こんにちは。弊社株式会社アドライトでは、これまでに好評をいただいた「自動運転技術をめぐる各社の動きと開発状況」に題して業界の各プレーヤーの動きをお伝えしてきました。今回は様々な関連サービスが登場してきていることで話題を集めているドローンについて焦点を当てて、その最新のサービスをお伝えしていきたいと思います。
あのKickstarterから始まったセルフィ用ドローン
今年の5月に、全世界の市場で70%超のシェアを誇るDJI社が、セルフィ用途に特化した最新型のドローン、SPARKを発表したことで注目を集めましたが、そんなセルフィ用ドローン市場についてまず取り上げたいと思います。
米国の有名なクラウドファンディングサイトであるKickstarterにて、開始からわずか72時間で目標額4万5,000ユーロの調達に成功し、最終的にはその10倍もの資金を集めた製品がAirSelfieです。手のひらに収まるポケットサイズで、スマートフォンカバーの形をしたドローンですが、ホバリング性能はもちろんのこと、飛行高度も18フィート(約9m)まで上昇可能と、ドローンの名に恥じぬ高性能なもので、さらに操作が手軽であり、手持ちのスマートフォンと連動して広範囲でのセルフィが撮影可能という製品コンセプトがヒットを呼んだようです。
そんなAirSelfieは日本向けにもすでに販売が開始されています。
AirSelfieによって切り開かれたセルフィ用ドローン市場はその後急拡大しており、今回のDJI社によるSparkの発表もそんな矢先でした。また同じく中国のZerotech社が7月にはDobby Pocket Droneを発表していて、中国におけるセルフィ用ドローン市場も活況を呈しています。
エンタメを牽引する最新ドローンビジネス
2017年7月22日から2週間、長崎のハウステンボスにて、米国Intel社とのコラボレーションによるイベント、インテルドローンライトショーが行われ話題になりました。このインテルドローンライトショーは、米国インテル社の開発したドローンである、Shooting Starを用いたエンターテイメントショーで、なんと約500機ものドローンが連携して音楽に合わせて飛行、光を発して楽しませてくれるという内容になっています。まさしく、次世代のショービジネスですね。
なお、Intel社の開発するShooting Starは、同社が買収したドイツのドローン開発企業であるAscending Technologies社のフライトコントロール技術をベースにしているといいます。このShooting Starのコントロール技術は約500機もの機体をわずか2人のオペレーターで操作可能ということです。
産業用ドローンはどう展開していくか
続いては、BtoB領域である産業用ドローンについて、その展開を追っていきたいと思います。
ドローンを産業向けに活用する試みはすでに広く行われていて、すでに多くの活用事例があります。
2017年4月には、三菱商事と日立製作所の共同出資の形でSkymatix社が設立されました。Skymatix社によるドローンの活用事例としては、農業分野における農薬散布用ドローンや育成管理用ドローンの開発、販売、建設業における土木作業の作業進捗管理用ドローンや、施設の老朽化点検用ドローンなどの開発、販売があります。
また、キャノンの開発する産業用ドローンは災害対策への活用例としても紹介されていて、沿岸部における潮位の計測用や、山間部における土砂崩れの警戒、監視用、河川周辺における氾濫の警戒、監視用への活用が行われているとのことです。
海外に目を向けると、米国のMeasure社はドローンを用いた測量サービスを展開しています。例えばエネルギー事業者が行う発電所を設置する場所の測量にドローンを活用したサービスを提供したり、通信事業者が行う電波塔の保守点検作業にドローンを活用したサービスを提供したりといった事業を展開しているようです。また、中国のXAIRCRAFT社は2012年頃から農業向けに、農薬散布用ドローンの開発、販売を行っており、その最新機体であるP20 V2は日本でも展開予定であるといいます。さらに、ロシアのWokker社は、ドローンを利用した広告サービスを公開しています。Dronevertisingと名付けられた本サービスは広告を括りつけたドローンをオフィス街に飛ばすというユニークな発想のものです。新しい広告の手段として普及するかもしれませんね。
物流を変えるドローン
すでにドローンによるデリバリーの実現を公言しているAmazonですが、そんなAmazonが昨年12月に行った民間配達実験の映像が公開されています。このAmazon Prime Airと題された配達サービスでは、プロペラを搭載した小型の飛行機のようなドローンや小型のドローンなど複数の機体が併用されていて、従来の配達時間よりはるかに短い時間での配達のテスト運用に成功しています。
さらには、スタートアップの中にも、YC W17の参加チームであるVolans-iのように、ドローンによるデリバリーを実現させようとしているチームが登場してきています。とくにVolans-iの開発、設計する期待は従来のドローンとは一線を画するデザインで、約1,000マイルもの距離を時速300km超で飛行し、ドアツードアでのデリバリーが可能になるということですから、その実用化には期待が高まりますね。
また、国内でも楽天がドローンによるデリバリーの実現に向けてRakuten Droneと題されたプロジェクトを開始しており、千葉県のゴルフ場など一部限定されたエリアにおいて既にサービスを実現させているようです。
ドローン産業を後押しするドローン特化型のVBファンドの興隆
2017年7月31日付の日本経済新聞において、日本における新たなドローン関連の投資の動きとしてドローンファンドの設立が報じられました。ドローンファンドの設立代表者は個人投資家であり、起業家である千葉功太郎氏です。設立時に既に3億円規模のドローン関連企業への投資を実行済みであるといいます。ポートフォリオはこちらのホームページで紹介されています。
すでに中国においては、前述のDJI社とVCである米アクセル・パートナーズが共同で立ち上げた「スカイファンド」10億円規模の投資積立金を持って設立されており、中国のとりわけ広州一帯におけるドローン産業の興隆に貢献してきています。日本でもこういったドローン関連産業に特化したVCが登場し、アーリーステージでの投資の動きが活発になることで、同産業の発展が後押しされることに期待していきたいですね。
ドローンによる空飛ぶ乗り物の動きも盛ん
最近では、ドローンを使った空飛ぶ乗り物の事例も目にすることが多くなりました。例えば、ロードレース世界選手権であるモトGPでは、hoversurfのScorpion-3 hoverbikeによる空飛ぶバイクの公開飛行が行われました。動画を観ると、観客の盛り上がりから興奮度が伝わってきます。同社はその他でも、Drone Taxiと呼ばれるそのの通りドローンを使ったタクシーの開発や、Cargo droneという100kgもの貨物を運ぶドローンの開発などを行っています。
また、ドローンを使ってはいませんが、中国Tencentも出資を行ったということで注目を集めるドイツ発スタートアップLilumは、時速300kmで目的地に人を届けるJet Taxiなどの動きでもでてきています。これまでもテクノロジーの進化によって人間の移動手段は進化してきましたが、今後ますます加速していくことでしょう。
—
いかがでしたでしょうか。株式会社アドライトでは、今後もドローンや自動運転技術といった最新テクノロジーに関連する産業全体の動向も精力的にお伝えしていこうと思います。
また、株式会社アドライトでは、テーマ選定からスタートアップ候補のスカウト、及びその後の事業化までをワンストップで提供する企業アクセラレータープログラムによる事業創造支援を行っております。ご興味ある方は弊社ホームページからお気軽にお問い合わせくださいませ。