2015年版 注目のアメリカシードアクセラレータ10選

 addlight journal 編集部

こんにちは。アメリカのニューステレビ局CNBCのウェブサイトにて、先週、2015年(2014年末基準)のシード・アクセラレータのtop10が記事になっていました(リンクは以下)。

The 10 hottest start-up accelerators in America

元ネタはSeed Accelerator Rankings Projectとのことで、リサーチ結果自体は既出かもしれませんが、改めておさらいしてみたく思います。なお、Y Combinatorは自己定義を少し前からseed fundsとしてこのランキングからは自ら辞退しているとのことです。また、昨年の調査によると、シード・アクセラレータの平均の投資額25K USDで6%のequityとのことで、資金以外の mentorship, network, exposure to future investorsなどの価値を提供しているとあります。


まず、Seed Accelerator Rankings Projectがシード・アクセラレータを評価する審査指標(metrics)は以下の6項目です。

  1. 企業価値(valuation):スタートアップが資金調達ラウンドをした際の企業価値。プログラム後の1年後・2年後・3年後のシード・アクセラレータのポートフォリオ全体の企業価値の平均値・中央値。全体の平均をとったり、priced roundのみをカウント(convertible noteなどはゼロとしてカウント)するなどいくつかの方法を組み合わせてして算出している(計算方法がやや複雑そうです)。
  2. イグジット(qualified exit):5M USD以上のIPOや被買収。この調査対象のスタートアップ全体の2.1%がこの定義のイグジットに成功しているとのこと。
  3. 資金調達(qualified fundraising):プログラム卒業後1年以内の200K USD以上の資金調達。この定義の資金調達に成功したスタートアップの数(割合)と調達金額(平均値・中央値)の両面から判定している。
  4. 事業継続(survival):プログラム後の1年後・2年後・3年後にスタートアップがビジネスを継続している割合(この指標のウェイトは低めとのこと)。
  5. ファウンダー満足度(founder satisfaction):参加したスタートアップのファウンダーに、また参加したいか・友人に参加を進めるかという観点での満足度調査に基づく。
  6. 卒業生ネットワーク(alumni network):卒業したスタートアップの数。

そして、今回のtop10のランキング結果は以下の通りです。

  1. AngelPad:google出身のthomas korteによる、SFとNYCで展開されるアクセラレータプログラムAngelPadが、ファウンダー満足度や企業価値が高く第1位に選出。ウェブサイトをみるとイグジット実績も豊富です。今年の1月にSFで開催された前回batch(#8)のdemo dayに自分達も参加させて頂きましたが、参加チームも少なくアットホームな雰囲気でした。B2Bのチームが多い印象です。前回batchの参加チームはこちら
  2. MuckerLab:LAを拠点にネット関連スタートアップを中心に育成するMuckerLabが順位を上げ第2位に選出。比較的新しいアクセラレータのようです。ポートフォリオはこちら
  3. Techstars:老舗のアクセラレータtechstarsが第3位に選出。austinをはじめbostonやNYC、さらにはlondonやberlinなど米国内外に拠点を構え、年間に12セッションと他のアクセラレータに比べ活発に活動しています。また、disney(エンタメ)やnike(スポーツ)、qualcomm(ロボット)など大企業とのタイアップでの領域特化プログラム(vertical program)も広く展開しています。
  4. University of Chicago’s New Venture Challenge:大学系アクセラレータであるUniversity of Chicago’s New Venture Challengeが第4位に選出。2014年にIPOを果たしたフードデリバリーサービスのgrubhubやebayに800M USDで買収され今はpaypalグループの一員となったオンラインペイメントのbraintreeなどのスタートアップを輩出しています。
  5. Alchemist:B2B領域に特化した6か月間のプログラムを提供。チームは1batchにつき16チームまでと厳選している。
  6. StartX:スタンフォード大学関係者によるアクセラレータ。equityを取得せず、feeもチャージしないとのこと。YCの前回batchにもStarX出身のチームがいくつか見られました。
  7. Amplify:LAを拠点にしたアクセラレータで様々な業種のスタートアップを育成している。
  8. 500 Startups日本含むアジアでも広く展開している500 startupsが8位にランクイン。過去にはwhillなど日本からもいくつかのチームが参加している。
  9. Capital Innovators:セントルイスにある比較的新しいアクセラレータ。ポートフォリオはこちら
  10. Dreamit Ventures:フィラデルフィアにあるアクセラレータ。今年のSXSWでも注目されたmeercatなどのチームを輩出している。

前述のCNBCのニュースによると、アメリカでは毎月50万人以上が新事業をスタートしているそうで、シード・アクセラレータ自体の数も増加傾向にあります。アクセラレータのtop10を見てみても、業種や手法などで特徴をもったアクセラレータも増えてきており、今後の動向にも注目したいと思います。なお、起業家達がアクセラレータを探すプラットフォームとしてはf6sというウェブサイトが現地でも比較的使われていますのでご参考まで。