【香港スタートアップ】AI特化型アクセラレータZeroth.aiの今後の展望

 addlight journal 編集部

こんにちは。今回は以前もご紹介させていただいたZeroth.aiTak Lo氏にインタビューさせていただきました。今後のZeroth.aiの展望だけでなくワールドワイドな視点から見た日本など幅広い話題で盛り上がりました。

Zeroth.aiについて

以前の記事でもご紹介しているのでご存知の方も多いかと思います。Zeroth.aiは香港を拠点にするAI特化型のアクセラレータです。今年の2月には、我々も招待いただきこちらの記事でご紹介させていただいたZ01(バッチ1)のDemo Dayが行われ、今年の7月にはZ02が控えています。

Z01では7つの地域(香港、台湾、シンガポール、ベトナム、インド、オーストラリア、アメリカ)からの企業が参加しました。これに対しTak氏は多様化の重要性や必要性を理解している上で、多様化を特別促進しているということなくこうなったと話していました。

現在Zeroth.aiは、Tak Lo氏を含めメンバーは5名。Z01の結果を受け、Z02に向けて着手している新しい取り組みについてもご紹介いただきました。

Zeroth.ai Managing Director の Tak Lo氏

Tak氏は大学院を卒業後は、米国陸軍に所属した後スタートアップ業界へ転籍し、その後ワールドワイドに展開するアクセラレータのTechstarsのディレクターを務めたり、ニューヨークやシンガポールなどのスタートアップのアドバイザーを務めていたりと、輝かしく珍しい経歴の持ち主です。また20年ほど前には日本でのホームステイ経験もあるとのこと。今回はAirbnbを利用してZeroth.aiのメンバー全員で横浜に滞在しているとのことで、日本は過ごしやすいと感じているそうです。先月行われたSLUSH ASIAのスピーカーの1人として来日してから1か月ほど日本に滞在され、日本のスタートアップエコシステムに関わるプレイヤーと積極的に交流して、今後アクセラレータプログラムに招くスタートアップ企業の発掘を含めエコシステムの理解を深めようとされています。

そうしたキャリアのなかでアメリカ、イギリス、香港、日本について、

  • ニューヨークは賑やかで、テンションの高い独特のノリがある、またピッチが上手い
  • ロンドンは比較的控えめであり、いろいろな場所から英語が話せる人が集まっている
  • 香港は始まったばかりでまだまだこれから
  • 日本は技術はあるもののピッチがあまり上手でない

といった印象があるとお話しいただきました。

更なる進化を遂げる次バッチの全貌

今年2月に行われたZ01では1社あたり20K USDの投資で、7地域、8つの業界から10社が参加しました。

Tak氏によると、今年7月に行われる予定のZ02では120K USDと1社あたりの投資額はZ01の6倍に、参加企業は2倍の20社にもなるということです。120K USDというとアメリカのトップのシードアクセラレータY Combinatorと同水準となりますが、世界水準の競争のため、次の資金調達までの資金を確保し各チームがより事業にフォーカスできるような形にしなくてはならないとTak氏は力説しています。また、アメリカと比較したときのアジアのエンジェル投資家の少なさについて指摘していました。

またメンター数は30から40人だったのに対し8人程度と25%程になります。これについてTak Lo氏は「トータルの人数自体は減るが、質が上がる」と話します。AIという分野により強く経験豊富なメンターを揃え、少ない人数で高い質を保つ少数先鋭のメンタリング体制がアクセラレータプログラムをより良くするものであると感じられたそうです。

今後のプランをホワイトボードで書いていくTak氏

Zeroth.ai – バッチ1とバッチ2の比較

Z01 Z02(予定)
1社あたりの投資額 20,000 USD 120,000 USD
参加チーム数 10 20
地域 7 TBA
産業分野/業界 8 TBA
応募チーム数 100 TBA
メンター 30~40 7~8
期間 2016/11~2017/02 2017/07~2017/10

また、Z01のDemo Dayは香港で行いその様子をライブ配信で東京、北京、ソウルへ届けていましたが、Z02では1つのロケーションに集約し前回よりも大規模なDemo Dayを開催することを検討しているそうです。

参加チームへ更なる付加価値を提供していく

そして今後さらに2つの機能を実装し、参加チームに更なる付加価値をつけていく計画であると言います。

1つはよりアカデミックな観点でAIに関する知見をノウハウ化することで、参加チームがより専門性の高いAI関連のテクノロジーにアクセスでき、AIに対する理解と対応力を底上げしていくことです。AIの領域に対するアウェアネスをより高くしていきたいという野望を持っているTak氏。新たな分野へどのように適用していくかという点が非常に重要になるとお話してくれました。

2つ目はZeroth.aiに参加しているスタートアップがいつでも利用し検証やトレーニングに利用できるData Centerの構築です。例えば、Facebookやfoursquareが提供するAPIを繋ぎこむことで利用が可能となり、それにより、AI系のスタートアップ企業が気軽に利用できる環境を構築していくそうです。

Be brave. And if you want to figure it out, you will.

Tak氏は日本について「経済大国のひとつでありマーケットは大きく、確かな技術力があり、ポテンシャルが高く、影響力を持っている」とした上で、「よりオープンなマインドセットを持ち、英語レベルは気にすることなく積極的にグローバルにチャレンジしてほしい」と語っていました。

最後に日本から海外へ出ていくスタートアップに対してこのような言葉を残してくださいました。

Be brave. And if you want to figure it out, you will.(勇気をもってチャレンジすること。壁にぶつかった時の答えはやり続ければ見つかるものです)

Zeroth.aiのZ02の応募締め切り日は、2017年6月15日になっていますので、ご興味のある方はぜひApplyしてみてはいかがでしょうか。

弊社ではアジアを中心とする海外スタートアップエコシステムとの連携を積極的に推進していきます。

本記事、その他お問い合わせがございましたら、ぜひこちらからお気軽にご連絡ください!

 

Written by G.