エストニア発・ビットコイン利用のスタートアップ投資「FunderBeam」

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次世代型クラウドファンディングの登場

クラウドファンディングの登場により、スタートアップ投資の世界は大きな変化を遂げてきましたが、今回はそんなクラウドファンディングとブロックチェーン技術を結びつけ、さらに資金の流動性も高めた新たなスタートアップ投資の世界を切り開こうとしている企業、FunderBeamに焦点をあててみました。

FunderBeam―ビットコインを利用したスタートアップ投資の世界

去る9月、アドライトはエストニアの電子政府をテーマにしたイベントを開催しました。大変盛況で、エストニア発のスタートアップに対する注目度の高さを認識しましたが、FunderBeamはまさにエストニア発・次世代型クラウドファンディングサービスを手掛けるスタートアップ。同社の開発、提供するサービスはスタートアップ投資の仕組みを大きく変えようとしています。

従来のクラウドファンディングの仕組みに加え、FunderBeamはブロックチェーン技術を応用し、ビットコインでスタートアップ企業の株を売買するプラットフォームを構築しました。また世界15万社を超えるスタートアップ企業のデータ、そしてそれらに出資する2万を超える投資家の情報など自動収集し(投資家の詳細情報はブロックチェーン外で管理し同社がフプライバシー管理を行っている)、提供しています

スタートアップ投資とビットコイン―FunderBeamの仕組み

FunderBeamが提供するスタートアップ投資の最大の特徴は、何と言ってもビットコインの活用にあると言えます。FunderBeamの指摘する従来のスタートアップ投資の問題点は、大きく3つありました。1つめは「投資先企業や業界の情報収集が困難」2つめは「まとまった額の金額が必要」、そして最後は「投資した資金はその流動性が失われてしまう」です。このうち、金額の問題についてはクラウドファンディングの興隆によって解決されましたが、それでも情報収集と資金の流動性は依然として大きな課題でした。

そこでまずFunderBeamが着手したのが世界中のスタートアップ及び投資家の情報を収集したサブスクリプション制データべースの作成でした。これが現在のサービスの前身になっています。

そして、資金の流動性の問題を解決すべくFunderBeamが導入したのがビットコインを利用した投資の仕組みでした。FunderBeamは各出資者から投資された額に応じてトークンを発行し、ブロックチェーン上に記録します。このトークンが資金流動化の鍵となっていて、FunderBeam上では投資家同士がこのトークンを取引きできるようになっています。

まずトークンは企業がFunderBeam上で調達した資金額に応じてサービス側から発行されます。そのトークンはさらに出資比率に応じて各出資者へと配分されます。トークンを所持する者は自由なタイミングでそれを売ることも可能ですし、他の投資家より買い増すこともできるようになっています。

すなわちトークン自体は、株式引き受け人であるサービス側へと出資された金額と紐づけられていて、サービス側はそれを元手に各企業に出資、リターンを得た場合は、トークンの比率に応じて各出資者に配当するという仕組みです。すなわち、ここでのトークンとは株式と同様の権利を出資者に付与しつつ、その流動性を高めたものと考えることができます。なお、サービス側の収益構造としては、出資した企業が利益を生んだ際に、その利益の1%を報酬として配当額から控除し、受け取るというものになっています。

ブロックチェーン上の資産

Funderbeam上における投資のもう一つの大きな特徴が、トークンの記録がブロックチェーン上において行われるという点です。中央管理機能を必要としないブロックチェーン上での取引は、従来の中央管理型のサービスと比較して以下のような利点を有しています。

まず、各ノード(ネットワーク接続された端末のこと)のPtoPでのネットワークの総体として構築されるブロックチェーンでは、特定の役割の担うノードが存在しないため、ネットワーク障害のようなトラブルへの耐性が非常に高く、また弱点となるような特定点が存在しないため、外部からの攻撃にも非常に高い安全性を持っています。

それ故、証券取引のように一時のネットワーク障害が大きなトラブルに繋がりかねない取引や、ビットコインのような金融資産の保全に適していると言えます。また、特定の管理者が存在しないということは、絶対的管理権限を有するものによるデータ改ざんのリスクが低いことも意味します。それ故、絶対に改ざんが許されない取引を記録するネットワークとして最適であると言えます。さらに、どのノードからもデータの閲覧が可能であるということは透明性、公平性の高さにも繋がります。

一方、ブロックチェーン技術は取引の迅速さが要求されるような場合には不向きであるとされています。これは、ノードを経由する毎にデータの耐改ざん性が高まっていく一方で、全てのノードに浸透するには時間を要してしまうことに起因します。すなわち、ノードによってデータの到達時間に差が生じるため、取引のネットワーク全体への迅速な反映を必要とする場合にはブロックチェーンは不向きなのです。

したがって、中央証券市場で扱われているような取引をブロックチェーン上にそのまま持ち込むには問題があります。一方で、店頭取引であれば、当事者間でのデータの共有を待つ時間を設けることも可能であるため、ブロックチェーン上での取引が適していると言えます。こうしたブロックチェーンの有する技術的特徴が、Funderbeamのようなスタートアップ投資を扱うサービスを呼び込んだと言えるかもしれません。

Funderbeamはアジアにも進出

現在のところ、Funderbeam上での投資対象は他の多くのクラウドファンディングと同様に、発行市場にあるスタートアップですが、今後はその投資対象を拡大させていく考えもあるとのことです。上記のようなデータ反映上の技術的課題をどう乗り越えられるか注目したいところです。

今年3月のSLUSH TOKYO 2017においては、孫泰蔵氏のFunderbeamへの出資が報じられ、同社は今後アジア太平洋地域への進出を開始することも発表しています。

現在、Funderbeamのサービス上では15万社以上のスタートアップのデータが公開されており、97か国の国と地域から投資を集めています。冒頭でも触れたように、Funderbeamはスタートアップ間のデータ比較や、成長、収益性分析等をサービス上で行ってきており、サービスの拡大にともなう提供データの増加は、より高付加価値のアドバイザリーサービスへと成長を遂げていくことでしょう。