韓国スタートアップ近況(SparkLabs 8th & K-Startup Grand Challenge)

 addlight journal 編集部

こんにちは。今回は、韓国のソウルに拠点を置くアクセラレーターであるSparkLabsの第8回目となるプログラムとその参加チームについてご紹介します。
去る2016年12月1日、同プログラムのDemo dayがソウル市内にて開催されました。

まずは、SparkLabsの概要についてご説明します。
SparkLabsのアクセラレーション・プログラムは2012年にはじまり、年に2回、それぞれ3か月の期間で行われています。各プログラムへの参加チームは平均して毎回5~6チーム前後であるようです。同プログラムは様々な国籍のメンターを有し、各チームはその中から4~6人とマッチングすることができます。毎週行われるティーチング・セッションでは、韓国の有名なネット企業から学び、彼らと繋がる機会を得ることもできるようです。そして、その3か月のプログラムの最後にDemo dayが開催されます。
例えば7th BatchのDemo dayの様子がYou tube上でも公開されています。
SparkLabs Demoday 7_Highlight Video
なお、SparkLabsは25,000 USDを全チームに投資し、6%のエクイティを取得することを条件にしていますが、この割合は各チームの交渉次第で変更されることもあるようです。
SparkLabsは韓国政府が主導するスタートアップ支援のためのプロジェクトであるK-Startup Grand Challengeにおいて公認のアクセラレーターともなっています。K-Startupについてはまたのちほどご紹介いたします。

では、第8回目となった今回のバッチに参加した10チームを紹介していきたいと思います。

1. DreamSquare
大学の卒業生が最適な職に就けるよう支援するためのサービス。人口知能を用いてマッチングを行うプラットフォーム “Talent X”を運営する。一定の質問に対する学生の回答を鑑みたうえで、個々の技能や興味、価値観などに従って企業を推薦してくれる他、診断結果を逆に利用して、各学生が希望の職業に就くために何に優先して取り組むべきかといったことも提示してくれるサービスを開始するという。大学側から課金するモデルとのこと。

2. GOMI [サイトなし] 飼い主の不在時に、飼い犬のストレスを緩和するためのIoTガジェットを開発。犬の特性を踏まえて、安全かつ頑丈で使用しやすいデザインに設計されている。飼い主の持つデバイスにリンクさせることで、犬の活動量を常時把握することも可能。日本ではソフトバンクと連携して販売していく予定とのこと。

3. Kloser [サイト閉鎖中] 同じような興味関心を持ち、似通った性格の人同士をつなぎ合わせるためのマッチングサービス。入力したデータや、Facebookのアカウント情報を参考にして、自動的にマッチングしてくれるところに特徴がある。

4. KOODING.
韓国の最先端ファッションに特化したオンラインサイト。代表的なブランドから直接購入することができる。

5. Queens Bucket
独自の抽出方法で製造したゴマ油を販売する企業。韓国料理に欠かせない穀物類を中心とした食材を販売する「パンアッカン」、それを現代風にオシャレにアレンジした店舗も展開している。試食してみましたがフレッシュな味わいでした。

6. Swingvy
企業向けに人材管理のためのソフトウェアを提供。あらゆる情報を集約することを目指して開発されており、例えば各従業員の休暇や欠席情報の管理のほか、各々のパフォーマンスといったものを記録し、会社が合理的に人的資源を振り分けていくことを支援する。

7. Tutoring [アプリのみ] アンドロイドをベースにした、英会話アプリ。英語圏のネイティブスピーカーと韓国人をオンラインで接続し、用意された様々なトピックに関して会話をすることができるというもの。料金は定額制とプリペイド制に分かれている。市場は韓国をターゲットにしている。

8. UserHabit
アプリ開発者が、各種データを活用してUXを向上させるためのツール提供。例えば、各エンドユーザーがどのように画面をたどっていったかといったデータや、どのようなジェスチャーで操作していたかといったデータを集め、視認性や操作性の面での改善を図っていくことができる。

9. XBRAIN
機械学習というツールを、特に専門知識を持たない事業者や研究者でも利用できるようにするためのソフトウェアを開発。2016年に開催されたThe International Conference on Machine Learningにおいて、自動化機械学習の部門で第3位に輝いた実績がある。

10. CyGov [サイトなし] 政府やそれに関連する機関向けにサイバー攻撃からデータ等を守るためのサービスを提供。チームはイスラエルで訓練を受けたサイバーエージェントを何人か含んでおり、同国の国家レベルでの対サイバー攻撃のモデルを採用している。なお、イスラエルは国家レベルでサイバー攻撃に対処する機関を形成した最初の国家であり、そのモデルは最先端のものであると説明されている。

このように、Sparklabs 8 th batchには、就職支援や趣味のためのマッチングサービスやHRサービスから、機械学習の導入や政府レベルでのサイバー攻撃対策といった高度に専門化されたサービスまで、さまざまなチームが参加していました。
最後に、先ほどお話した韓国政府によるスタートアップ支援プロジェクトであります、K-Startupについてお話します。

K-Startup GRAND CHALLENGE 2016
K-Startupは参加するチーム向けに専用のキャンパスをソウル市内のPangyoに設けており、キャンパス内では3Dプリンターをはじめとする様々な最先端デバイスを配備したコワーキングプレイスから、食堂、フィットネスジムといった生活空間までを提供しています。アクセラレーション・プログラムである、K-Startup GRAND CHALLENGEでは世界中のスタートアップの参加を募っており、以前の記事でも紹介しましたように、最終的には上位20チームに30K USDの補助金が、さらに上位4チームには追加の6K/20K/40K/100K USDの助成金が韓国ウォンで支給されます。選ばれた40チームはメンタリングプログラムを受けることができ、さらに厳選された20チームにファウンダーとのマッチングの機会とDemo Dayへの参加権が与えられるようです。参加チームには、往復渡航費の支給以外にも、医療サービスや、通訳サービスといったものも提供されています。
スタートアップにとってはまさに至れり尽くせりといった同プログラムは、ヒュンダイやLG、サムスン、NAVERといった韓国を代表する企業も協賛していて、産業界と連携して韓国のスタートアップ・ハブとしての存在感を高めていこうという狙いが垣間見えます。

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