを利用するのはスタートアップだけではありません。マーケティングエージェンシーのMackenzieやBCGグループのような多国籍企業が活動拠点として熱い視線を注いでいることから、大小様々の企業にとっての芳醇なコミュニティを形成しているといえます。

今回、Common Ground 営業部長・Yvonne Lee氏に取材を敢行。各方面から支持される理由に迫ります。

コミュニティに主眼を置き、イベント毎日開催!

——Common Groundが掲げる哲学のようなものはありますか?

私達は単に場所を提供するだけの存在ではなく、「コミュニティ」の構築に軸足を据えています。例えば、現在まさにインキュベーションプログラムのローンチを予定しています。もちろん参加は大歓迎ですよ。

——Common Groundに参加したり、あるいはそもそもマレーシアで事業を行うということのメリットを教えていただけますか?

マレーシアはASEANの中でも生活コストを最も抑えられる国といえます。もしASEANやマレーシア国内でスタートアップのコミュニティを知りたいと思えば、まさにCommon Groundで良いスタートをきることができるでしょう。

私たちの最初の支部があるここDamansara Heights(クアラルンプール中央都市)ではコミュニティ構築に腐心しており、ほぼ毎日イベントを開催しています。ですから、例えばグラフィックデザイナーやアプリエンジニアを探そうと思った時にはすぐにコミュニティの中で探すことができますよ。それに、短い時間で多くの人があなたに会いに来てくれるでしょう。

Common Groundの内装デザインは、スカンジナビアとアジアの文化の調和を感じさせるものだった。

あるいは、例えばこちらをAirbnbに掲載していたとして、一定期間内に利用者が利用できるようにしたとします。ですがそこで我々の持つネットワークを最大限活用できるかどうかは、本当に我々次第ですよね。これがコミュニティを最大活用して友人をつくることができるという良い例だと思います。

——Common Groundのコミュニティはどれだけ多様性に富んでいるのでしょうか?

ほど良いミックスといえるでしょう。多くはマレーシア人で地元の企業が多く所在しています。マレーシア自体が生活コストの低さ等から多国籍的な人の集まりをつくっていますからね。

Common Groundのホットデスクはラウンジエリアとオフィススペースによって一層引き立てられている

スタートアップ支援機関との連携で密な支援

——スタートアップがこのコミュニティに参加することで享受できるメリットについて詳しく教えてください。

MDECによって主導されている、「Malaysia Digital Hub Initiative」というイニシアチブをご存知でしょうか。スタートアップエコシステムの構築を支えているMDECはコワーキングスペースの表彰を行っているのですが、こちらにCommon Groundは採択されています。

Common Groundではスポーツエクササイズなどを通じてコミュニティ育成に傾注している。

このイニシアチブによって、我々はMSC(Multimedia Super Corridor/マレーシア国家経済特区)に参画してスタートアップを支援するための準備を可能にしています。私達は入居スタートアップに対し、MSCへの参加の推薦を行えるのです。もし採択されることができれば最大10年間の減税やアドバイザリーサービスなどを享受することができます。

また、ピッチイベントや啓発イベント、法務・会計などでのアドバイス業務に加えて、企業間でのマッチメイキングの機会を提供していますよ。

左から、Common Ground 共同設立者・Teo Juhn氏、同Erman Akinci氏、営業部長・Yvonne Lee氏

“the grounds”が指し示すもの

——こちらで利用できる設備についてはどうでしょうか?

ホットデスク、固定席、イベントスペース、コーヒーや菓子を提供するパントリーなどを備えています。ホットデスクについて私達は“the grounds”という名前で呼んでおり、どこでも働けるような環境を可能にしています。また、私達の主眼はあくまでコミュニティの発展・拡大にあるものの、メンバーでない方へのスペースレンタルやイベント運営許可も行っています。

Common Groundでの活動は、拠点の外にも及び、コミュニティ参加者達はマレーシア観光などを楽しんでいる

加えて、私達はWi-Fiやミーティングルーム、応対サービス、宅急便の受け取りなど、およそ仕事に必要な環境全てを完備しています。また、Fitness First(ヘルスクラブ)などの企業とパートナー契約を結んでいるため、メンバーであればヨガやサルサなどのクラスを割引価格で利用できますよ。

——メンバーはどのようにしてCommon Groundの拠点間を行き来するのでしょうか。

マレーシア人の多くは自らの自動車で行き来していますが、モノレールやLRT(Light Rail Transit/次世代型路面電車)のような公共交通も使えますね。加えて、私たちのメンバーシップを持っていればUberとGrab Taxiの利用には割引が適用されます。

——最後に、Common Groundへの入居を検討しているスタートアップに対してメッセージはありますか?

私達はいわば“スタートアップ版Tinder”といえます。目的がビジネス上のパートナー探しであれ別のものであれ、きっとここで出会う人達に驚くことでしょう。ぜひオープンな精神をもってこちらにいらしてください。

Mont Kiara(クアラルンプール北西部の高級住宅街)に新しい支部を開設し、間もなくTaman Tun Dr.Ismail(クアラルンプール西部の都市)にも支部を開設するCommon Ground。今後はASEAN各国、ベトナムやフィリピン、インドネシア、タイなどにも順次進出を行い、2018年初旬までにはマレーシア国内外で5つの支部を持つ予定といいます。