弊社アドライトは「INTRAPRENEURS CAMP(イントレプレナーズキャンプ)」を2022年5月31日に開講。第4期となる今回は本田技研工業株式会社、トヨタ自動車九州株式会社、株式会社イーストの3社が参加、全7回のプログラムを実施し、スタートアップ流の新規事業開発を学んだ。
7回目となる講義ではこれまでのプログラムの成果発表として「事業創出計画書アウトプット発表会」を7月8日にオフラインで開催。本記事では「INTRAPRENEURS CAMP(イントレプレナーズキャンプ)」の紹介と第7回の講義の様子をお届けする。
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参加企業情報
- 本田技研工業株式会社:オートバイや自動車などを中心に多種多様なモビリティを製造するトータルモビリティカンパニー。
- トヨタ自動車九州株式会社:本社の福岡県宮田工場を中心に、自動車およびその部品の製造を行うトヨタ自動車100 %出資の車体製造会社。
- 株式会社イースト:ショッピングセンター向けにシステム提供やアウトソーシング、人材派遣など総合的な支援を行う会社。
INTRAPRENEURS CAMPとは?
INTRAPRENEURS CAMP(イントレプレナーズキャンプ)とは、弊社アドライトが開発したビジネス創出プログラムだ。各分野から一流の講師陣を招いて、計7回の講義を実施。企業内で事業を立ち上げる”イントレプレナー”を対象に新規事業の立ち上げに必要なスキルとマインドの育成を行う。また、コロナ禍で社外交流の機会が減るなか、複数の企業のイントレプレナー候補者同士で交流ができる場の提供も行っている。
プログラムの構成としては「講義+複合型ワークショップ」を通じてノウハウのインプットやスキルの定着を図り、「事業計画書の作成」を通じて実践的なスキルの醸成を行っている。
講義では各分野においてトップレベルで活躍する講師陣によるオリジナルカリキュラムを提供。また、ワークショップでは企業の垣根を超えてチーム編成することで外部ネットワークの形成をサポートしている。
事業計画書の作成にあたっては中間発表会、最終発表会前の2回の個社別相談会を設け、弊社コンサルタント、講師からアドバイスを受けられるような仕組みとなっており、事業計画書の作成における躓きや直面している課題をクリアにしていくことができる。
イントレプレナーを効果的に育成する講義
プログラムの流れとしては大きく3つのステップがあり、各ステップ2回ずつそのステップに沿ったテーマが用意されている。新規事業の創出フローを実際に体験することを考えた設計になっている。
(※次回からは事業の大元となるアイデアについて、検証、サポートの機会をさらに充実させ、それに伴い講義の内容・順序を一部変更予定)
プログラム1日目:ビジネストレンド(講師:八子 知礼 氏)
プログラム1日目は、講師の八子氏の知見から国内外のビジネストレンドやDX動向を把握。様々な技術・分野が台頭する中で、各トレンドの分析を行った。
また、新規事業を推進する上で、国内企業の事例を参照しながら新規事業を成功させるためのヒントを学んだ。
プログラム2日目:DX戦略(講師:中川 郁夫 氏)
プログラム2日目は、講師に中川氏を迎え、講義を通じて様々な企業のDX戦略を例に挙げて、市場構造の変化を学び、イノベーションを生み出すためのヒントを得た。
今後DXを推進していく上で、社会の視点を持ってデジタル時代の変化の本質を理解し、デジタル社会前提の変革を考えることが重要であることを学んだ。
プログラム3日目:基本フレーム(講師:徳久 悟 氏)
プログラム3日目は、講師の徳久氏より事業創造に向けてフレームワーク(ペルソナ、カスタマージャーニーマップ)を学び、事業計画書の作成に向けてワークショップを実施。プログラムの最終的なアウトプットとなる事業立案に向けての基本を身につけた。
プログラム4日目:ビジネスモデル(講師:中川 功一 氏)
プログラム4日目は、3日目に学んだフレームワークを踏まえ、事業計画書作成に向けて講師の中川氏からバリュープロポジションキャンパス・ビジネスモデルキャンバス・CVCAを学んだ。ワークショップを実施し、より実践的な事業計画の設計方法を身につけることができた。
プログラム5日目:メンタリング(講師:羽田 成宏 氏)
プログラム5日目は、講師の羽田氏自身の経験に基づき、イントレプレナーとして、新規事業を起こすための勘所やマインドを共有した。羽田氏と弊社コンサルタントでメンタリングを実施し、事業案作成における困りごとの解決やブラッシュアップを行った。
プログラム6日目:財務計画(講師:熊野 整 氏)
プログラム6日目は、講師に熊野氏を迎え、事業モデルをシミュレーションし、新規事業におけるビジネスの意思決定力を高めることを目的としたワークショップを行った。事業計画の立案に向けて実現性の高い、ビジネスモデルの策定方法を学ぶことができた。
プログラム7日目:事業計画発表会(講師:牛尾 隆一 氏)
6日間のプログラムを約1ヶ月を通して体験し、プログラム最終日となる7日目は各社より事業計画書の発表が行われた。各社持ち時間30分(15分発表、10分質疑応答、5分コメント)とし、選考員は弊社代表の木村と合同会社OXTLabの代表牛尾氏が担当した。
事業計画発表会後は、最終日の講義として講師の牛尾氏からイントレプレナーとしてイノベーションを起こすために必要なことを講義いただいた。また、これまでのプログラムを総括して、参加者より牛尾氏、弊社木村への質問会が行われた。
外部との「弱いつながり」~パウダリー・スパナーについての用語解説~
最終日となる7日目の講義は「オープンイノベーションと新規事業」と題して、牛尾氏のこれまでの経験からオープンイノベーションに必要なエコシステムの形成、エコシステム形成においてキーワードとなる「両利きの経営」「The Strength of weak ties」「バウンダリー・スパナー」などについて講義いただいた。
牛尾氏は村田製作所でのオープンイノベーションセンター立ち上げや海外でのピッチコンテスト・ハッカソンなどを通じて、結局のところオープンイノベーションを起こすには人が重要であるということにたどり着いたという。イノベーションには知と知の組み合わせが重要であり、知と知が交わるには人が動いて新しい繋がり、とりわけ外部と「弱いつながり」をつくっていくしかないという。
では、どうやってつながりを作っていくのか。キーワードに「バウンダリー・スパナー」の存在があるという。バウンダリー・スパナーとは、企業や組織を超えて個人を繋ぐことができる存在のことで、「信頼できるつながりの遠い人」を紹介してくれる存在であると牛尾氏は説明する。
そして、大切なことは、このバウンダリー・スパナーが、思わず紹介したくなるような魅力を自身が身につけることであるという。「魅力を身につけることは容易なことではないが、そこに向かって踏み出さないといけないし、踏み出すことでネットワークができていき、そういう人間が社内に1人でもいることが価値になります」と牛尾氏は語った。
イントレプレナーに求められる思考法
講義の後半にはプログラム全体を通じた参加者からの質問をパネルディスカッション形式で、牛尾氏と弊社木村が回答した。
Q.情報収集する上での注意点や必要な量についてどう思うか。
顧客に対する提供価値について仮説を立てた上で、情報収集することが重要であり、検証は何度も繰り返す必要があると牛尾氏。弊社木村からは顧客の情報収集はもちろん、競合サービスや社内などの動向を調査することも重要と語った。
Q.アイディエーションについて。尖ったアイデアか現実的なアイデアどちらを選ぶべき?
一番大切なのは「なんとしてでもやり遂げたい気持ちがあるアイデアなのか」という点と牛尾氏。尖ったアイデアにしても、現実的なアイデアにしても、アイデアを実装するまでにさまざまな障壁があり、これらを何年でも乗り越えていく気持ちがあるかどうかが重要とした。
また、「ワクワクするアイデアを思いつきやすくなる手法があるか」という質問に対しては、ワクワクするかは当人しか持っていないが、そういうアイデアを形にするビジネスモデルは手法が確立されている。アイデアとモデルをどう組み合わせるかが大切だと弊社木村は語った。
Q.ビジネスモデル策定時に全員のイメージをすり合わせるためのポイントはあるか。
まずフォーマットがバラバラで考えると共通認識がとれないので、ビジネスモデルキャンパスの作成を通じて、どこの議論をしているのかという共通認識をとることが重要と牛尾氏。
弊社木村は「ファシリティをしながら議論に入るのは不可能に近いので、第三者をいれることが大切です」と第三者の存在の重要性を説いた。
Q.収益計画についてはどう考えていくべきか。
「まずビジネスモデルとビジネスプランは違います。ビジネスプランがいわゆる収益計画にあたるわけですが、私の意見としてはそこに時間をかけるべきではないと考えている。もちろん、収益計画を考えること自体はこんな未来があるということを示す上で必要だが、それ以上に本当に儲かるのかビジネスモデルの検証が重要でそちらに時間を使うべきです」と牛尾氏。
「ステージを分けることが重要です。0→1と1→10では全然違います」と弊社木村は収益計画について既存事業と分けて考えるべきと示唆した。
Q.新規事業を進めるためにモチベーションをどう保つか
「愛情をもってあえて厳しいことを言うとモチベーションを保つとか言っていると新規事業はうまくいきません。社内に反対勢力があるとか、権限が持てないとかはよくあるけど、それを乗り越えてやり遂げる気持ちが必要です」と牛尾氏は激励した。
弊社木村は「私はこの人たちのために頑張りたいという人がモチベーションになることが多い。それぞれモチベーションになるものは違うと思うが、それを事業にぶつけることが大事」とした。
プログラムを振り返って
講義を終え各参加者へ振り返りとして、プログラムの感想を弊社代表の木村よりお伺いした。
ある参加者へはプログラムを通じて難しかったところを質問。「最初のアイデア出しの部分が難しかったです。いくつか初期にあった案は、講義を進めていく中で出てきた収益性の観点などを考えると成立しなくなり途中で大幅にピポットすることになりました」と回答。アイデアの斬新さと実際のビジネスとして成り立つかの両方を考えるのが難しかったという。
また、全体を通じて特に得られたことを質問すると「マインドの部分です。プログラムを経験する前は新規事業創出は定常業務と並行しながら推進するという気持ちでいましたが、やっぱりそれでは新規事業はできない。優先順位を変えて新規事業に取り組まないといけないのだと思いました」とマインドの変化を語った。
イーストの大久利氏へはプログラム全体の所感をまずは伺った。大久利氏は「このプログラムを受ける前談として、社内のマネージャから”難しいけど成長できる研修があるから受けておいて”と言われていました。そのため、最初はかなり身構えての参加でした(笑)ただ実際やってみると、講義の内容は真っさらな状態でもどの講義も理解することができて、そこからさらにプラスアルファで考えることができるようになったのは良かったと思います。また、プログラムの中ではオンラインで連携を取っていかないといけない場面があり、共通認識の取りやすい対面と違った難しさを感じました」とコメントを頂いた。
特に学べたところはどこかという質問に対しては、「特に収益計算のところは学べてよかったです。これまで新規事業の経験がない中で具体的にやり方を学べて、最後の発表でも活かすことができたのはすごくよかったなと思います」と回答。
最後には本プログラムで発表された高知県との取り組みについての今後の展望なども熱く語ってくれた。
優勝チームであるトヨタ自動車九州の石橋氏に質問。プログラム全体の感想については「私自身これまで次世代事業室という部署に所属して新規事業に取り組んできましたが、今までやってこなかったようなやり方を今回学ぶことができました。これまでやりたい気持ちはあるものの、どうやったらできるのか、どこにポイントを置けばいいのかが分かりませんでしたが、そういったところをしっかり学ぶことができました。また、他企業の方との触れ合いや、
特に学べて良かった点については「財務モデルは間違いなくすぐにでも使えると思います。あと、ペルソナとカスタマージャーニーの洗い出しは登場人物がどういったステージを経て、どう壁を乗り越えていくのかを整理することで我々もどこを工夫する必要があるのかということを整理できるので大事だなと感じました」と答えた。
また、大変だった点については「ギリギリまで参加したチームの3人が思い描くビジネスモデルが違ったことです。最後は話し合った結果、一番想いの強い人間がこれでいこうと決めました」と話した。
最後には、同じく大手企業で新規事業を行う担当者へのメッセージとして「ちゃんと知るべきことを知ることで自分達がやっている業務の裏付けになりますし、ステップを踏んでやっていくことの大事さみたいなものもあると思うので、絶対受けた方がいいです」と締め括った。
イントレプレナー同士の繋がりを目的とした本プログラムではOB生との交流も行っており、今回は3期で参加いただいた帝人ファーマの田島さんにも参加いただいた。田島氏にも自身が参加した3期の内容を改めて振り返ってもらった。
プログラムで学んだことで活かせていることはという質問には「財務計画についての講義です。エッセンスを学ぶことができ、今でも会社で学んだことを活用できています」と回答。
当時大変だったことについては「事業プランの策定やペルソナ設定のフェーズですね。そのフェーズではチーム内でリーダーや役割分担が決まっておらず、進めるのが大変でした。役割分担が決まってからはスムーズに進めることができました」と語った。
4期生を含めて今後プログラムに参加するイントレプレナーに対しては「新規事業はなかなか成果が見え辛くて、終わりのないところがありますけど、お互い励まし合って頑張っていきましょう」とメッセージを送った。
最後には懇親会が催され、プログラムでの健闘をお互い讃えあった。リラックスした状態での交流ではより密な情報交換が展開されていたようだ。コロナ禍でなかなか社外交流が持てないイントレプレナーたちにとって貴重なネットワークの場になったことを願いながら本プログラムは終了した。
取材を終えて
変化が求められる現代にあって、企業内でイントレプレナーを育てることは多くの企業にとって喫緊の課題だ。しかしながら、その正しい育て方、任せ方を知っている企業は多くない。そんな中、イントレプレナーたちは暗中模索の状態で孤独で困難な道を強いられることになる。
そのような状態をいち早く突破するためには正しい方法を知り、社外にネットワークを持つことが大切である。このプログラムがその一端を担い、イントレプレナー達が意欲的に新規事業の創出に取り組める企業が一つでも多く輩出されることを願ってやまない。
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