イノベーションを生み出す次世代リーダーの育成戦略とキーポイント

 addlight journal 編集部
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弊社アドライトでは、10年に渡り大手企業様の新規事業開発支援・伴走支援をしてきた知見ノウハウをベースに、そのステップやプログラムを体系化し、実践型の次世代リーダー育成プログラム「INTRAPRENEURS DOJO」の提供を開始。連動イベントとして『事業を生み出す「次世代リーダー」育成の極意』と題して、オンラインセミナーを開催した。

オンラインセミナーでは、企業内で2%とも言われる「次世代リーダー」の素質を持った社員を研究、この分野で数多くの著書も執筆する小杉俊哉氏をゲストに迎え、大企業からベンチャーまで数多くのイノベーションリーダーの人材開発に伴走してきた弊社と共に「次世代リーダー」の要諦について深い議論を交わした。

本記事では、オンラインイベントの内容と次世代リーダー育成プログラム「INTRAPRENEURS DOJO」の概要とベーシックプログラムについての詳細について紹介したい。

事業を生み出す「次世代リーダー」育成の極意

まずは『事業を生み出す「次世代リーダー」育成の極意』と題して6月28日に行われたオンラインイベントの様子をご紹介する。ゲストに『起業家のように企業で働く』など、キャリアやリーダーシップに関する多数の人気著書を執筆する小杉 俊哉 氏(以下、小杉氏)を迎えた。

マネージャーとリーダーの違い

講演ではまず「マネージャーとリーダーの違いは何か」という問いから始まった。小杉氏は、次世代リーダーを育てるにはマネージャーとリーダーの違いを理解することが大切という。

マネージャーは組織から与えられた役割を果たすことに重きが置かれている。一方、リーダーは役職や役割に関係なく周囲に変化をもたらすことが重視されている。別の言い方をすると、「正しく行うこと」がマネージャーの仕事なら、「正しいことを行うこと」のがリーダーだという。

誰もが起業家のように働くことを求められる時代

次に誰もが答えのない世の中でwhyを持ち、「起業家」のように働くことが求められると小杉氏は指摘する。

背景にはVUCAと呼ばれる時代にhowからwhatやwhyに重要度がシフトしている点があるという。

変化の激しい現代では、もはやhowはあまり意味をなさないことがコロナ禍でより顕著になった。そのため、次世代リーダーに求められる力も、答えのない中で解くべき課題を見つけることが重要になってきていると小杉氏は説明した。

なお、起業家のように企業で働いている方々はどのようなマインドで変革を起こしているのか参考事例として小杉氏著作の『起業家のように企業で働く 令和版』(クロスメディア・パブリッシング)に詳しい。

イノベーションを生み出すには

イノベーションとは、何かと何かの組み合わせでできる「新結合」であり、この新結合を生み出すには試行錯誤が必要である。それを実現するための戦略として注目されているのが「両利きの経営」だ。両利きの経営とは、既存事業を深掘りしていく「知の深化」を行いつつ、新しいアイデアを探しに行く「知の探索」を行う経営戦略である。

知の探索にはダイバーシティを進めていくことが大切だと小杉氏は指摘する。

特に次世代リーダーは保守本流ではなく、一度外に出て戻ってきた人材や、子会社を経て戻ってくるような、亜流でやってきた人間の方が変革を起こしやすい。

このようなプロ経営者と呼ばれる人たちがどのような経験を積んできたのかについては、小杉氏が共著者として名を連ねる『プロ経営者・CxOになる人の絶対法則』(クロスメディア・パブリッシング)を参考にしてほしい。

リーダー教育はマジョリティではなくアーリーアダプターを狙う

次世代リーダーになれるような、組織の中で自律的に動く人間はどれくらいいるのか。

小杉氏曰く、約2%が放っておいても自律的に動ける社員だが、組織としてイノベーティブになるにはその次の層をいかに押し上げるかが重要である。組織をイノベーティブに変革していくとなると多くの企業はマジョリティを対象にするが、これではトップ人材は育たない。イノベーター理論でいうアーリーアダプターを押し上げて、組織を引っ張っていける人材にしていくかがポイントとなる。

では、どのように押し上げていくのがよいか。小杉氏が提言する方法に従来のMBO的な管理に加えて、OKRのように中長期的な会社のビジョンへの貢献を評価する仕組み作りがある。強制するのではなく、やりたい人間には加点方式で評価をすることで、アーリーアダプター達が積極的に動き出すという。

このあたりについては小杉氏著書の『リーダーのように組織で働く』(クロスメディア・パブリッシング)に詳しく説明されているので参考にしていただきたい。

トークセッション・Q&A

イベントの後半では、弊社代表の木村とのトークセッションが繰り広げられ、次世代リーダーについての議論が深められた。

Q.次世代リーダーに求められる資質・スキルとは?

講演の中でも強調したように、まずはhowではなく、what、whyで考え、自らがリーダーシップを発揮しようとする思考性が重要と小杉氏は回答。この思考性があれば、スキルは後から身についていくと語った。また、これらの思考性は持つ気がなければ持ち得ないものであるとも付け加えた。

Q.従業員が自走して「次世代リーダーに求められる資質・スキル」を身につけていく環境をどのような方法で構築すべきか?

企業側の視点に立ったとき、次世代リーダーを育てていく環境をどのように構築すべきかという質問には、まずはチャレンジによって減点にならない、心理的安全性の確保が重要であると回答。その上で、やる気のある人間の背中を押してあげるような制度的な支援や上司の支援が大切と語った。

次世代リーダー育成プログラム「INTRAPRENEURS DOJO」とは

ここからは弊社が提供する次世代リーダー育成プログラム「INTRAPRENEURS DOJO」について解説する。

INTRAPRENEURS DOJO」とは、弊社の経験とノウハウをベースに開発した一社提供型のイノベーション人財育成兼新規ビジネス創出プログラムだ。イノベーションを起こす仕組みである「SHBDスパイラル」の導入し単一の新規事業活動の推進に留まることなく全社的なインパクトの最大化を図る。

イノベーション活動に関する課題

イノベーション活動の成功には、戦略〜⼈財〜実⾏を連携させながら歩みを進める必要がある。そんな中、イノベーションを産み出す人材の見極め・育成・機会創出は、多くの企業における重要な経営課題である。

例えば、「新規事業計画は立てたものの内部に事業インキュベーションをリードし成果を生み出すようなイノベーター人財がいない」や「新しい事業に向けたアイデアを創出する仕組構築は一定出来上がったものの、積極的にプランを出してくる人財が少なくまたその風土が醸成しきれていない」など、戦略策定を進めても、それを牽引・実行する人財がいなければイノベーション活動は進まない。

これらの課題を解決するために、実際に新規事業開発支援で当たるカベや課題など、泥臭い実践支援を通じて得た知見ノウハウを元にした人材育成プログラムを提供する。プログラムを受講することで、次世代リーダーとして必要なマインドと熱量、新規事業開発に有効なサービスデザインアプローチの体得、プログラム全体を通じたリーンかつアジャイルな新規事業開発手法を得ることができる。

本プログラムの特徴

本プログラムの特徴として、「受講者のレベルに応じたきめ細かな5つからなるプログラム構成」がある。

イノベーション⼈財をベーシック、チャレンジ、アドバンス、マスターの4クラスに定義し、マインドセットから、1つの事業を経営レベルでマネジメントできるよう、段階別に計5プログラム(アドバンスコースで技術系と企画系でコースを展開)で構成している。それぞれのクラスに必要なプログラムを最適な講師を中⼼に設計、提供する。

ベーシックコースについて

ベーシックコースでは、新規事業の必要性を理解し、興味関⼼をもつ「新規ビジネス共感者」を目指す人物像として定義したコースだ。習得できるスキルとして、共通スキルの「⾃信と感受性」に加えて、「危機意識」、「リスクテイカー(チャレンジ精神)」、「ビジョン」の大きく3つを習得することを目指す。

マインドセットを変えることが肝になるが、マインドセットは他者からではなく、⾃分で⾏うものであり、よくあるマインド醸成=⾏動変容と安易に結びつけるのは得策ではない。その⼈の⾏動変容を阻害している要因を分析し、⾃分で⾒つける機会を提供することが重要である。

ベーシックコースでは、マインド醸成へ向けたアプローチを5段階に分けて設定。まずは自己理解を得るために⾃分⾃⾝のレジリエンス⼒を診断するところから始める。レジリエンス⼒は、新規事業に取り組むベースになる。

次に、これまでの⾃⼰のストーリーを出来事ベースで整理をし、その時の思考や感情に向きあうことで、培ってきた⾃分の強みや専⾨性について理解を深め、総合的に⾃⼰のストーリーを整理する。次のステップで整理した自己のストーリーについて他者と対話し気づきを得るという流れだ。案外自己のストーリーというのは過小評価していることが多い。⼈から⾒れば素晴らしい経験をしていることもあることから、他者にストーリーを語ることにより、⾃分の知らない⾃分や思考の癖、信念や価値観に気づく機会にもなる。

次のステップでは、自己整理、他者との対話から得られた示唆をもとに、今後イノベーターを⽬指すための⾃⼰の⾏動変容の課題を⾏動レベルと⼼理レベルから明らかにする。行動レベルは何をやるかよりも何を止めるかが重要である。目標に貢献していない時間の使い方を止めることが大切である。心理レベルでは自身の防御メカニズムを理解することが大切だ。無意識に⾃分をコントロールする気持ちや考え⽅から脱することを主眼に置く。

そして、マインドセットの最終段階として、⾃分の内発的動機の⾼い⽬標を洗い出し、未来へ向けた⾃⾝のビジョンを明確にする。

これらのステップを通して、マインド醸成をおこなっていくのがベーシックコースの全体像となる。なおチャレンジコースの詳細についてはこちらの記事で詳細解説する。

終わりに

本記事では、次世代リーダーの育成をテーマに、弊社の次世代リーダー育成プログラム「INTRAPRENEURS DOJO」のご紹介と、小杉 俊哉 氏をゲストに迎えたイベントの様子をご紹介した。

小杉氏の講演にもあったように、結局のところ次世代リーダーになれるかどうかは本人が「やる」かどうかにかかっている。これは他者から強要されるものではなく、あくまで自発的に生まれてくるマインドでなければならない。

また、実際にはそのようなマインドを持ちながらも、後一歩会社の支援がなく、次世代リーダーとして活躍ができていない人材も企業内には多く存在する。弊社が提供する次世代リーダー育成プログラム「INTRAPRENEURS DOJO」がその一助になれば幸いである。