こんにちは。去る8月25日、株式会社アドライトは都内にてJapan Tech Leaders Summitを共催いたしました。
Japan Tech Leaders Summitとは、国内外のイノベーターや投資家に各国の最新情報と良質なネットワーキングの場を提供する完全招待制のイベントです。今回はArtificial Intelligence (AI:人口知能)をテーマにパネルディスカッションを4つの回に分けて実施し、その後参加者各位のネットワーキングのための場としてNetworking Drinksセッションを設けました。すべてのセッションは英語で進行されました。
各パネルでは、まずそれぞれの登壇者にお話しをいただいたのち、会場からの質問を交えながらディスカッションを行っていきました。以下、各パネルのテーマと登壇者、その簡単な内容についてご紹介していきます。
白熱するパネルディスカッション
パネルNo.1
テーマ:”The Latest in AI”(AI技術の最新動向)
登壇者プロフィール:
・Fred Almeida氏 (Ascent Robotics Inc. CEO)
・Anthony DeCostanzo氏 (理化学研究所 脳回路機能理論研究チーム リサーチサイエンティスト)
・森 正弥氏 (楽天株式会社 執行役員 兼 楽天技術研究所 所長)
最初のパネルのテーマはずばり、AI技術の最新動向。弊社代表の木村のモデレートのもと、国内におけるAI技術開発の第一線で活躍する方々にその現状をお話していただきました。
Fred Almeida氏は機械学習を応用した自動運転技術のについての研究、開発、OEM提供を行っているAscent Robotics Inc.(和名:アセントロボティクス株式会社)の現CEOです。そんなFred氏からは、自動運転技術の開発においても需要な技術の一つである機械学習というテーマについて、現状とその展望も含めお話を伺いました。
Anthony DeCostanzo氏は理化学研究所の脳回路機能理論研究チームにて研究員を務められていて、脳の情報処理機能の解明と、脳型情報処理機械の創造とについてお話をいただきました。
森正弥氏は楽天株式会社の執行役員でありながら、同社の技術研究所所長も務めておられる方で、世界5拠点にまたがる同研究所のマネジメントを行いながら、ご自身ではAI、情報処理技術関連の研究員として活躍しておられます。そんな森氏からは、日本のAI開発の現状を世界との比較という観点からお話していただきました。
その後の会場からの質問を交えたディスカッションでは、「今後数年のAI関連産業の展望」や、「AI関連の研究、開発の中で最も印象深かったこと」、「シンギュラリティの定義とその時期」といった事項に関して登壇者の皆様の意見をお伺いすることができました。
パネルNo.2
テーマ: “The Next Killer Data” (次世代のデータ技術)
登壇者プロフィール:
・Jean Cha氏 (LG Electronics CTO)
・Sam Davis氏 (amplified.ai 創業者、CEO)
・阪本 道子氏 (Studio Ousia Inc. COO)
・Kevin Takaoka氏 (UsideuU、Inc. 創業者、CEO)
第二回のパネルでは、「次世代のデータ技術」というテーマに関して、海外のスタートアップの創業者である二方も交えてお話していただきました。
Jean Cha氏は韓国LG社のCTOであり、R&Dを担当されている他、スタートアップ投資やオープン・イノベーション関連も手掛けておられます。
Sam Davis氏はamplified ai社の創業者であり、同社はディープラーニングや自然言語解析といった分野でのAI開発を手掛けておられます。
阪本道子氏は自然言語解析技術を用いたサービスの開発、提供を行ているStudio Ousia社の現COOを務めておられます。
Kevin Takaoka氏はAIを利用した働き方改革を推進するUsideuU社の創業者であり、現CEOです。
各産業についてどういったデータをどのように活用していくのか、国際間の比較も合わせて、バーティカルな領域での議論で盛り上がりました。
パネルNo.3
テーマ:”Monetizing Data”(データの収益化)
登壇者プロフィール:
・原田 博植氏(Gruff Inc. 代表取締役社長)
・平手 勇宇氏(楽天株式会社 楽天技術研究所 研究員)
・YJ Min氏(Konolabs Inc. 共同創設者、CEO)
・岡田 陽介氏(ABEJA Inc. 代表取締役社長 兼 CTO)
第三回のパネルでは、「データの収益化」というテーマに関して、国内外のスタートアップの創業者3名と楽天技術研究所研究員である平手氏を交えてお話していただきました。
原田博植氏はデータ関連のコンサルティング業務を手掛ける株式会社グラフの代表取締役社長を務めておられます。株式会社グラフは、企業の有する様々なデータ資産を収益化するためにAIを活用した事業を展開しているそうです。
平手勇宇氏は先ほどご紹介した森正弥氏と同様、楽天技術研究所にて情報解析技術の研究をなされていて、特にWeb解析を専門になされています。
YJ Min氏はAIを活用したスケジュール管理サービスを手掛ける米国Konolabs社のCEOです。KonolabsはAIの持つ高度なタイムマネージメント機能を実用化することを目的に設立されたといいます。
岡田陽介氏は仮想化されたAI技術のビジネスへの活用や、ビッグデータマネジメントを手掛ける株式会社ABEJAのCEOとCTOを兼任しておられます。ABEJAの開発するプラットフォームは、拡大するIoTとそれに伴って増大する膨大なデータを活用できるようにする最先端のAIプラットフォームであり、数多くの投資家から多額の資金調達に成功した日本発技術系スタートアップのひとつです。
「AIを開発している企業ですという説明は、十数年前のウェブサイトを作っている企業ですという説明と同じぐらい広義である」という切り出しから、収益化に向けたビジネスモデルについて各登壇者からの議論で盛り上がりました。
パネルNo.4
テーマ:”Due Diligence of AI Companies”(AI関連企業に関するビジネス評価
登壇者プロフィール:
・Peter Park (LINE Corp.)
・Fred Almeida氏 (Ascent Robotics Inc. CEO)
・Jung-Hee Ryu氏(FuturePlay Inc. CEO)
最後のパネルでは、AI関連企業に対するビジネス評価という切り口から、先ほどご紹介したAscent Robotics社のFred Almeida氏と、LINE社にてクラウド型AIプラットフォームClovaを手掛けるPeter Park氏、韓国にてスタートアップ投資、ネットワーキングを手掛けるFuture Play社のCEOであるJung-Hee Ryu氏の三名にお話しをいただきました。AI関連のスタートアップは買収の対象になりやすく、特に優秀なエンジニアがいればビジネスモデルが脆弱でも買収されイグジットされる可能性があることから投資も受け入れやすく、投資家及び起業家の観点からAI企業の評価の観点について熱心な議論が交わされました。
これからのグローバルオープンイノベーションの可能性
全パネルディスカッションの終了後には、海外からのゲストを中心とした参加者の皆様のためのネットワーキングの場としてNetworking Drinksセッションを開催、皆様熱心に情報交換をなされている様子が伺えました。
今後も株式会社アドライトでは、これからも国内海外の大手企業やスタートアップ、関連する投資家も巻き込んだグローバルオープンイノベーションの発展に向けて、このようなイベントやネットワーキングの場を提供しながら、積極的な活動を推進していきます。