はじめに
気候変動の「今」と向き合う
「地球温暖化」「海面上昇」「異常気象」「気候危機」・・・といったようなワードを目にする機会、耳にする機会はここ数十年で急激に増えたのではないか。
最初に、地球温暖化が問題視されるようになったのは、1970年代だといえる。
1972年に「かけがえのない地球」をスローガンとして開催され、「人間環境宣言」が採択されたストックホルム会議。この頃から、地球環境がどうやらこのまま何もアクションを起こさなければ大変なことになるらしいということが認識されるようになった。その後も、1985年のフィラハ会議、1992年の地球サミットを始めとして、環境・気候をテーマに様々な会議が行われてきた。
各国はカーボンニュートラルを実現すると宣言し、世界中の企業も脱炭素化に向けた経営・事業展開に力を入れるようになった。環境に配慮した動きは、間違いなく定着してきてはいる。
しかし、設定したゴールに対して確実に近づくには、もう一段階ギアを入れて気候変動への対応策を実行に移していくことが不可欠である。本ページでは、気候変動による影響や今私たちがとるべきアクションについて言及している書籍を厳選して6冊紹介する。
気候変動の関連知識を蓄え、自分事として本課題を捉えたい。そのような思いを持っている方は、ぜひこのあと紹介する書籍を読んで頂きたい。
気候変動についてイチから学びたい方向け書籍
『気候変動と社会 基礎から学ぶ地球温暖化問題』:大学初学者向けの教科書として企画された1冊
書籍リンク:https://www.utp.or.jp/book/b10084323.html
価格:3080円(税込)
出版社:東京大学出版会
発行日:2024年7月30日
は、気候変動の原理から温暖化対策、持続可能な開発まで、平易かつ体系的に解説している書籍である。私たちを取り巻く地球環境とそこで暮らす私たち人間社会の現在と未来を俯瞰的に学ぶことができる。
気候と社会の将来シナリオもしっかりと記述されているので、気候変動の深刻さを定量的にも実感できるところが特徴的である。
「気候変動対策や生物多様性の保全と持続可能な開発との一体性に鑑み、健康維持や食料・エネルギー・水の安定供給、生態系など地球環境保全や持続可能な開発についても体系的に学べるようにし、最新の情報を盛り込むと同時に、要素間の結びつきや考え方の解説にも重点を置いた。」と、本書冒頭の章にて語られている。
題名の通り、基礎から学びたい方には大変おすすめできる1冊である。
『
書籍リンク:https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309254517/
価格:4180円(税込)
出版社:河出書房新社
発行日:2022年12月2日
著者のグレタは、2003年スウェーデン生まれの環境運動家。15歳で気候のための学校ストライキを行い議会前で抗議活動をした。2018年には国連気候変動会議で演説し、環境に関わる活動家として世界で最も影響力のある存在だとされる。
グレタは本書の中で、私たちの世界がなぜ、どのように変わりつつあるのかについて、真実を語っている。世界各地から、地球物理学者や公衆衛生専門家・海洋学者・気象学者・先住民指導者・経済学者・心理学者に哲学者などを結集し、それぞれが専門知識と最前線での経験を用いて現代の気候の不安定化を分析している点が、本書の魅力的な点だ。
SDGs、環境学習、経済活動にも役立つこの1冊は、中学生から大人まで、あらゆる世代に必携の最新決定版と言えるだろう。
『気候変動の真実 科学は何を語り、何を語っていないか?』:米国の科学政策におけるリーダーのひとりによる注目書籍
書籍リンク:https://bookplus.nikkei.com/atcl/catalog/22/S00620/
価格:2420円(税込)
出版社:日経BP
発行日:2022年3月22日
は、「なぜ気候科学はねじ曲げられて伝えられるのか?」という疑問から発して、スティーブン E. クーニンによる熱い思いが込められた1冊である。
著者のスティーブン E. クーニンは、オバマ大統領の下で米国エネルギー省の科学担当次官を務め、同省の戦略計画と初の「4年ごとの技術レビュー」(2011年)の主執筆者となった人物である。物理学、天体物理学、科学計算、エネルギー技術・政策、気候科学などの分野で200以上の査読付き論文を発表している。まさしく、米国の科学政策におけるリーダーのひとりである。
彼は、純然たるデータや科学文献の記述が政府による評価報告書やマスコミを経由して、一般市民や意思決定者へ伝えられる過程でねじ曲げられてしまっていると主張する。一部の気候科学者から批判を受けながらも、専門家でない読者からは「公正でわかりやすい」と好評を得ている。
本書を読むことは、気候変動の「真実」に向き合う契機を我々に与えてくれるはずだ。
気候変動対策の具体的な事例を知りたい方向け
『地球の未来のため僕が決断したこと 気候大災害は防げる』:ニューヨーク・タイムズ・ベストセラー1位!ビル・ゲイツ20年ぶりの著書
書籍リンク:https://www.hayakawa-online.co.jp/shop/g/g0005210043/
価格:2420円(税込)
出版社:早川書房
発行日:2021年8月18日
『地球の未来のため僕が決断したこと 気候大災害は防げる』は、ビル・ゲイツが放つ将来への提言ともいえるニューヨーク・タイムズ・ベストセラー1位の書籍である。
扱われる主なトピックは、以下の通りである。
・正しい気候変動対策が行われなかったら、世界はどうなるのか
・クリーンな発電法のうち、どの方法が現実的なのか
・食品生産による温室効果ガスの排出を抑える、人造肉の技術について
・温室効果ガスの排出を減らしながら、いままで通りの工業生産を維持するために
・問題解決の障壁である、政府の政策が犯してきた誤りとは何か
・未来のため、私たち一人ひとりに何ができるの
エコノミスト紙、ウォール・ストリート・ジャーナル・マガジン、サイエンス誌からも絶賛されている本書は、購入して後悔することない、至極の1冊である。
『DRAWDOWNドローダウン 地球温暖化を逆転させる100の方法』:世界13の言語に翻訳されたNEWYORK TIMESベストセラー
書籍リンク:https://www.yamakei.co.jp/products/2820310430.html
価格:3080円(税込)
出版社:山と渓谷社
発行日:2020年12月19日
『は、70人の科学者と120人のアドバイザーによる徹底した研究に基づいた100の実現可能な解決策を掲載している。解決策は、クリーンエネルギーから低所得国の女子教育、大気中から炭素を吸収する土地利用まで多岐にわたるものが紹介されている。
著者のポール・ホーケンは、アメリカの環境保護活動家であり起業家であり作家である人物だ。複数の環境ビジネスを立ち上げ、自然資本研究所(NCI)を設立し、生活システム・経済開発・産業生態学・環境政策に関する執筆や提言を積極的に行ってきた。また、社会的責任ある企業を紹介するテレビ番組の制作とホストを務め、2014年には地球温暖化を逆転させる方法を調査する非営利団体Project Drawdownを設立した。
地球の未来に対する不安が広がりながら無関心もまた広がっている現状を前に、経済的に実現性がある解決策を提示し、地球温暖化を「逆転」させる道を開こうとする彼の意思が伝わってくるのが本書である。
ドローダウン(大気中の温室効果ガスがピークに達し、減少に転じる時点)への到達に寄与する解決策の数々を、本書を読むことで知識として蓄えて頂きたい。
『
書籍リンク:https://www.yamakei.co.jp/products/2821310450.html
価格:3080円(税込)
出版社:山と渓谷社
発行日:2022年3月19日
『は、先ほど紹介した世界的ベストセラー『ドローダウン』の完結編である。気候危機への新アプローチ!世界中で急速に広まりつつある気候危機への新アプローチ、リジェネレーション「再生」の動きについて解説している。
気候危機を防ぐために個人・団体ができる最も重要な行動と2030年にCO2排出量を50%削減するための78の解決策を示しているので、「私は何をすべきか?」という人々が抱える一般的なクエスチョンに対して示唆を与えてくれるところが評価できる。
「再生」とは、世界を生き返らせることだけではなく、私たち一人ひとりを生き返らせることでもあるとポールは定義している。再生は、希望と優しさを表現し、想像力と創造性を伴う。それは、包括的で、魅力的で、寛大なものである。そして、誰にでもできることだ。
この彼のメッセージを受け取り、現実世界においてアクションを起こせる人が増えることで、気候危機を乗り越えることに繋がっていくことを切に願う。
終わりに
以上の6冊が、気候変動の関連知識及び解決に向けたアプローチについて理解を深めたい方におすすめしたい厳選書籍である。どれも高評価を博している、信頼感抜群の書籍であるため、ご自身の目的に合わせてより適した一冊を選び出して欲しい。
また、最後に、アドライトが開催しているプログラムについて紹介させて頂く。
新規事業化支援総合プログラム「イントレプレナーズ」とは アドライトが提供する、事業会社向けの新規事業化の総合支援プログラムである。 戦略〜人財育成〜事業化をインキュベーションマネジメント支援、イノベーション人材育成支援、事業 開発伴走支援の3つのサービスで一気通貫して実行し、社内から継続的に事業が生み出され続ける体制構築を実現する。本記事にて紹介した書籍に加えて、こちらのプログラムについてもご活用して頂きたい。