近年よく耳にするブロックチェーン。毎日のように新聞やネットニュースを飾り、2017年度ブロックチェーン関連の特許申請数は前年度の3倍にもなるという。(Cointelegraph)
さらに、今年のブロックチェ―ン・ソリューションへの投資額は昨年度の二倍以上の約21億ドル(2330億円)に上るとまで予想されている。(vccircle)
ブロックチェ―ンという言葉は知っている。でも、ネットで調べてみて仕組みが分かっても、何がすごいのかが分からない。
もしくは、ブロックチェーンを使った新規事業開発を行ったり、どこかと協業したいと思ってもどこにアプローチをしてよいか分からない。そんな風に思ったことはないだろうか?
そこで今回はブロックチェーンを使った認証システムの現状を追いつつ、弊社より販売中のブロックチェーンレポートからスタートアップ二社の事例を紹介したい。
広がるブロックチェーンを使った協業
ブロックチェ―ンを使用した認証システム分野のコラボレーションが最近次々と登場している。日本でもこの認証システムに関する注目度は高く、現時点で二社が既にこの分野に着手している。株式会社SoftBank(以下、SoftBank)と株式会社ディー・ディー・エス(以下、DDS)だ。
SoftBankでは今年5月29日にアメリカに本社を構えるスタートアップと共同でブロックチェ―ンベースの高セキュリティ認証ソリューションを開発した。これによりユーザーは、ユーザーIDやパスワードを入力することなくウェブサイト上のサービスにログインできるようになるそうだ(SoftBank)。
対するDDSは日本のスタートアップとコラボレーションし、生体認証とブロックチェーンを融合した新技術による製品開発・販売を行うと2018年7月9日に発表。生体認証技術の研究に特化したDDSとブロックチェ―ン技術に強いスタートアップの協業により、広範囲での決済市場における本人確認とその利便性向上の実現を求める声に応える予定だ。(DDS)
ブロックチェーンの認証市場は世界的にも幅を利かせている。
現に中国では企業、政府、ブロックチェ―ン生体認証システムに特化したスタートアップが協力、社会保険をブロックチェーン上に置くことで安全性を保ちながら手続きの効率化を図ろうとしている(The bridge)。
さらに、アメリカではebayなど多数の企業とスタートアップが協力しブランド品をデジタルアセット化してブロックチェ―ンに組み込むことで商品の認証プロセスを効果的かつ偽造品の特定を可能にするソリューションを提供(Techwave)。これにより、ブランド品の価値を判断する信頼できるシステムが構築され、ブランド品の中古市場に活気が生まれることが予想される。
ブロックチェ―ン基盤の認証システムは開発段階のみに留まらない。隣国韓国では韓国銀行連合会がブロックチェーン基盤のID認証サービスを導入すると今年6月に発表した。このシステム導入により、証明書の改変や偽造を困難にし、秘密鍵をスマートフォンで保管・携帯することにより、複製や詐取、不正使用も防ぐことができるそうだ(Cointelegraph)(Roboteer)。
認証システム分野を扱うスタートアップ
認証システム分野は複雑かつ高度な技術を必要とする。この市場に参入するには専門の技術をスタートアップの手助けを必要とするだろう。
では具体的にどのようなスタートアップがどんな技術を持ち、この分野をリードしているのだろうか。弊社ブロックチェ―ンレポートより、2015年に設立された「UniquID(アメリカ)」と、2014年創業の「Stampery(スペイン)」を例に挙げみてみよう。
スタートアップ例1: UniquID
UniquIDはブロックチェ―ン技術とスマートコントラクトを使いオフラインでデバイスを識別する技術を構築している。
スマートデバイス同士が仲介者なしで通信や協力し、デジタルIDと貴重なデータ遠隔地や脆弱な中央装置から遠ざけ、安全で生産的な相互運用を可能にするインフラストラクチャを提供。また、デバイスは、安全な認証によってデジタル接続された資産を保護するために構築されたプライベートブロックチェ―ンにつながる。これにより従来型のパスワード利用や複雑な中央装置、そしてエネルギー消費の激しいIPアドレスなくオフラインでの安全な通信、識別、認証を行うことができる。
スタートアップ例2: Stampery
一方でStamperyはあらゆるファイルやコミュニケーションを認証・証明する公証サービスプラットフォームを構築している。Stamperyはブロックチェーンによってデータの存在、所有権、そして完全版であることの証明などを完璧に安価で提供することを目指している。
同社のStamp.ioはアカウントを作成しファイルをドラッグ&ドロップするとファイル名、証明書の申請日時、署名ユーザーの名前、データのハッシュを記載した証明書が発行される。(弊社ブロックチェ―ンレポートより)この技術は二つのパブリックブロックチェーンのセキュリティーの高さ、誰もがデータの正しさを確かめられるという性質に支えられている。
また、たとえStamperyがなくなったとしても、データはブロックチェーン上に残るため証明は有効なものとして存在し続けることができるそうだ(Blockchain Biz)。ブロックチェ―ンの利用により現本来の手続きよりも時間やコストを削減し文章を安価かつ完全に証明できるようになっている。現在は、エストニアのID「e-residency」を利用しファイル証明を行い、Microsoft OfficeはStampery APIによりドキュメントの認証と検証を行うことができる段階にある。同社はForbes「30 Under 30」に選ばれ、Blockchain Capital やDraper Associatesによる資金調達を実施している。
そのほかにも多数のブロックチェ―ンスタートアップがこのフィールドの開拓を進めている。
このようにブロックチェーンの事業は加速し続けている。上記に紹介したのはほんの一例に過ぎない。ほかにもブロックチェ―ンはサプライチェーンや金融、不動産、アドテクノロジー、医療など様々な分野で応用されている。弊社はこれら分野をカバーする海外のブロックチェーン活用事例を販売している。世界の有望ブロックチェ―ンスタートアップの分野別チャートやブロックチェ―ン活用事例の特徴なども纏めている。
詳しい情報が知りたい方、ブロックチェ―ンの活用事例や関連スタートアップについてご興味のある方はこちらから。