世界各国でカーボンニュートラルの実現に向けた取り組みが加速する中、川崎市では、脱炭素社会の実現と持続可能な経済成長の両立を目指し、2025年11月12日・13日に「川崎国際環境技術展」を開催します。
本展では、ビジネスマッチングを通じて、出展者・来場者の新たな事業展開や販路拡大を支援します。
18回目の開催となる今回は、「サーキュラーエコノミーが創造するビジネスの可能性」をテーマに、約120の企業・団体が出展予定です。
このたびアドライトは、川崎市と連携し、本展におけるビジネスマッチングの支援を担当させていただくことになりました。これに合わせて、addlight journalでは、川崎市に拠点を置く注目企業10社にインタビューを行い、全3回にわたってご紹介しています。
シリーズ最終回となる今回は、「川崎発・アップサイクル」を特集テーマに掲げ、独自の発想で新たな価値創造に挑む3社の取り組みをご紹介します。
下記URLからご来場の登録をいただけます。ぜひ当日会場までお越しください。
https://www.kawasaki-eco-tech.jp/entry/
株式会社 Jサーキュラーシステム
管理部 熊谷 賢二
これまでに川崎市で取り組んできたプラスチックリサイクルの高度化・安定化を図るため、J&T環境およびJR東日本グループの出資により2023年に設立。高度選別ラインとケミカルリサイクル原料製造ラインを有し、使用済みプラスチックの資源循環に取り組む。自治体・企業・リサイクラーをつなぐ中間事業者として、循環型社会の実現を目指す。
https://j-circular.co.jp/
プラスチックを「ほぼ100%リサイクル」する循環モデルを構築
━━ 川崎国際環境技術展で出展される製品・サービスについて教えてください。
使用済みプラスチックのマテリアルリサイクルおよびケミカルリサイクルを促進する二つの設備をご紹介します。1つ目は、自治体が収集した未選別の家庭ごみからプラスチックを高度に選別し、再生ポリプロピレン(PP)を生産する「高度選別ライン」です。再生産されたポリプロピレンを再生プラスチック製品の原料としてご活用いただくことで、プラスチック原料の削減に貢献します。2つ目は、高度選別ラインで中間処理した選別済みのプラスチックや、事業者が収集した未選別の産業廃棄物から金属系不適物などを選別し、製鉄向けコークス利用やガス化熱分解による水素回収の原料を生産する「ケミカルリサイクル原料製造ライン」です。2つの設備を組み合わせることで、従来焼却処理となっていた使用済みプラスチックのリサイクル率を向上すると共に、各業界のCO2排出削減に貢献します。
━━ 「リサイクル事業」の特徴、独自性(類似製品に対する優位性)について教えてください。
当社の強みは、家庭ごみから選別したポリプロピレンの原料化(マテリアルリサイクル)と再利用困難な混合プラのケミカル原料転用(ケミカルリサイクル)を組み合わせ、マテリアルリサイクルのみでは50%程度にとどまってしまうリサイクル率をほぼ100%に近づけられる点です。拠点を置く川崎市では、JFEスチールやレゾナックと連携することで、マテリアルリサイクルが難しい素材を、コークス炉向けの化学原料やガス化原料としてケミカルリサイクルする再資源化の仕組みを構築しています。ゴミの選別から再生材料の原料化を一気通貫で手がけることで、排出事業者とリサイクラー双方のニーズを汲み取り、利用しやすい再生原料へと加工できる点も、他社にはない独自性だと考えています。
━━ どのような来場者様とのマッチングを希望されますか。
今後は川崎市をはじめとした自治体との連携を深めると同時に、関東圏の自治体や民間企業からの廃プラスチック受け入れも広げていきたいと考えています。また、プラスチックを活用した製品メーカーや、再生原料を活かした事業に取り組む企業ともつながりたいと思っています。輸送効率やコスト面を考慮しつつ、地産地消型のリサイクルモデルを構築し、資源循環の高度化に取り組むパートナーとの出会いを期待しています。
株式会社SKLO
代表取締役 齊藤 倫平
SKLO(スクロー)は「革で楽しいことを創造する会社」です。2011年6月に設立し、革製品の企画・製作、OEM、ワークショップなど幅広く事業を展開しています。近年は、素材の持つ魅力を最大限に引き出す「デザインアップサイクル」事業に注力。企画からデザイン、製作まで一気通貫で対応し、企業や自治体から提供された使われなくなった素材に新たな命を吹き込み、価値ある製品へと生まれ変わらせています。
https://www.pb-sklo.com/
ストーリーを宿す「デザインアップサイクル」
━━ 川崎国際環境技術展で出展される製品・サービスについて教えてください。
イベントで使われた廃材や余剰資材を活用し、新たな製品を生み出す「デザインアップサイクル事業」をご紹介します。例えば、今年閉館した映画館「丸の内TOEI」の緞帳や座席シート、昨年「川崎市制100周年」事業として利用された横断幕からアップサイクルアイテムを製作しています。当日はこれらの製品を展示する予定です。 
━━ 「SKLO」の特徴、独自性(類似製品に対する優位性)について教えてください。
当社の最大の特徴は、革製品の技術を基盤に異素材を組み合わせ、企画・デザイン・製作までを一気通貫で行える点です。代理店を介さずにクライアントと直接やりとりすることで、素材の特性や背景を理解したアップサイクルアイテムの提案が可能になります。また、商品開発だけでなく、アップサイクルを「イベントコンテンツ」として活用できる点も強みです。例えば、スポーツチームの試合会場で、使用済みターポリンをキーホルダーやカードケースに再生するワークショップを実施するなど、ストーリー性のある企画づくりを得意としています。
例えば、スポーツチームの試合会場で使われなくなったボールを使ったキーホルダーづくりのワークショップを行ったり、使用済みターポリンを活用したワークショップや展示販売会を開催したりと、ストーリー性のある企画づくりを得意としています。 
━━ どのような来場者様とのマッチングを希望されるか教えてください。
アップサイクルに関心があるものの「どこから始めていいかわからない」企業の皆様とつながりたいと考えています。素材の特定や活用アイデアの検討段階から伴走します。特に、交通系・スポーツ・エンタメ・食品など、ファンやストーリー性のある業界との親和性が高く、国内外を問わず広く協業先を募集しています。現在、川崎市の支援のもと越境ECサイト「KAWASAKI CITY STORE」にも掲載しており、今後は環境意識の高いヨーロッパを中心に、美術館や文化施設との連携も視野に入れています。
ChopValue Manufacturing Japan 株式会社
代表取締役 James Soback、コミュニティビルダー 西牟田 萌
使用済み割り箸を回収し、家具や内装材へとアップサイクルするカナダ発の循環型製造企業。バンクーバーで創業後、現在は世界9カ国で事業を展開中。日本では、川崎市中原区を拠点に、地産地消型のものづくりから始まる「お箸でつなぐ、循環の未来」を推進している。
https://chopvalue.jp/
割り箸から生まれる新たな価値──「お箸でつなぐ、循環の未来」をデザイン
━━ 川崎国際環境技術展で出展される製品・サービスについて教えてください。
当社は、2016年にカナダのバンクーバーで立ち上げた企業で、使用済みの割り箸を回収し、高密度複合素材にアップサイクルする事業を展開しています。当日は、当社が回収・生産する割り箸由来の高密度複合素材から生産したテーブル・椅子などを展示します。日本法人は2024年7月に立ち上がり、日本のフラグシップマイクロファクトリーは2025年4月にグランドオープンを迎えたばかりですが、既に大阪・関西万博のカナダパビリオン内の全長7メートルの会議テーブルを製作、またテイクアウト飲食エリアの注文カウンター、調理スペース、受取カウンターに至るまでの壁面パネルや天板などを設計から製作・施工までを実現しました。 
━━「ChopValue」の特徴、独自性(類似製品に対する優位性)について教えてください。
1点目は、「アーバンハーベスティング(都市資源の収穫)」という理念のもと、半径50km圏内で、割り箸の回収から製品化までを手がける “地産地消型の循環モデル”を構築している点です。拠点を置く川崎市では、近隣の飲食店、ホテル、学校などに無償で設置した回収ボックスから自社ドライバーが使用済の割り箸を回収し、中原区のマイクロファクトリー(地域ごとに設置された小規模工場)で製品を生産しています。このとき、回収時に種類別の分別を徹底することで、素材のばらつきを最小限に抑え、安定した品質の製品づくりを実現しています。こうした“素材管理まで一気通貫で行う”点が、この循環モデルならではの強みといえるでしょう。
2点目は、環境配慮型の製造手法を確立している点です。回収された割り箸をそのままモジュール化し製品化するため、プロセス中の端材をほとんど排出しません。無駄のないものづくりを実現している点も製造上の大きな強みです。
3点目は、素材の高耐久・硬度を確立している点で、この点が最も重要となります。同社の複合素材は、硬度はメープル材以上、強度はオーク材以上、耐久性はチーク材と同等です。現在、この耐久性を活かしてKOKUYOさんとの共同開発を通して、オフィス家具向けの素材としての評価を進めています。割り箸は、使用してから多くの場合、数十分で廃棄されているため、ライフサイクルの長寿命化によるCO2排出量の削減に大きく貢献することができます。 
━━ どのような来場者様とのマッチングを希望されるか教えてください。
川崎市近隣の飲食店や商業施設、ホテル、学校等、原料の提供元となる割り箸の排出量が多い事業者、環境配慮型の空間デザインや建材調達を検討している企業等、割り箸をアップサイクルした製品を使っていただける事業者とのマッチングを希望しています。他に、サステナブルなブランドづくりを進める企業の皆様とも積極的に協業したいと考えています。
日本では廃棄物の取り扱いに関する法規制があるため、自治体やライセンスを持つ事業者との連携も重要だと考えています。地域資源を循環させる新しい仕組みを共に広げていける事業者さんとの出会いを楽しみにしています。
第18回川崎国際環境技術展では約120の企業・団体による展示だけでなく、特別講演の開催や学生と企業の共創イベントなども実施します。
本展示会を販路の拡大や新たな交流を発見する場として御活用ください。
開催期間:2025年11月12日(水)・13日(木)10:00~17:00
会 場:カルッツかわさき(川崎市川崎区富士見1-1-4)






