【台湾スタートアップ事情】複合企業アクセラレータプログラムによる新たなイノベーションの形

エンターテイメント領域のアクセラレータプログラム

今回は台湾にて複合企業アクセラレータプログラムを展開するDIT Startupを紹介していきます。

Appworksやgarage+などのインキュベーション施設は台北市内にあるのに対し、台北市内から車を走らせること30分、DIT Startupの拠点は新北市・新店というエリアの真ん中にあります。大きな川に面し、近くには烏来などの観光地も多く、週末は多くの観光客がボートに乗りに来るような快適な場所です。

「台湾メーカーHTCの本社のすぐそばにあるため関連する外国企業なども多く訪れ、関連するゲーム企業の1社も入居しているビルのワンフロアが我々の拠点なんです。」お話をお伺いしたのは、DIT Startupsの育成事業部のディレクターを務めるManny Li氏。Manny氏は以前はゲームやエンターテイメント領域のアナリストをしながら、業界の記事を書いたり、若手クリエーターを集めたイベントをして独自のコミュニティを形成してきました。そんな彼がDIT Startupsにジョインしたのが今年1月。CEOであるRosa氏に誘われ、Rosa氏の持つエンターテイメントやゲーム業界の重鎮たちとのネットワークと、自身の持つ若手クリエーターのネットワークを掛け合わせれば面白い化学反応があるのではないかと考え、ジョインを決めたといいます。

Manny氏によると、DITとはDo It ! Team up !の略であり、数年前に設立され関連するゲームやエンターテイメント領域へのベンチャー投資を行ってきました。今年からはエンターテイメント領域に特化したアクセラレータプログラムを開始し、現在は12チームが参加する3か月間のbatch1の最中です。「IoTやヘルスケアに特化したインキュベーションやアクセラレーションのプログラムは台湾にもいくつか存在するが競争も激しいため、我々は他が注力していないエンターテイメント領域にフォーカスしているんです。」とManny氏は話します。メンター陣もCEOのRosa氏やManny氏の人脈で、アライアンス企業連合や業界のメンバーを中心に30-40名が在籍し、予約制の週次でのオフィスアワーを行っています。また、オフィスアワーとは別に週次の座学のカリキュラムがあり、3か月のプログラム期間の半分はプロダクト開発、残りの半分はマーケティングを、アライアンス企業連合の第一線で活躍している方々をお招きして開催しているとのこと。Batch1の大半はゲーム及びエンターテイメント領域においてBtoC事業を行っています。

複数のアライアンス企業による複合企業アクセラレータプログラム

さらに、DIT Startupの取り組みは、エンターテイメント領域にフォーカスしていることの他に、もうひとつ特徴的な要素があります。それは、DIT Startupが7つのアライアンス企業連合の投資によって設立・運用されていることです。そのうち5社は台湾での中堅ゲーム企業であるgamania社をはじめとするゲームやエンターテイメントで構成され、残りの2社は不動産・投資企業とのこと。また、不動産・投資企業がアライアンス企業連合にいることもあり、DIT Startupが入居するビルの2階にはカフェも併設されており、DIT CafeとしてDIT Startupの傘下で経営しています。

「DIT CaféはDIT Startupの収益源となっており、そこでの収益をアクセラレータプログラムに回しています。ちょっとした打ち合わせや大きなイベントなどを行う場合にはDIT Cafeを使っています。」今回の取材もDIT Cafeで行われました。

また、DIT Startupがこれらアライアンス企業連合により運営されている結果、アクセラレータプログラム後の展開として、
1.アライアンス企業連合とのIP(知的財産)やコンテンツ面など含むコラボレーション
2.最終的なアライアンス企業連合とのM&Aによるイグジット
も想定しているとのこと。これらの展開はこれからとのことですが、その前段として既に、毎週のクローズドな交流イベントを通じて、アライアンス企業連合の経営陣とアクセラレータプログラム参加企業との交流により、双方に刺激が生まれているそうです。Demo dayもクローズドでアライアンス企業連合向けのみに行われるとのこと。

最後に

いかがでしたでしょうか。関連するアライアンス企業連合による複合企業アクセラレータプログラムは世界中でもまだ新しい取り組みであり、このアクセラレータプログラムもbatch1の最中のことですが、ここからどのようなイノベーションが生まれるか楽しみです。Manny氏曰く、同じ業界のアライアンス企業連合による取り組みについて、当初は競争関係などを心配していたそうですが、新たなイノベーションの種を一緒に見つけていこうという気運のほうが高く、関係も良好でこれからの創造できない化学反応に期待しているとのこと。広い意味ではオープンイノベーションの新しい形とも呼べるDIT Startupの複合企業アクセラレータプログラムの取り組みからどんな革新が生まれるか、引き続き注目していきます。

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