シンガポール市街地の中心に構えるコワーキングスペース「WOTSO」。現地取材や代表へのインタビューを通して魅力に迫ります。
一番の競合は「家で一人で働くこと」
Stuart氏が代表を務めるコワーキングスペース「WOTSO」の親会社・Blackwall Ltd(オーストラリア)は、不動産を中心とした事業を展開しています。自社の物件を商業用に部分的貸し出しをしたのをきっかけに、コワーキングスペースの運営を開始。その後、オーストラリアにて10数拠点までロケーションを増やし、昨年よりシンガポールのラッフルズ・プレイス駅近くに関連会社とのジョイントベンチャーでWOTSOを開業。シンガポール中心部のロケーションで、歴史的な建築物をリノベーションし活用しています。
「WOTSOの一番の競合は『家で一人で働くこと』」と語るStuart氏は、家からのアクセスがよく、コラボーレションも生まれやすい立地と内容にこだわり、シンガポールのWOTSOを設計。取材で訪れたシンガポールの拠点は3フロアからなり、2階がオープンスペースと個人用のデスク、3階がガラス戸で区切られたチーム用の部屋、そして4階にはルーフトップラウンジを兼ね備えています。
ルーフトップラウンジではWi-Fiも完備され、月に一度のmeet upの他、会員企業がオフサイトミーティングや個別のイベント等で使う機会もあるそう。入居企業はテクノロジー企業やプロフェッショナル、グローバル企業など多岐にわたり、彼らとのネットワーキング提供も一つの価値となっています。屋外のエリアもあり、とても気持ちの良い空間です。「WOTSOは少し落ち着いたgrown-upなコワーキングスペース」とたとえたのも頷けます。
ビジネスが確立されている入居企業が多く、中には若手起業家のインキュベーション施設「BLK71」を卒業し、WOTSOに居をかまえたチームもいくつかあるとか。
当日迎えてくれたClaire氏は、数年前にイギリスからシンガポールへ移り、育休から復帰後、今の仕事に就いています。「オーストラリアのような広大な国土で運営するのと、シンガポールのど真ん中で運営するのでは勝手が違うものの、コワーキングスペースが乱立するこのエリアでの運営をエキサイティングに感じている」と、笑顔で答えてくれました。
シンガポールとオーストラリア間の動き
Stuart氏の見立てでは、今後、シンガポールとオーストラリアは更に関係性を深めていくようです。例えば、シンガポール発のテクノロジー企業は、新規株式公開(IPO)を目指してオーストラリアの株式市場を目指す動きが強まり、オーストラリア企業は新たな市場を求めて東南アジアのゲートウェイとしてのシンガポールを目指すといった具合です。オーストラリアから東南アジアに進出する際にはシンガポールがゲートウェイになることも多く、オーストラリア企業のような拠点利用も存在しています。
こうした動きもウォッチしておくと、コワーキングへの見方も変わってくるかもしれません。