2018年はこうなる!日本のベンチャー、オープンイノベーション予想

Tadaaki Kimura  Tadaaki Kimura

明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

1年前、「2017年の展望(国内スタートアップ、東アジアスタートアップ、オープンイノベーション)」をしたためました。概ね予想に近しいかたちで推移していることに気をよくし(笑)、今年は国内の動きに絞った形で5つ予想してみました。

【2018年の展望その1】ベンチャー企業は“全力で逆張り”

昨年末に飛び込んできた、月探査のアイスペース社が101億円の資金調達を発表したというニュースはまさに際たる例でしょう。本ラウンドに参加した投資家には国内大手企業も軒を連ね、オープンイノベーションのこれからのひとつの形を象徴しているようにも思います。同社には設立前から関与していますが、宇宙領域は国内での資金調達が難しいと言われ、ボードメンバーと一緒にアメリカ等に資金調達の可能性を模索していた数年前とは隔世の感があります。

オープンイノベーションの進展により、国内の大手企業は自社の本業に近い周辺領域に直接アプローチできるようになってきました。そうなると、ベンチャー企業には自分たちでは手の届かない領域を扱ってもらいたいという期待が生まれます。経営学でいうところの「stuck in the middle」、つまり“中途半端な戦略はダメだ”という言葉にもあるように、ベンチャー企業の最初のプロットは思いっきり遠くに飛ばして、その後現実路線に引き戻していく「逆張り」のアプローチにより、チャンスを得られる環境が生まれてくると思います。

【2018年の展望その2】大学発技術シーズの事業化が進展

弊社も産学連携の支援をさせていただくことがありますが、うまくいったケースもあれば、Teslaに先駆けて電気自動車に挑戦した、幻の大学発ベンチャーの悔しい例もあります。

日本発・イノベーションの機会を創出するには、先端技術や研究の事業化が欠かせません。アカデミアのみでは事業化という観点で機能が不足しているため、キャズムを超えるにはオープンイノベーションの形による民間企業も現場レベルで巻き込んだインクルージョンが必要のように思います。昨年、各主要大学の産学連携機関やTLO、更には国からのリスクマネー投下によるVC立ち上げ等のニュースが目立ち、ようやくではありますが、機は熟してきている感じがします。

【2018年の展望その3】ベンチャーエコシステムの国際化はインバウンドから

日本のベンチャーエコシステムが世界から孤立していると言われていますが、昨年よりグローバルなスタートアップ企業がFintechやAI(人工知能)の領域を中心に増えてきています。特に、エンジニアや研究者など優秀な人材が日本のカルチャーや研究機会・先端領域の事業機会を求めてインバウンドで日本にやってくるケースも見受けられました。

言語のハードルも低い(英語が使える率が高い)ことから、政府のバックアップもありうまく回り始めている印象です。世界で戦えるベンチャー企業を日本から生み出すには、インバウンドで海外人材を招き入れ、多様なチームアップで事業展開していくことが肝要です。

【2018年の展望その4】必要な企業能力は「阿吽の呼吸」から「空気の読めない言動許容」へ

日本の企業は阿吽の呼吸を大切にし、ひとつの事業や業務効率追求型のイノベーションを得意としてきました。社会の変化が少ない時代はそれで成り立っていましたが、ITのめまぐるしい進歩や、アメリカの政治をはじめとする国際状況、仮想通貨の暴騰等、予想できない状況に対応するには、こうしたハイコンテクストでコミュニケーションする文化が裏面に出ることもあります。

これからは、均一化されていない、ある意味空気の読めない人材や発言、行動、国籍含め多様性のある人材等を許容・共生している組織が想定外の状況でも生き残っていける時代になっていくでしょう。こうした企業文化の醸成が経営トップの喫緊の課題といえます。

【2018年の展望その5】オープンイノベーションは一巡し結果を出すフェーズに

いわゆる形式的なオープンイノベーションは一巡し、各社様々な戦術を組み合わせて事業化に向けた結果を出すフェーズに入ってきました。単発の施策ではなく関連する活動、例えばベンチャー投資やコーポーレートVC、アクセラレーションプログラム、M&Aによるスタートアップ買収、社内ベンチャー制度等の各施策を有機的に連動させてオープンイノベーションを成功に導く必要があります。

ここに正解はありません。日進月歩に対応しながら、社内外を取りまわして成果に結びつける総合力が問われます。今年は先進的な企業から順にそうしたオープンイノベーション活動に向かっていくと思われます。

編集後記

昨年は、2008年アドライト創業以来、最も大きな動きがありました。多様なバックグラウンドを持つメンバーが増えたことで様々なイノベーション案件や取り組みができるようになり、イノベーション情報発信を行う本メディア「addlight journal」の日本語版ローンチに加え、ネイティブメンバーによる英語版もスタート。

オープンイノベーションや世界のスタートアップトレンド、起業に必要なノウハウ指南といった自社イベントも主催・共催含め継続し、最近では英語と日本語で併せて展開もしています。

また、年末からはForbes Japanにてアジアのスタートアップに関する連載も始まりました。現在、第三弾まで公開中です。
第一弾:政府主導は吉と出るか―アジアのオープンイノベーション事情
第二弾:「子連れ出勤歓迎」上質空間とサービスでもてなすコワーキング
第三弾:ICOで87億円調達のスタートアップが説く、仮想通貨との付き合い方

乃木神社

乃木神社にてくじを引いたメンバーから大吉が相次ぎ、幸先のいいスタートがきれそうです

一同、乃木神社への初詣にて誓ったのは、マッチングから事業化まで一気通貫のオープンイノベーション支援や新規事業開発支援を更に加速し、多様性のあるグローバルなチームで国内外スタートアップの育成も続けていくということ。

アドライトは1月7日で丸10年。11年目も引き続き採用も進めてまいります。イノベーション共創にご興味のある方は、是非こちらよりご連絡ください。

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