スタートアップのスケールに欠かせない組織や事業のつくりかた

addlight journal 編集部  addlight journal 編集部

8月10日、ユニコーンファーム主催、弊社アドライトが共催のイベント「Tokyo Startup Dating【11th edition】」が、KaleidoWorks Crossover Lounge(東京都港区)で行われた。

株式会社じげん 代表取締役社長・平尾丈氏、株式会社資生堂 CSO・留目真伸氏、株式会社ベーシック 代表取締役・秋山勝氏、株式会社カルティベートストーリーズ 代表取締役・佐藤卓也氏という豪華な講師陣を迎え、企業がスケールする際に欠かせない組織や事業のつくりかたについて語ってもらった。

ここでは前半に行われたパネルディスカッションを中心にお届けする。

常にオープンマインドな人、アップデートできる人を求める

弊社・木村モデレートのもと、起業後の組織の作り方についていくか質問が投げかけられた。

まずは「共同創業者の選び方」だ。留目氏、佐藤氏共に「互いの信頼」を挙げた。加えて、留目氏は「自分には持っていないものを持っている人物」という点を強調した。

起業後、会社を運営していく中で共同創業者との関係性の変化については、「特に役割分担などはせず、社長という立場も置きませんでした。社員数が少ないうちは阿吽の呼吸で、増えてからは役割分担するようになりました」(佐藤氏)、「自身が0から1、共同創業者が1から10を得意としていたので、それぞれが得意な部分をやりました」(留目氏)と回答した。

会社がスケールする際の採用においては「常にオープンでフラットな気持ちをもっているか」を意識しているという留目氏。日本の社会は上下関係を必要以上に気にするが、「フラットな存在になる=覚悟を決めるということ」と持論を展開した。

平尾氏はアップサイドポテンシャルが高い人材にこだわり、じげんに入ることでキャリアを何回転できるか?(転用することでどのようにキャリアアップできるか)を見ているという。そのため、過去の取り組みや将来何がしたいかを他社以上に時間をかけて質問する。その場で答えが出ない場合は宿題として課すことも。「自分のキャリアは自分で決めるもの。会社の理念の体現にもなる」

事業計画作成時に想定されるケースを予め作っておく

続いて、現在の事業モデルに至った経緯について質問がなされた。メディアからSaasへの転換を果たした秋山氏は、「半身ずらしを繰り返していく中、最適な状況に持ち込むことで現在に落ち着きました」と回答。ノウハウの源泉にあるものは自社がやってきたことで特段新しいことではないとし、ある程度予測できる範囲でプラスαの挑戦をしていった結果、飛び地をやっているように捉えられているという。

フリーランスのコンサルタントを派遣する事業を中心に行う、みらいワークスを経営する佐藤氏は、優秀な人材が自由に働けるインフラが整っていない日本の雇用制度を変えたいという想いを持ち続けたことが大きいという。「日本の大手企業は個人を雇うのはリスクがあると見られます。それでは優秀な人が自由な環境で働きづらいのです」

上場すれば他社も真似をし出し、市場を作ることにもつながる――こうして佐藤氏の人生を賭けた挑戦が始まった。「偽装請負」等心にもないことを言われても、その証明ができないようすればいいと奮起。進めるに従い、「そこまで難しくもなく、はなからダメと決めてやらない人が多かった」ことに気づく。

「『上場できるビジネスモデルではない』と言われたにもかかわらず上場できました。噂や雰囲気で潰されてしまうビジネスチャンスは意外とあると思います」(佐藤氏)

仮に事業をピボットさせることになったらどうするか。留目氏は「行き詰まっている理由をしっかり分析し、もともと自分がやりたかったことの本質とズレない範囲で、ほかの分野やほかの企業の状況を参考にしながら変えていくといいのでは」と回答した。

事業計画作成時に想定されるケースを予め作っておく重要性を語った平尾氏は、生業とする現在のメディア業を超えるものを探し続けているという。
「いまのモデルはスケールするのか?A/Bテストとして現状のモデルVS違うモデル、もしくは違う産業等でシミュレーションしています」

これは規模が変わったときにも使えるという。仮に現状の売上が3億円だとした場合、30億円の時点で事業はスケールするのか?等見極めていく。
「常に今の事業と色々なものを頭の中で戦わせながら、より良いものがないのか考えています」(平尾氏)

注目スタートアップ

会の後半では、スタートアップ8社によるピッチがなされた。サービスも業種も多種多様だが、ニッチな市場を意識したものが多かった。

  • 株式会社ウィファブリック:アパレル企業が処分しようとする商品とそれらを必要とする他のアパレル企業とのマッチングサービスを提供。
  • 株式会社バイオアパタイト:処分される卵殻からアパタイトを取り出す技術を編み出し、これらを利用して再生医療などに貢献することを目標としている。
  • 株式会社プチジョブ:企業が人手を必要とする30分前までに求人情報を掲載すれば、周辺で登録している利用者が働けるサービスを提供。日本の人的資源をより有効に使うことを目標としている。
  • カクテルメイク株式会社:だれでも手軽に操作できる動画編集ソフト「RICHKA」を提供。こちらを利用し、より多くの企業が動画を用いたプロモーション活動ができるよう支援も。
  • 株式会社エスティーム:胸の大きな女性向けファッションを提供。
  • 株式会社aMi:フォトグラファーと顧客を直接繋げることによって、最高の撮影体験をリーズナブルに体験することができるサービスを提供。
  • 株式会社アイ・セラミック:特殊なセラミックを利用し、防カビや防熱効果を実現するサービスを提供。
  • Okage株式会社:飲食店のすべての機器をクラウド管理するサービスを提供。

経営者は誰よりも考え工夫し、どの角度からも打てるようにする

最後に、パネルディスカッションに登壇したゲストからオーディエンスにエールが贈られた。

「これからの経営者は、大手企業でもスタートアップでも同じ」(留目氏)、「人間は考えて行動を決める生き物。誰のためにどんな問題をどのように解決しようとしているか考えると近道になる」(秋山氏)、「社員に会社のミッションや理念を浸透させるには、それらの大切さを気づかせることが大事」(佐藤氏)、「経営者は自分の事業や産業を誰よりも考え工夫し、どの角度からも打てるようにする必要がある」(平尾氏)

どんなに周囲に反対され、成功しないと揶揄されたとしても、自身が信じたものに対し考えに考え抜いていることでチャンスはつかみやすくなる。誰よりも熱意を持つことを忘れなければ、道は開けるということだ。