Tokyo Startup Dating 9th Edition パネルディスカッション―先輩起業家に聞くビジネスをスケール/ブレイクスルーさせるポイント<後編>

前回のパネルディスカッション前編に引き続き、後半部分をお伝えしていきます。

最終的なミッション・ビジョン・バリューが本当に同じかどうか

木村:みなさん事業を進めていく中で、どのような人と進めていくか、ということがあると思います。どういった人と事業を進めてきたか、あるいはなにか採用ポリシーはあるのでしょうか?

井上社長:今日来てくださっている起業家の方々は、人事だとか組織だとか仲たがいだとか誰もが経験しているあるあるだと思うのですが、僕たちも実際にあったのが、”なんとなく事業プランいいしやってみようぜ”ということでやってみたけれど、実はそれは表面的なものであって、価値観が違ったんです。一方は理念経営だったり、もう一方はお金に対しての執着が強かったりで、根本的な考え方や目指すものが違う。それに気づかず「俺たちってやっぱいいパートナーだよな!」とやっていたら数年のうちに崩壊して空中分解していくというケースがある。以前は、僕もそういった経験がありました。なので今採用するときに必ず見ているのが、その人のビジョンとか志とか価値観とか、最終的なミッション・ビジョン・バリューが合っているかどうか。ここがずれていたらどんなにトラックレコードがすごくても、どんなにSPIの点数が高くても、どんな有名大学を出ていても採りません。なぜならそれを変えるのは至難の業だからです。その次にビジョンフィット・カルチャーフィットするかどうかで、その次にポテンシャルがあって、最後にスキルですね。普通中途採用なんかだとスキル採用しがちじゃないですか。ただ、そのビジョンとか価値観がずれないようにするというのは最も大切なことです。

木村:そのビジョンや価値観があっているかどうか確認するときに、質問であったりなにかこれまでの経験ではどういったものを見られてきたのでしょうか

井上社長:ベンチャーだったときは居酒屋にいってビール飲みながら世界を語って朝まで話し続ければ分かりますよね。今はちょっとそういう訳にはいかないんですけども、経験則みたいなものはあるんで1時間くらいお話しすると分かるようになってきました。ものすごい共感している人は物理的ではないんですけど、椅子から腰が少し浮いてる感じがして前のめりになっているような、という感覚がすごく分かるんです。そうじゃない演技の人も分かるんです。そんな感じです。

天才を惹きつける会社

阪根社長:なんか今の話を聞くとですね、僕のそういう考えは間違っていたんだなって。(会場爆笑)

井上:すごいその技術力というか権威というか、天才が集まってるじゃないですか。あれはどうやって惹きつけるんですか?

阪根社長:それは僕も奇跡だと思ってるんですけど、変わったことやってるんですよ。そこに飛びついてきてくれる天才がメンバーにいるという話なんですよ。特に日本には優秀な人材がたくさんいて、家電メーカーなんかで「イノベーションを起こしたい、ソニーのウォークマンみたいなのを作りたい!」みたいに思ってる人がここ20~30年はそういった経験ができてないんですね。もっといい製品を安くみたいな開発をしている人が「このままキャリアを終えていいのか」と思っているタイミングで「なんじゃこのバカみたいな製品を作ってる会社は!」と思ってきてくれるという感じですね。

ゴレンジャーを作る

木村:ありがとうございます。秋山さんはどうですか?

秋山社長:あと5年はやく井上さんに会えていればと思ってしまいましたね。ほんともう少し早くお話を聞けていればと。

井上社長:なにか失敗したんですか?

秋山社長:最初10年は本当に苦労しまして、一緒に働くという意味ではいいんですけど、事業をやっていくとなると推進力がすごく重要で、その事業にどれだけ理想を持っているかというのが推進力に繋がってくるんですね。例えば、簡単じゃないことをやるときに諦めようと思えばすぐ諦められるんですね。でも理想があればがんばろうってなる訳なんですが、そこを見極めるときに自分は良くも悪くもいいとこばっか見てしまうんですね。だめでも「こういうとこいいじゃん!」と思っちゃうことがあるんです。ちょっとずれていても「他にもいいとこあるじゃん」って。でもそこが一番良くなかったと思いますね。

井上社長:僕は早いことゴレンジャーを作れって言われたんですよ。今の話で言うと・・・若い世代の人ゴレンジャー知らなかったらすいません。(会場爆笑)赤とか青とか緑とかピンクとかいる戦隊モノですけど、例えばアカレンジャーって情熱的なリーダーで正義感溢れて・・・みたいな感じなのがいて、そこに「お前ちょっと先走りすぎだぞ」みたいな冷静沈着なアオレンジャーがいて、ミドレンジャーがいて・・・みたいな、ケミストリーが違うんですよね。でもケミストリーが違うやつほど混ぜた方が良い。ただ、さっきのビジョンや理念みたいな話で行くと彼らゴレンジャーの共通してるのは「世界の平和を守る」こと、これは共通点ですよね

秋山社長:先ほどの話でいくと(自分が)すごくいいやつみたいになっちゃうんですけどそうじゃなくて、無駄に粘っちゃうってことなんですよね。変えられない部分も変えられるんじゃないかって思ってしまって、仲間からアドバイスをもらったりもするのですが、「いーや、そんなんじゃない。あいつはまだやれる。」みたいな。なので僕がトラブルを起こしてしまっていたんですね。井上さんの「世界平和だ!」みたいなところを、「世界平和!・・・かも?」みたいな人も入れてしまっていた。

井上社長:ちなみに、そういういいじゃんいいじゃんでわくわく動物園的にいろんな人を採っていった結果どうなりました?

秋山社長:やっぱり組織としてまとまらないですね。筋が通っていかないので、それぞれがやりたいことをやろうよとやっていく感じ。なので5年前、なんならスタートの時から井上さんみたいな人に出会えていたらいろいろ対策できていたのではないかと。

井上社長:まあでもリーダーシップに正解はないっていうか、むしろこれから正解を自分で作ると思って自由にやればいいかなと思います。

質問:人事担当者、財務責任者を何名くらいの時に採用したか、またそのタイミングはなぜか?

井上社長:ちょうど7名くらいのときに管理本部長兼会計兼人事兼総務のような扱いで採用しましたね。もう少し増えて30~40人くらいの時に現在の人事担当役員である羽田幸広さんを採用して、2人で1からどうやって「日本一働きたい会社」を作るかを考えました。とはいえ経験も浅いため、羽田さんの上司として人事経験のある人を人事本部長として雇ってみたのですが、結果として3回転4回転してしまったので、もう新しい人を雇うのではなく羽田さんを人事責任者として育てよう!という方向に転換しました。結局のところテクニカルに知っているかということよりも本気さが成功につながりました。話を戻すと、答えとしては7名の時に採用したということですかね。ただ人事の場合は3年後を想像して逆算して手を打っておかないと人を組織に入れるのはそんな簡単にすぐできないので3年前に手を打っていく感じで。

阪根社長:ありがとうございます、勉強になります。当社の場合では専門家を雇うのではなく仲間の中からそういう人が出てきたり、CFOを雇って資金調達をするというよりは自分でやってきたという感じでしたね。規模が大きくなって今はグループ全体で約370人の社員がいるんですが、この4月にそうした専門家を入れていなかったのを後悔してですね、6月末にかなりの額を払ってとんでもない人材を入れたところ、目まぐるしく結果が出まして。いい才能には投資をするべきだなあと思いましたね。

秋山社長:人事は6~7年目くらいですね、財務責任者を入れたのが2年半前ですかね。ほんと変わりますよね。入社後あまりにも実情が酷くて「話が違う」とも言われましたけど(笑)。データなんかがどこになにがあるのかわからない状態だったのが、今では健全な状態が保てていますね。

井上社長:でも、やはり報酬が高いじゃないですか。平均3,000万くらいになるでしょう。

秋山社長:お金周り、内部統制周りは正直どうでもいいと思ってしまうんですよ。ちゃんとやらなきゃいけないのも分かっているしちゃんとやろうとも思うんですけど、興味がないんです。それならば、3,000万円を突っ込んででもスーパーマンを呼んできた方が絶対いいです。あくまで自分が苦手な分野で、大切な分野があるのであれば投資をして得意な部分に集中できるよう全力を尽くしましょうということです。

木村:では次が最後の質問で

質問:知的財産の戦略について、また準備について

阪根社長:知財に対しては毎回フルスイングで、お金がかかろうとめんどくさかろうともやるべきですね。ただ1つだけやらなくていい、やる意味がないものがあって、製造方法特許は取っても、訴えるのに金がものすごくかかるし手間もかかる。ただ製品・メカニズムに関しては絶対妥協するべきではなく、あとは最後単純に自分たちが工程や技術を正しく理解していればそれで良いのではないでしょうか。

最後に

木村:最後に、今日参加の起業家の方々へメッセージをお願いします。

井上社長:僕らは8年後の2025年までに子会社を100社にします。海外展開100ヵ国にします。なので事業プランなどご提示いただければ出資も致しますし、業務提携も致しますのでぜひお声を掛けていただければと思います。投資家の方は一緒にいい会社探して投資しませんか。メディアの方は情報がたくさん入ってくると思うのでいい会社あれば教えてください。基本的には次世代を作るベンチャーを応援していって、世界を変えていきたいと思っているのでよろしくお願いします!

阪根社長:まだまだ道半ばなのでおこがましいのですが、ここまでやってきて言えるのは他社との差別化ができれば、またそういう武器があって、それを成し遂げようと全力でやっていけば必ずや潜り抜けられるので、信じたものに全力投球してほしいと思います。

秋山社長:途中でも話しましたが、理想をどれだけ追求できるか、それに尽きると思います。理想はその人自身が生み出したものなので理想は誰にも変えがたいものだと思うので、信じて信じて信じ切れば必ず切り抜けられると思うので、そこを信じて進んでいってほしいのと、あとは仲間を集めてやっていくので、リーダーに求められるのってそこなんですよね。ビジョンをどれだけ熱く語ってくれるかということだと思うので信じてやり抜いてください。

いかがでしたでしょうか。
チームを率いていく、あるいは構築していくのには何が必要なのかというのは一つのチームを拡大していく中で非常に重要な観点です。

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