AIで市場予測、移民向けオンラインストア—世界のFinTechスタートアップ

 addlight journal 編集部
FINOLAB

去る9月19日〜22日行われた、日本経済新聞社と金融庁、フィンテック協会共同開催のFinTechイベント「FIN/SUM WEEK 2017(フィンサム ウィーク 2017)」。大手企業との協業機会を得るべく「ピッチラン(プレゼンコンテスト)」に登壇した32社中8社の海外スタートアップ陣が、FinTechによる新規ビジネスを生み出す拠点「FINOLAB(東京・大手町)」に集結し、再びピッチを披露。アドライト編集部が気になったスタートアップをダイジェストでお届けします。

だれもがサービスを受けられる世界に「MYCASH ONLINE」

「出稼ぎ労働者のほとんどが銀行口座を開設できず苦労している。貯金や送金サービスが購入できるマーケットプレイスの仕組みを提供したい」との思いから作ったという「MYCASH ONLINE(マレーシア)」は、出稼ぎ労働者や移民向けのオンラインストア。

MY CASH ONLINE

利用者は専用ID登録後、発行されたパスワードとPINを使ってMYCASH ONLINのWEBサイトにアクセスし、バウチャーを購入。そうすることで、飛行機やバスチケット等の入手、プリペイド携帯電話のチャージ、モバイル送金等購入できる。カスタマーセンターも利用者の母国語に対応する等、こまやかなケアを提供している。

アプリで複雑な保険の理解から購入、管理までできる「PolicyPal」

シンガポールでの保険登録には5週間かかると言われている。アポの設定から始まり、メールアドレス等連絡先の交換、Visaの確認等が発生するためだ。しかもそれらは手入力が主という。そこでスマホアプリで、保険商品の理解から購入、管理まで行えるようにしたのが「PolicyPal(シンガポール)」。

PolicyPal

OCRを活用し、写真やドキュメントのスキャンや分析、フィードバックに至るまでわずか5分で済ませることに成功。旅行保険、生命保険、医療保険を取り扱い、データベースには27以上の保険会社が登録されており、東京海上日動火災保険や損保ジャパン日本興亜、プルデンシャル生命保険等も含まれているという。同サービスは個人だけでなく、法人にも対応している。

2016年4月スタート後、同年10月に500 Startupsから支援を受け、金融機関のガイドラインを発行している「MAS Fintech Sandbox」へ加入する等勢いを増している。

AIで金融マーケットの動向をデイリーで予測「I Know First」

正しい投資判断のサポートをすべく、AIを使って金融マーケットの動向をデイリーで予測する仕組みを提供。株や商品、金利、ETFs等3,000以上のアセットを解析しているという。

具体的には、日々AIアルゴリズムがデータを収集・解析し、そのデータを「I Know First(イスラエル)」のデータベースに登録。機械学習の学習サイクルにのせることでマーケットがオープンするまでにマーケットの動向を予測できるという。機械学習のアルゴリズムには、ディープラーニングや強化学習等、複数のメソッドを活用している。

I Know First

AIアルゴリズムのブレーンとしてAIやマシンラーニングで25年以上のキャリアをもつワイツマン科学研究所の教授を迎えているIKnow First。テルアビブ大学の教授をはじめ、マシンラーニングや数学、統計学のスペシャリストやデータサイエンティストを集めてプロジェクトを進めているそう。現在、東京証券取引所への対応を検討しており、パートナーを募集しているという。

後日、FIN/SUM WEEK 2017のスタートアップピッチコンテストでファイナリストとなった「TenX」のCPO&Co-founder・Paul Kittiwongsunthorn氏と「TelCoin」Chairman・Paul Neuner氏に、仮想通貨で資金調達を行う「ICO(Initial Coin Offering)」をテーマにインタビューしたもようをお届けします。お楽しみに!