AnchorstarカントリーマネージャーエクスペリエンスVol. 2 – 日本で成功するスタートアップ・カントリーマネージャーとは

 addlight journal 編集部

企業の日本市場進出を支援するAnchorstar.Inc弊社アドライトは、多国籍企業のカントリーマネージャーに向けて開催された、画期的なイベントにオブザーバーとして参加しました。

Anchorstarとは

Anchorstarは、主に海外の企業が日本に進出するのを支援するプラットフォームで、虎ノ門・西新橋に拠点を置いています。創設者兼CEOの児玉太郎氏はFacebookの日本進出を手がけた人物であり、今回のイベントでは児玉氏の経験から得られたノウハウが詰まった参加者にとっても大変有意義なイベントとなりました。

カントリーマネージャーエクスペリエンスとは

カントリーマネージャーエクスペリエンスvol2と題された今回のイベント。児玉氏は、イベントの始め、「カントリーマネージャーでの経験をもとに、次のfacebookが日本に参入できるコミュニティーを構築したい」とお話しました。カントリーマネージャーとは、グローバルに展開をする企業がある国へ進出する際に任命する代表者や拠点長のことを指しています。本イベントでは、①企業が海外に参入する際に掲げるべき目標②参入1年目における目標③最初に雇う人材④成功する企業のエレーベーターピッチの4つに分けて開催されました。

成功する市場戦略

児玉氏はまず市場参入における4つの戦略を紹介しました。

1つ目の戦略は「Break into the market」。この戦略が有効なのは、プロダクトが参入する市場に対してフィットすることや消費者からのニーズもあることが見込まれているといったケースです。この場合、既存のビジネスモデルにてオペレーション全体を迅速に立ち上げることができるとのこと。

続いて2つ目の戦略は、「Create the market」。この戦略を活用すべきケースは、プロダクトが参入する市場に対してフィットすることは見込まれているという点で同様ですが、ターゲット層の顧客に知られていないことが前提の時です。その場合、まずは現地独自のオペレーションを小さくはじめコミュニティー形成とメディアなどを通じたプロダクトの認知度向上が必要といいます。児玉氏によるとFacebookが日本へ参入した時はこのパターンだったそうです。

3つ目の戦略は、「Put your feet in the water」で、これは市場に対するフィット性が明確ではないケースに用いられ、その場合には、既存のオペレーションの一部でスモールスタートし時間をかけて適応していくのが良いとのことでした。

最後に4つ目の戦略は、「Run and Learn and Run」と呼ばれ、市場に対するフィット性が明確でなく、かつ、プロダクトの認知度も高くない場合に有効なようです。この場合、既存のビジネスモデルで本格的にオペレーションを始動し、時間をかけて適応してくアプローチが推奨とんことでした。

プロダクトのターゲット市場とのフィット性や親和性、認知度、コミットメントの度合いなどによって、立ち上げの戦略が異なってくるそうです。その後、様々な国の企業の参加者が5人ほどのグループを作り、児玉氏のアドバイスのもと、ディスカッションやプレゼンテーションが行われました。

実在する企業「PipeDrive」の例を活用したケーススタディ

それぞれの戦略がどのように利用されているかを知るため、PipeDriveのケーススタディが行われました。PipeDriveは、クラウドベースで顧客管理(CRM)が行えるサービスを提供する成長期にあるIT企業です。アメリカ、イギリス、エストニア、ポルトガルに拠点を持っています。

事前に録画されたPipeDriveからのビデオメッセージ

 

PipeDriveは300人以上の従業員を持ち、3000万円ほどの調達を実行しています。また、世界を牽引するCRM、販売管理ツールのプロバイダーであり、中小企業、特にB2B領域を手がけるアーリーアダプターをターゲットに展開しています。また140ヵ国以上に5万人以上の顧客を持ち、顧客の商品がヒットする手助けをしています(競合はMicrosoft ExcelやGoogle Sheets)。

PipeDriveは口コミとデジタルマーケティングの到来で成長したものの、日本での認知度は現在低く、顧客の多くは東京に勤務する外国籍のお客だそうです。

皆さんだったらどうエレベーターピッチするか

20分ほどケーススタディを行なった後、エレベータピッチの準備の時間が数分設けられました。簡単なカントリーマネージャーとしての自己紹介だけでなく、企業のビジョンやユニークな点を述べるというもの。発表は個人間だけでなくグループ内でも行われ、一部のピッチに対しては児玉氏が直接フィードバックを行うシーンも見受けられました。

一年目の参入戦略

エレベーターピッチの後は、参入後一年目の戦略について。ここでのミッションは「PipeDriveのカントリーマネージャーとして、一年目で100以上の日本の法人顧客を獲得しなさい」というもの。成長戦略のため、現地に合った製品、事務所、ホームページ制作、マーケティング、コミュニケーション…などを考慮にしながら、首尾一貫したものを作ることがポイントのようです。また、さらなる参加を促すため、付箋紙やマーカーが配られ、それぞれが作業に取り掛かっていました。

最強の人材を見つける

新規市場の参入において重要なのが、「自分の戦略を実行する人を見つけること」。ここではPipeDriveの戦略を実行する人材を集めるための募集要項を作る作業が行われました。

以下二つが重要な項目として挙げられました。

・候補者に必要な能力を明確化する

・どこで候補者が見つかるか明確化する(LikedInなど)

例えば、コミュニティーマネージャーは多くの(潜在)顧客を取り扱うため、顧客の事業の本音が見えてきます。そのため、的確なプランニングスキルと明確にコミュニケーションをとる力が必要です。

グループディスカッションを通して、人事部の優先度を明確にした後、20分ほどの時間で募集要項や必要スキルをまとめていく作業が行われました。ラップアップでは多くの質問と回答が飛び交い、その後、食事と共に交流会が開催されました。

YAHOO, FACEBOOK, KICKSTARTER、に続くものは…

今回のカントリーマネージャーエクスペリエンスでは、業界の第一線で活躍するキープレイヤーが同席しました。進行を務めた児玉氏は、Yahoo Japan corp, Facebook Japanの日本進出を手がけた後、クラウドファンディングのKickstarterの日本拡大に着手しています。また、Fresco CapitalのAllison Bau、またその投資先企業、EdTechスタートアップMake SchoolのMiki Nomura 、コミュニケーションコーチングのプラットフォームLingoLiveのGraham Kerr達も参加し、大盛況のうちに幕を閉じました。

参加者は志が高い20~40代が中心で、男女比は3:1程度でした。進行は日本語と英語の両方で行われ、全体的に多様性に富んだインターナショナルで活気に溢れた雰囲気であったことが印象的でした。
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