【台湾スタートアップ事情】台湾を、アジアを、そして世界を巻き込むインキュベーターGarage+

 addlight journal 編集部

台湾スタートアップトレンドをお届けするシリーズ。今回は台湾を拠点にイノベーション創造を引き起こすインキュベーター、Garage+をご紹介いたします。
とにかく幅広く手厚いサポートに注目です。

Garage+を支えるEpoch


Garage+はEpoch(時代基金會)というNPOに支援され運営されています。そんなEpochとは一体何なのか、まずはご紹介していきます。
Epochは台湾、アジアパシフィックの経済発展を促進することをミッションに、社会のために将来の優秀な人材を育てるということをビジョンに掲げています。幅広いネットワークは30以上もの国内企業のみならず、MIT(マサチューセッツ工科大学)やカリフォルニア大学バークレー校といった名門大学や、イギリス王立国際問題研究所などトップクラスの調査機関にまでグローバルに広がっています。

Epochのプログラムはイノベーションと起業家精神育成の初期段階、Garage+を含む産業発展の段階、そして国際機関などと産業連携を行う段階と3つに分かれています。これらを包括的に行っていくのがEpochの特徴だということです。

台湾だけでなくグローバルに実績を上げる


Garage+のプログラムにはこれまで97ものスタートアップが参加し、そのうち37チームは海外からのチームです。これまでの全チームの資金調達成功率は平均して75%ということだそうで、最も多い分野はビッグデータやコンピューティングで3割強を占めるとのこと。これらに続いてIoTとヘルスケアがそれぞれ2割を占める形となっており、ヘルスケアの資金調達成功率はなんと100%ということなので驚きです。

MITのコンピュータ科学・人工知能研究所もパートナーの一員となっている

CSAIL所長のロドニー・ブルックス博士が設立したRethink Robotics社のロボットがエントランスでお出迎え(写真右) Rethink Roboticks初のアジアオフィスをGarage+に開設


これだけの実績を上げているのには理由があります。Garage+の幅広い支援がその1つで、Garage+の大きな特徴となっています。2017年のGarage+ Startup Grobal Programでは10日間の間にパートナー、投資家、そして市場を見つけ出すというスピードを実現するため様々なサポートを行っています。VISA申請の手助けや、パートナー、投資家との1対1のミーティングのアレンジはもちろんのこと、10日間の宿泊施設の用意や3ヵ月のワーキングスペースの提供、さらには海外から参加のチームには往復航空券をGarage+側で負担するという手厚さ。この支援もあってか、2017年1stバッチではなんと21もの国から135チームが参加しました。最も参加チームの多い国は33チームが参加したアメリカで、次に26チームでイスラエル。また、Garage+の持つグローバルネットワークも、500 Startupsや1776、日本でもDMM.comやTechCrunch Japanなどに広がっています。

ここでGarage+のプログラムに参加したチームをいくつか紹介していきます。


参加チーム

Lucid

2015年のStartup Grobal Programに参加したアメリカのLucidは3DVRカメラを開発。台湾のODMメーカーWistron社と提携し、Lab360やTEEC Angel Fundといった企業やエンジェル投資家から約2億円の調達を行いました。

 

ImmerVision Enables

ImmerVision Enablesは2000年にフランスで創業、現在はカナダを本拠としています。360°カメラの開発を行っており、Startup Grobal Programを通じてフォーチュングローバル500にも選出された台湾のODMメーカー、Quanta Computerと提携。また、日本のクラウドファンディングサイトMakuakeではSolo Piという製品を掲載しました。

Blocks Wearables

Lucidと同じく2015年のStartup Grobal Programに参加したBlocks Wearablesは世界初のモジュール型スマートウォッチを開発。こちらはロンドンを拠点とし、Kickstarterで約1.8億円(1.6億ドル)の資金調達に成功。さらにクラウドファンディング史上2番目に大きなスマートウォッチ会社となりました。

 

ここで紹介している企業はごく一部ですが、このように、Garage+では、幅広い国と地域から参加してくるチームの資金調達の多数サポートしていることをお分かりいただけたかと思います。このような海外からのスタートアップを台湾に誘致し、台湾の大企業との接点を生み出すグローバルオープンイノベーションというのもGarage+の特徴の一つです。

 

最後に

Garage+、またEpochのプログラムに参加する各チームの実績の裏にはそれぞれのチームへの懇切丁寧なフォローがありました。最初に挙げたような台湾、あるいはアジアパシフィックの発展を促進するというミッションや人材育成を掲げているということが手厚いフォロー、サポートの根底にあるのでしょう。
台湾のスタートアップエコシステムへの貢献だけでなく、グローバルに支援し、世界規模で動いているというのが非常に印象的でした。

いかがでしたでしょうか。
弊社では今後も海外のスタートアップコミュニティーに関するトレンドや情報をお届けして参ります。本記事、またその他お問い合わせがございましたら、ぜひこちらからお気軽にご連絡ください!