森林から、新しい事業を。群馬で芽吹く8つのプロジェクトの種|ぐんま森林・林業イノベーション展示会 開催前ガイド

 addlight journal 編集部

群馬県の森林・林業に、新たな技術やビジネスの力を掛け合わせる「もりビズぐんま」。2026年10月30日(金)、群馬県庁を会場に「ぐんま森林・林業イノベーション展示会」が開催されます。

群馬県は、県土の約3分の2を森林が占める関東有数の森林県です。約1億88万㎥を超える森林資源を有する一方、林業の担い手不足や木材価格の低迷などによる収益性の低さといった課題も抱えています。こうした豊富な森林資源を持続可能な形で活用し、森林・林業を成長し続ける産業へと変えていくことが求められています。 

そのために、森林・林業関係者と、異なる技術やアイデアを持つ県内外の企業・団体をつなぐ場として立ち上げられたのが、ぐんま森林・林業イノベーションプラットフォーム「もりビズぐんま」です。

2025年にスタートした同プラットフォームでは、「収益性の高い新しい林業の実現」と「森林の新たな価値の創出」を2つの基本理念に掲げ、森林・林業関係者と民間企業等のマッチング、事業相談、交流会・勉強会、情報発信などを展開しています。DX、地方創生、森林サービス産業、グリーンマテリアル、ネイチャーポジティブ、カーボンクレジットなど、従来の林業の枠を越えた領域との連携も想定されています。 

2026年9月には登録事業者・団体数が160団体を突破。森林・林業の現場と異分野の企業が出会い、新たな技術やビジネスを群馬県内で実装していくためのネットワークが広がっています。

今回の「ぐんま森林・林業イノベーション展示会」では、そうした取り組みをさらに具体的な事業化や実証へとつなげることを目指し、森林・林業分野の先進技術や新たなビジネスモデルが紹介されます。

衛星データやドローン、AIによる森林DXから、生物多様性や自然資本、アウトドアを通じた地域づくりまで、森林へのアプローチはさまざまです。ここでは、展示会に登壇する8つの企業・団体について、今回発表される取り組みと、それぞれが持つ技術・サービスの強みを紹介します。

 

スターフィールド株式会社|衛星データから竹林を捉え、竹害対策から資源化へ 

スターフィールド株式会社は、衛星データを活用したリモートセンシング技術を社会課題の解決に展開しています。今回取り上げるのは、全国で課題となる放置竹林へのアプローチです。独自の解析技術によって広域の竹林の位置や面積を把握し、斜面、農地、道路などの情報と組み合わせることで、地域ごとの竹害リスクや優先的に対策すべき場所を可視化します。強みは、現地調査だけでは把握に時間を要する竹林を広域かつ継続的に捉えられること。さらに伐採計画だけでなく、伐採した竹の資源利用まで視野に入れ、竹害対策を地域資源の循環へつなげることを目指しています。

希望するマッチングについて

・竹炭の生産・商品開発を進めている関係者の方々
・竹の資源化に取り組まれている方々 
・放置竹林の課題解決に取り組まれている方々 
・森林伐採・整備における整備箇所の調査・見積りを担当されている方々

公式HP:https://starfield-cf.co.jp/

 

株式会社日立システムズ|森林の「見えない価値」をデータと経済価値で捉える

日立システムズは、森林解析技術と生物多様性分析を組み合わせ、水源涵養、炭素蓄積、生物多様性といった森林の多面的な価値を定量的に捉える取り組みを進めています。群馬県森林組合連合会と実施した約50haの森林での実証では、環境省の評価式などを活用し、水源涵養機能について年間約4,900万円の経済的価値を算出しました。森林の状態を測るだけでなく、データをもとに「どのように整備すれば価値をさらに高められるか」まで検討できることが特徴。森林整備と企業のネイチャーポジティブへの取り組みを接続する、新たなのモデルを提示しています。

希望するマッチングについて

森林の水源涵養機能から便益を受けており、森林保全に関心を持つ可能性が高い企業様とつながりたいと考えております。
事業所や工場などで水を大量に消費しており、森林の水源涵養機能を高めることで事業継続性を高めたい企業様を想定しております。
具体的なセクターとしては、以下を想定しております。
・自動車メーカー
・半導体メーカー
・製紙メーカー
・飲料メーカー
・食品メーカー

公式HP:https://www.hitachi-systems.com/

 

Kiryu Outdoor Alliance(OWL Mountain Park)|アウトドアを入口に、森林と地域をつなぎ直す

Kiryu Outdoor Alliance(KOA)は、桐生近郊のアウトドア関連事業者5社が2025年に結成したアライアンスです。それぞれ異なる事業を営むメンバーが、アウトドアアクティビティを軸に地域の自然環境の活用と保全、関係人口の拡大に取り組んでいます。特徴は、森林を林業だけのフィールドとしてではなく、人が訪れ、遊び、地域と関係を持つための資源として捉えていること。MTBなどを楽しめるOWL Mountain Parkをはじめ、年間を通したイベントも展開しています。森林と市街地、アウトドア事業者を横断してつなぐことで、自然環境を守りながら地域に人の流れを生み出すモデルを実践しています。

希望するマッチングについて

アウトドア業界の企業とつながりたいと考えています。アウトドアフェスやMTBについて協業の可能性を検討したいです。

公式HP:https://www.owlmountainpark.com/

 

DeepForest Technologies株式会社|ドローンとAIで、森林を「使えるデータ」に変える

京都大学発のDeepForest Technologies株式会社は、ドローンとAIを活用した森林解析技術を開発するスタートアップです。森林解析ソフトウェア「DF Scanner」は、ドローンで取得したデータから樹木を一本単位で捉え、AIによる樹種識別や、樹高・胸高直径・幹材積などの推定を行います。こうした森林情報を、森林資源の把握や管理業務の効率化、J-クレジット創出に向けた取り組みに活用しています同社の強みは、森林の計測・解析から、取得したデータの現場での活用までをつなげられることです。ドローンから解析ソフトウェアまでの提供、データ活用支援体制も強化しています。

希望するマッチングについて

森林の調査・管理へのドローン・AIの導入や、森林データを活用したJ-クレジット創出等にに関心のある、以下の皆さまとのマッチングを希望しています。
行政
・都道府県の林政担当部署や、森林の境界巡視を担当する部署
・市町村の林務担当部署
・森林由来クレジット創出に取り組む自治体
民間企業・森林関連団体
・森林所有者
・森林の管理を受託する事業者
・森林由来クレジット創出に取り組む事業者
・沿線の森林・樹木の把握や管理への活用に関心のある鉄道会社

公式HP:https://deepforest-tech.co.jp/

 

群馬県林業試験場|樹木園の木材有効活用を考えませんか

群馬県林業試験場は、森林・林業、木材、野生生物、きのこなど、群馬県の森林に関わる幅広い研究を担う県の研究機関です。
林業試験場は樹木園を保有しており、県内外の樹種や貴重な遺伝資源を保存し、自然観察や環境教育の場として活用されています。
一方で、太く高く成長した樹木は、光環境の悪化や枯損木の発生が危惧され、木材資源の有効活用と適切な管理手法を模索しています。
ぜひ一緒に樹木園の木材活用と新たな価値創造を考えて頂けないでしょうか。

希望するマッチングについて

・樹木園の木材の利活用に興味がある団体
・広葉樹材の利活用に取り組まれている団体

公式HP:https://www.pref.gunma.jp/soshiki/103/

 

株式会社ForestFolks|森林整備そのものが価値を生む森林経営へ

 

株式会社ForestFolksは、「1000年先も継続できる森林経営」を掲げ、森林整備とテクノロジー、環境価値を組み合わせた森林アセットマネジメントを展開しています。今回紹介するのは、森林整備を木材販売のためのコストとしてではなく、それ自体が価値を生み出す仕組みに転換する取り組みです。開発中の森林管理システム「Forester Earth」では、森林の状態や施業に関するデータを蓄積・可視化。木材に加えて、CO₂吸収や防災など森林が持つ複数の価値を森林経営に組み込むことを目指しています。森林所有者や森林組合、林業事業者、自治体など地域のプレイヤーと連携しながら実装を進める点も特徴です。

希望するマッチングについて

弊社事業(森林のアセットマネジメント)を群馬エリアにて拠点を新規に置きながら、事業拡大していきたいと考えます。本イベントをきっかけに協業パートナーを探したいと考えております。

公式HP: https://www.forestfolks.jp/

 

群馬県森林組合連合会|生物多様性への配慮を「実際の森林施業」に落とし込む

群馬県森林組合連合会は、県内の15森林組合を支えながら、県産木材の流通・加工・製品施工、森林調査・測量設計などに取り組んでいます。今回紹介するのは、利根沼田森林組合のSGEC認証森林をフィールドとしたネイチャーポジティブの実践です。生物多様性に関する研修を踏まえ、森林施業のサイクルや現場に存在する植物・昆虫・小動物などへの影響を整理し、生物多様性に配慮した具体的な施業のあり方を検討しています。特徴は、生物多様性を理念だけで終わらせず、日々の森林施業で実践しようとしていること。SGEC森林認証の普及とあわせ、持続可能な森林資源活用と生物多様性保全を現場から両立させるモデルづくりを進めています。 

希望するマッチングについて

環境配慮・環境保全への意識が高く、特に生物多様性保全型の森林整備活動やサスティナブルな森林経営から生産される木材製品の活用等に関心がある企業・団体様とつながることで、環境貢献活動PRやイメージの向上、さらにはTNFDへの対応等を支援させていただきながら、ネイチャーポジティブを一緒に実践していきたいと考えています。

公式HP:https://gunmori.or.jp/

 

ミドリクNbS株式会社|自律移動AIロボットとAI Agentで森林の「見回り」を自動化する

ミドリクNbS株式会社は、テクノロジーを活用した自然環境の計測・可視化に取り組むNbS(Nature-based Solutions)企業です。今回発表するのは、自律移動AIとAIエージェントを組み合わせ、森林の巡回そのものを自動化する仕組みです。四足歩行ロボット(犬型ロボット)が森林内で通行可能な経路を判断しながら移動し、赤外線カメラなどを用いてクマをはじめとする野生動物、不法投棄、土砂崩れ、落石などの情報を収集。AIエージェントが位置情報と結び付けて報告します。人が現場に入る前の安全確認を機械に担わせることが大きな特徴で、将来的には危険地帯における樹木調査の自律化まで視野に入れています。

希望するマッチングについて

行政の境界巡視のご担当者様、森林組合様、重機やアタッチメントメーカー・それらを活用される事業者様へのPhysical AI による自律化・安全性向上の技術開発支援が可能です。(AI x ソフトウェア/ハードウェアいずれも対応可能です)

公式HP:https://midriq.com/

 

森林の「次世代価値」を広げる8つのアプローチ

8者の取り組みを並べると、森林・林業をめぐるイノベーションが、単なる作業効率化にとどまらない広がりを見せていることが分かります。

衛星から竹林を把握する。ドローンとAIで一本一本の木をデータ化する。森林が持つ水源涵養や生物多様性を定量化する。森林整備によって生まれる環境価値を経営に取り込み、森林施業そのものに生物多様性への配慮を組み込む。さらに、森林をアウトドアのフィールドとして地域へ開いたり、ロボットに森林巡回を任せたりする取り組みも始まっています。

共通しているのは、森林を「木材が採れる場所」という単一の価値から捉え直していることです。

「ぐんま森林・林業イノベーション展示会」は、こうした異なる技術や発想と、群馬県内の森林・林業の現場が出会う場です。それぞれの技術やサービスが地域の森林と接続することで、どのような新しい森林経営や事業が生まれるのか。その可能性を具体的に考える機会となりそうです。

イベントの詳細・お申込みはこちら↓

https://20261030event.peatix.com/