現在100以上のコワーキングスペースが展開されているシンガポール。2013年にシンガポールで立ち上げ、シンガポールに2拠点、クアラルンプールに2拠点のコワーキングスペースを運営している「The Co」をのぞいてみました。
新旧融合が織りなす空間
元々、オーストラリアやベトナム、香港などでのコミュニティビジネスの経験があったThe CoのHead of Co. Nim Sivakumaran(以下、Nim)氏。それぞれのローカルな特徴や文化に触れるうちに、その土地ならではのコミュニティを活かしたコワーキングスペースを作りたいと思うように。
訪れた99 Duxton Streetに位置する本コワーキングスペースは、一棟丸々リノベーション。新しくもどこか懐かしさを覚える空間は随所にデザインの工夫がなされています。
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The Coの共有スペース。白壁基調の明るいスペースが魅力。
このエリアはもともとグルメやファッションなどライフルタイルに特化していることで知られており、木製の階段を上がると受付やイベントスペース、個室、2階に個人のワークスペースが配されています。どの部屋にも窓があり、光が差し込んできます。
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The Coの屋上。写真からはわかりづらいが、周囲に建物が隣接しているため背の高いグリーンで囲むことでプライバシーを確保。
The Coには、6人から最大80人まで集まれるスペース(4拠点合算)が設けられています。99 Duxton Streetのコワーキングスペースには屋上にオープンスペースがあり、YOGAのレッスンなどを定期的に開催。企業やパートナーとタイアップした様々なイベントも週2、3回あり、会員向けのクローズドなイベントとオープンなイベントの2種類を運営しながらローカルコミュニティ形成と成熟を進めているとのこと。
クアラルンプールのThe Coでは、MDEC(Malaysia Digital Economy Corporation)と一緒にデジタルハブを運営したり、マレーシアの銀行・Maybankとの共催イベントを運営したりなど、オープンイノベーションの活動も積極的に行っています。詳細な活動はThe Co KLのオフィシャルFacebookからも見ることができます。
直感と野望をもった多様な人たちが集まる場に
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The Coの複数名の入居空間。シンプルな什器で統一。
The Coには、VCやデザイン会社、マーケティング会社やPR会社などが入居しています。業種は特に絞っていないものの、ライフスタイル系の業種やインターナショナルに展開する業種が多いとのこと。
The Coでのセレンディピティを大切にしているというNim氏が使っていたキーワードが「Inspiration and aspiration」。「直感と野望をもった多様な人たちが集まることで、新たな出会いが生まれることがやりがい」と語ってくれました。スタートアップという文脈ではbLK71などがシンガポールにありますが、The Coでは人との繋がりや多様性としてのローカルコミュニティを大切していることが伺えました。
ローカルコミュニティの価値観が和食やおもてなしの精神にも通じる
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The Co Head of Co. Nim Sivakumaran氏。
Nim氏にThe Coの今後の展望について尋ねると、いわゆるチェーンストアのような横展開は考えておらず、ローカルコミュニティを大切にしながらシンガポールやマレーシア以外にもオーガニックに拡大していきたいとのこと。
日本との連携にもとても関心があり、Nim氏の大切にするローカルコミュニティの価値観が和食やおもてなしの精神にも通じる部分があるといいます。東京一極集中というよりは地方都市にも着目。
「日本でのパートナーと共に、ローカルコミュニティやエコシステムを横串でつなぐようなイベント、それから相互交流も含めて、インターナショナルな展開を進めていきたい」
この空間のように、多様性を受け入れた先に新たな文化が宿ることを願って。