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WFAという働き方とテレワークにおける課題

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新型コロナウイルスの蔓延によって、企業の働き方に変化があったのは言うまでもない。パーソル総合研究所によると、2020年3月の緊急事態宣言前にテレワークを行っている割合は13.2%だったのに対し、2020年の11月には24.7%にまで上昇していた。

急激なテレリモートワークの普及により、ポストコロナにおける働き方について様々な議論がなされている。その中の一つがWFA(Work From Anywhere)と呼ばれる、オフィスに限らずに働く場所を選ばない勤務形態である。

本記事ではWFAに触れつつ、働き方はどうあるべきか考察する。

WFAがもたらす効用

まずはWFAという働き方の効用を示す。コロナ禍により、オフィスで働くことができなくなり、在宅やコワーキングスペースなどで作業を行う人が増えた。とくに日本では生産性の低下を感じる人も多いようだ。

しかしデータによると、働く場所を選ばないWFAには大きく5つの効用があるとわかっている。生産性の向上、ワークライフバランスの充実、感染症対策、場所に左右されない人材採用、賃料の削減だ。

ハーバードビジネスレビューによると、USPTOにおける在宅勤務からWFAへの移⾏について評価した結果、WFAを選択した対象者の生産性が4.4%向上したという。国内に目を向けると、PayPay株式会社は2020年9月より従業員のパフォーマンス向上を期待し、WFAの働き方を開始したと発表している。

WFAはワークライフバランスの実現を容易にする。WFAに移行したUSPTOの従業員からは、家族の傍にいることで全体的な幸福感が増したという声や、⼦どもの病院に近い、パートナーのために便宜を図れる、暖かい気候、美しい景⾊、より素晴らしいレクリエーション機会を楽しめるなどの声があるようだ。

WFAが実施されると、通勤ラッシュに巻き込まれずに済む。新型コロナウイルスの感染予防が叫ばれている今日、「密」を避けられるWFAは感染症対策の観点からもメリットがあるとされている。

人材採用の点でも注目すべき点がある。働く場所が制限されなくなったことで、東京などのオフィス街近郊に居住地をもたない地方優秀層の採用が可能になったことだ。弊社のオフィスは東京にあるが、札幌や神戸といった遠方に住む学生をインターン生として昨年夏より迎え入れている。ピュアに優秀か否かで採用活動できる点が大きい。彼らもインターンシップ先の選択肢が格段に増えたと感じているという。

そしてオフィス不要説が高まっていることも忘れてはならない。

企業はWFAに移行できるのか?

多くの効用をもつWFAだが、コロナ禍での働き方を見るに、移行することは決して簡単ではないようだ。

WFAを採択する企業の現在の大きな課題として、特にマネジメントが挙げられる。

ハーバードビジネスレビューの記事に戻るが、在宅勤務を採択した企業のマネジャーの1⽇の労働時間が56分⻑くなっているという。これは従業員の87%が毎日約2時間残業になっていることが大きい。

彼らの年間残業時間は2019年の242時間から455時間に跳ね上がっているのにもかかわらず、毎週4件当たり1件(26%)の割合で期日への遅れが発生しているというのだ。

つまり、生産性が落ちていることを意味する。

チームが既に完了済みの仕事に重複して費やす時間は前年比で30%増加しているといった恐ろしい調査結果もあり、コロナ禍での業務遂行やマネジメントの難しさを物語っている。

仕事のための仕事が増加

なぜ私たちはWFAを味わいきれず、仕事に費やす状態に陥っているのだろうか。最大の原因は、「仕事のための仕事」のような、不必要な業務が増大したことにあると言える。

たとえば、振り返ればすぐに聞けたようなことも、相手を指定してテキストで伝えたり、Zoom URLを発行してオンライン会議をしたりといったように「ひと手間」が発生している。また物理的に移動が減った分、「余剰時間が増えた」とみなされ、こまめに会議が入るようになり、席を立つこともままならない日もある。

不必要なタスク(現状は必要とされているかもしれないが)に追われることで、本来すべきものの手が回らない。果たしてこれが望むべき姿と言えるだろうか。

コロナ禍におけるWFAという働き方はこのような悪循環に陥る可能性を有していることに注意しておかねばならない。

より目的を明確に

オンラインでの働きにより生じている悪循環を断ち切るにはどうすればよいのだろうか。目的の明確に尽きると筆者は考える。現在行われているオンライン会議の目的は何か?進捗管理なのか、報告会なのか、問題に対するディスカッションなのか。はたまた従業員のメンタルケアなのか。

目的が明確であれば、それに対して判断すればいい。

仮にオンラインで雑談できる場が必要という声が社内から挙がるようであれば、その理由を尋ねるといいだろう。解決したい課題があり、そのために必要だという導き方と思われるが、その手段が果たして最適か否かはわからないためだ。

世の中には便利なツールがたくさん出ているが、目指す目的に沿ったものを適切なタイミングで適切に使用することを忘れずにおきたい。

最後に

WFAという働き方によって私たちが使える時間の量自体は増えた。しかしそれはあくまでも私生活の充実や仕事の付加価値を生む行動に割かれるべきであり、既存の業務を長々と行うためのものではないことを理解する必要がある。

「何のためにやるのか」という目的意識とメリハリをもって行動することで初めてWFAという自由な働き方は私たちの仕事の生産性や私生活の充実をもたらしてくれると信じている。

国別MaaS動向―フィンランド、中国、アメリカ、日本

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移動手段をサービス化する概念として登場したMaaS(Mobility-as-a-Service)。2030年にはアメリカ・中国・ヨーロッパで170兆円規模の市場になるとも言われ、急速な成長を見せている。

MaaS発祥の地・フィンランド

MaaS発祥の地がどこかご存知だろうか。以前、「Trend Note Camp #16 フィンランドスタートアップ最前線〜」のレポート記事「世界の起業家がフィンランドに向かうべき理由」でも触れたがフィンランドだ。隣国スウェーデンのように世界的自動車メーカー・ボルボがあるわけでもないなかMaaSが生まれた背景には、自家用車への対抗が経緯としてあったという。

フィンランドを代表するアプリがMaaSグローバルの手掛ける「Whim」だ。Whimはモバイルペイメントと経路検索が組み合わさったアプリをイメージすると理解しやすい。アプリで現在地から行きたい場所を選び、経路を検索。利用後クレジットカードで決済されるという仕組みだ。

Whim

Whim

これだけ読むと他にも似たようなアプリはありそうだが、Whimの特徴はサービスの利用範囲と料金体系にある。Whimはタクシーだけでなく公共交通機関(電車、バス)、シェアサイクルやレンタカーも含まれる。料金はその都度決済するプランから、全て無制限で(タクシーは1回あたり5kmまで)使える月額499ユーロ(約64,000円)の月額プランまで用意されている。単一の交通機関ではなく複数の交通機関を用いたルートを提示してくれるうえ、支払いはクレジットカードで行われることから、タクシードライバーやバスドライバーにはWhimのアプリを見せるだけで済む。

上記が実現した裏には政府の働きかけもあった。各交通機関を結びつけるようなアプリの開発には交通機関のデータが欠かせない。こうしたデータをオープンにするという動きを主導する重要な役割を政府は担ったのである。

Whimは評判も高く世界中から注目を集め、現在ではアムステルダムやバーミンガムといった都市でも提供されているという。ちなみにWhimを運営するMaaSグローバルには、日本からもトヨタファイナンシャルサービスやあいおいニッセイ同和損害保険も出資している。

Whimのような働きをするサービスをMaaSオペレーターと呼ぶが、各国、各地域でどこの企業がMaaSオペレーターとしての覇権を握るのかが重要なポイントとなりそうだ。

ライドシェアで驚異の成長を見せる中国

中国には1週間がシリコンバレーの1カ月に匹敵するほどの密度だと言われる地域がある。香港の真上、広州省に位置する深センだ。こちらも以前取り上げた記事「イノベーション大都市・深センの成長戦略」で触れたが、ハードウェア、スタートアップの街として成長を続けている。

中国ライドシェア大手のDidi(滴滴出行)は6月、深センの蛇口エリアを中心に自動運転のオンデマンドバスを走らせると発表し、7月から運用が開始された。利用者が現在地を発信することで、最寄りの乗り場までの距離を通知、近隣のバスを乗り場に走らせるというシステムになっている。今後徐々にエリアを拡大していく予定だという。

DiDi

DiDi

Didi自体もいたたましい事件が起きた影響でサービスの停止命令を受けていたが、警察との連携を速やかに行うSOSボタンの設置等、セキュリティ機能の追加を発表した。4月にMobikeを買収し、9月に香港でIPOを実施したMeituan(美団点評)は、こうした状況を受けてかライドシェア事業への参入を発表した。このように中国ライドシェア業界は、王者であったDidiが再三の向かい風を受ける中、新規参入のライバルが登場するという波乱の展開となっている。

一方でMaaSプラットフォームの構築は順調に進んでいる。中国IT大手Baidu(百度)は、2017年4月に「アポロ計画」と称し、完全にオープンな自動運転のエコシステムを構築すると発表した。発表当初はFordやダイムラーといった自動車メーカー、コンチネンタル、ボッシュといった部品メーカー、IT業界からはIntelやNVIDIAといった企業が参画した。2018年現在では参加企業数が100を超え、国内外問わず様々な企業が参加している。2021年に一般道、高速含めた自立走行を目指す。

逆風吹き荒れるMaaS大国・アメリカ

アメリカがMaaS大国であるということは今さら言うまでもない。アメリカに拠点を設けるMaaS関連企業といえばライドシェア大手ウーバーとLyft、自動運転ではグーグルのWaymo、アップル、テスラ等誰もが知る名前が並ぶ。

ライドシェア業界はウーバーが最大勢力となっている。ウーバーに次ぐLyftは2018年5月にアメリカでの業界シェアが35%に到達したと発表。1位と2位で大きく差が開いているのが印象的だ。双方ともにNVIDIAやAptive(旧デルファイ)等と提携し、自動運転技術の開発にも力を入れている。自動運転でもやはりウーバーがやや先行しているが、死亡事故発生により一時実証実験が中止する等必ずしも順調とは言えない状況が続いていた。

Lyft

Lyft

一方のLyftは参入こそ遅れたものの、2018年1月のCES開催に合わせてラスベガスで無人運転タクシーを試験運用し、5月にはラスベガスに30台を投入のうえ本格運用に乗り出した。Aptiveとも自動運転タクシー運用に向けて複数年契約を結んだとあり、今後に向けて期待が高まる。

自動運転はウーバーとテスラが死亡事故を起こしたことで安全性に関する指摘が増えた。ウーバーは夜道に現れた女性を認識できずに接触してしまい、Teslaは高速道路の分岐点にあるコンクリート壁にぶつかった。これらの事故が、自動運転は本当に安全なのかという議論が起こるきっかけに発展してしまう。

こうした2社と対照的なのが、グーグルのWaymoとアップルの自動運転車だ。Waymoは2016年にグーグルの自動運転部門を分社化し誕生した。わずか2年で走行距離1,000万kmを達成し、シミュレーション上での走行距離は80億kmにも達する。

これまで2度事故に遭ったことを公表したが、いずれも対向車が車線を大きくはみ出して突っ込んできたため、Waymo側に過失はないと考えて問題ない。9月に公表されたアップルの事故も時速1マイル以下で合流しようとしたところ、後続車が衝突してきたというものであった。

いずれも自動運転関係なく回避不能である可能性の高い事故という点で安全性に欠けるという印象は少ない。とはいえ、死亡事故が起きているというインパクトは大きく、完全な逆風となる前に信用を回復できるかがポイントとなりそうだ。

もう一つ大きな問題となっているのが雇用だ。現在ニューヨークを中心にライドシェアリングが増加し続けており、タクシー業界の圧迫のみならず、ライドシェアドライバー同士も潰し合いとなっている現状がある。これには2015年に1.2万人程度だったライドシェアドライバーが、2018年には8万人にも膨れ上がったという背景がある。ニューヨーク市はこれに対し、シェアリングアプリ大手4社(ウーバー、Lyftに加えJunoとVia)がこれ以上ニューヨーク市でドライバーを雇用することができないようにする規制を行った。

ところがこれで一安心というわけにはいかなかった。完全自動運転が実現するまでの間、タクシードライバー、ライドシェアドライバー、トラックドライバー等含ム年間30万人もの人が失業に追いやられると試算されている。自動運転タクシーの普及と、こうしたドライバー、特にウーバードライバーとしての役割を担っていた人をどうケアしていくのかという点も考えていく必要がありそうだ。

州ごとにルールが違うものの比較的自動運転の実証実験/運用を行いやすいアメリカ。先に進んでいるからこそ見えてくるシビアな課題にどう対応していくのか、未来と現実のバランスが求められている。

自動運転EV車がカジノや店へと変貌の日もすぐそこ-日本

最後に日本のMaaSについて見ていく。真っ先に挙がるといえば、カーシェアリングサービスではないだろうか。駐車場を中心にステーションを展開し、車を保有しないライフスタイルも定着し始めている。アメリカや中国ではポピュラーなライドシェアも日本では法律上認められていない。完全自動運転も技術的には可能な水準にあるが、やはり法律がクリアできず公道での実証実験が困難となっている。

日本のメーカーはこうした動きに消極的なのかというとそういうわけではない。日産のプロパイロットやスバルのアイサイト等既に市販化されているものでも技術力の高さ、そして自動運転への意欲がうかがえる。

2018年のCESでは、トヨタが発表した「e-Palette」に注目が集まった。当初トヨタは完全自動運転化に良い反応を示さなかった。ところが徐々に完全自動運転もツールの1つとして捉えるようになり、運転する楽しさと自動運転を両立させるMobility Teammate Conceptを掲げるようになった。

そしてアマゾン、ウーバー、Didiなども参画するe-Palette Conceptを発表。BtoBに向けた、時にはカジノやシューズの販売店等、まるでパレットのように用途を使い分けることのできる自動運転EVを開発したのだ。それもただ箱として売るのではなく、GoogleやApple、Facebook等をライバル視したビジネスプラットフォームとして世に送り出す戦略を打ち立てた。2020年の東京オリンピックに合わせ、2020年前半には市場に投入するという計画だという。

「車は『動くスマートフォン』と化す」という表記がメディアでよく見られるが、「移動」「空間」「決済」まで兼ね備えた先にあるのは、産業構造の変革と言っても過言ではない。

 

<関連イベントのお知らせ>
【12/4 東京・丸の内】Mirai Salon#10 オープンイノベーションが鍵!モビリティの未来~MaaSで変わる産業構造

【12/4 東京・丸の内】Mirai Salon#10 オープンイノベーションが鍵!モビリティの未来~MaaSで変わる産業構造

2030年にアメリカ・中国・ヨーロッパで170兆円規模の市場になるとも言われている「MaaS(Mobility as a Service)」。ライドシェアやカーシェアをはじめ、フィンランド発「Whim」は経路検索から決済までカバー、GMは2019年までに完全自動運転を発表する等、まさにパラダイム転換期。日本でもトヨタとソフトバンク、NTTドコモとNEDOのようにMaaS領域で提携や共同が相次いでいるのは、互いの得意分野を融合して攻めるほど価値ある市場とも言えます。MaaS事業に取り組む大手企業やベンチャー企業の事例をふまえ、今後を探ります。

※Mirai Salonは、オープンイノベーションを中心とした事業にかかわる大手企業やスタートアップをゲストに迎え、自社の取り組み等お話しいただくことで、事業のヒント形成やコミュニティ強化につなげるイベントシリーズです。

<こんな方におすすめ!>
・新規事業のアイデアのヒントをお探しの方
・研究分野での新規事業を検討している方
・オープンイノベーションの取り組み方を模索している方
・MaaSに取り組みたい方

主催: 株式会社アドライト/共催・協力:東京21cクラブ(三菱地所株式会社)

新規事業創出の新しい手法「ベンチャービルダー」とは

addlight journal 編集部  addlight journal 編集部

ベンチャービルダー――古くは90年代にアメリカのIdealabにまで遡る。2000年代半ば頃から世界中でベンチャービルダーの設立が目立つようになったが、認知度が高まるきっかけとなったのは、昨年ハンガリーのスタートアップスタジオを運営するアッティラ・シゲティ氏が『STARTUP STUDIO 連続してイノベーションを生む「ハリウッド型」プロ集団』を出版したことにある。本記事ではベンチャービルダーとスタートアップスタジオは基本的に同じものとして取り扱うこととする。

ベンチャービルダー(スタートアップスタジオ)とは

ベンチャービルダーとはどのような組織なのか。先の本にはこう書かれている。

同時多発的に複数の企業を立ち上げる組織

ベンチャーとの協業や出資検討時のジレンマとして、ツテもなければ時間もかけられない。数多あるベンチャーの中から選定するだけの目利きまで自社で負担は難しい。ベンチャー1社に対し数多のVCが介入していることもあり、融通も利きづらい部分も否めないと聞く。

加えて、既存のイノベーションラボを例にとると、効果が最適化されないケースも散見される。大手企業とスタートアップの考え方の違い(合議VSスピード重視)によるものだが、これによりコミュニケーションに齟齬が生じるといったことがあり得る。他にも知的財産権や技術の考え方、給与体系によってインセンティブが異なる、そもそもの目的が異なるなど身近な部分でミスマッチが生じる可能性がある。

2018年、CB Insightsが101の倒産したスートアップを対象に行った調査によると、倒産理由トップ3は以下のとおり。
1位:市場ニーズがなかったため(42%)
2位:資金ショート(29%)
3位:適切なチームを作ることができなかった(23%)
(参照:CB Insights 「The Top 20 Reasons Startups Fail」)

アジアやアメリカ、ヨーロッパにてグローバルカンパニーと共に数々のスタートアップを創り出してきた実績を持つFAST Venture Builder株式会社(FAST株式会社) CEO・Simon Kim(以下、Simon)は「ベンチャービルダーはこうしたリスクを軽減することができるのです」と語る。

ゼロからベンチャーを複数立ち上げることができ、事業シナジーが合うものを作り出すことも可能。経営陣や人材もベンチャービルダーが抱えるCEOクラスやエンジニア等が属するコミュニティからアサインされる。資金についてもある程度はサポートすため払拭されるといった具合だ。

「弊社が提供するプラットフォームは、投資家がVCにリミテッドパートナー(LP)として出資するのとは違って、ベンチャービルダーの株式を取得いただきます。投資家に対して管理報酬や成功報酬を請求しません。低リスクで効率化が図れて、リソースそれぞれの経験を共有するプラットフォームを使っていることが大きなポイントなのではないでしょうか」

株式がクライアント、スタートアップ、ベンチャービルダーに分配されるため、それぞれが同じ方向のインセンティブを持つことにもなる。

拝命された同時多発のスタートアップも大手企業との協業やさらなる投資の機会も見込める。ベンチャービルダー内のありとあらゆるリソースを効率的に用いることもできる。加えて、創業経験を有する人や、特定のスキルに突出したスペシャリストと共にチームを組むことができるので、ゼロから自身で探す必要もない。コミュニティに属することで、仮に失敗したとしても次に進むハードルは高くない点もポイントといえるだろう。

Amazonのコピーでユニコーン企業を生み出す

いくつかベンチャービルダーの例を紹介したい。ドイツ・ベルリンを拠点とするRocket Internetは、アリババグループが運営するECプラットフォームを提供するスタートアップ・Lazadaを生み出した。LazadaはAmazonの仕組みをコピーし、同社がそれほど普及していない東南アジア市場を狙った。2016年に株式の9.1%を1億3,700万USDで売却、翌2017年には8.9%の株式を2億7,800万USDで売却した。当時の時価総額は2016年で15億USD、2017には31億USDと、創立からわずか5年程度でユニコーン企業に仲間入り。Rocket Internetは当初1,800万USDを投資したが、5年後には約23倍のリターンを得たということになる。

フランス・パリとベルギー・ブリュッセルを拠点とするeFoundersは、SaaSスタートアップに特化したベンチャービルダーだ。2011年より15社のスタートアップを立ち上げ、うち6社が2018年に総額1億2,000万USDの資金調達を行った。これまでの調達総額は1億7,500万USD。5,000万USDの収益を出した。500名を超えるスタッフを抱え、10万もの顧客と取引があるということで、その規模感にも注目だ。

Simonは言う。「どのような企業でもベンチャービルダーはうまくフィットするはず。たとえテクノロジーや技術に関しての経験やバックグラウンドがなかったとしても問題ありません」。

このたびご縁があり、同社とアドライトは一緒に日本でベンチャービルダーを展開する運びとなった。日本企業により合うプログラム設計を施す予定だ。新しい取り組みのひとつとしてぜひご検討いただければ幸甚に思う。

ベンチャービルダーにご興味・ご関心がおありの方は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。

 

お知らせ

【10/31 東京・赤坂】大手企業投資型ベンチャービルダー「FAST Venture Builder」ローンチ説明会

ゼロからスタートアップを計画的に生み出し新規事業を創出する新手法とは?

来たる10月31日(水)、大手企業投資型ベンチャービルダー「FAST Venture Builder」ローンチに伴う説明会を行います。「スタートアップスタジオ」とも呼ばれるベンチャービルダーは、Rocket Internet(ドイツ)やeFounders(フランス)に代表されるようにゼロからスクラッチでスタートアップを創り出しスケールさせていく「新しいイノベーション手法」として注目され始めています。

特定の企業様一社よりFAST Venture Builder株式会社と株式会社アドライトで運営するベンチャービルダー「FAST Venture Builder」に投資いただいたのち、協議検討のうえ、ゼロから複数のスタートアップを計画的に創出。CEOやエンジニアをはじめとするタレントも日本及びアジアから選抜しアレンジします。

企業様には新設スタートアップの株式を保有いただき、一定の成長を経て新規事業として企業内に取り込んでいただく流れとなります。もちろん、スタートアップとして継続させ協業したり、上場によるキャピタルゲインを狙うこともできます。短期間で成功確率を高め、狙った新規事業を創出しやすい手法といえます。

当日は、「FAST Venture Builder」ご紹介のほか、「なぜ日本の大手企業にベンチャービルダーが必要なのか?」や「ベンチャービルダー成功のポイント」等お届けします。

事業シナジーがあるスタートアップに投資をしたいと考えている企業様や、しっかり時間をかけて育成・組織づくりを行い自社単体の新規事業立ち上げに取り組む企業様に向けて「新たな選択肢」をご提供します。この機会にぜひご参加ください。
※当日は日本語と英語(日本語翻訳付)でお届けします。

イベント詳細

大手企業でのAI本格展開を阻む3つの壁

addlight journal 編集部  addlight journal 編集部

昨今、新規事業開発の現場で必ず出てくると言っても過言ではない、“AI”を新たに導入する際に気を付けるべきことを、オープンイノベーションの現場でAIプロジェクトに関わる視点から考察しました。

AIプロジェクトの実態

第三次AIブームと言われて久しい今日、日本の主要企業の半数以上がAIに関する取り組みを進めていると言われています。また、2018年中に取組を予定している大手企業は7割を超えると言われており、AIへの期待は日増しに高まっています。

一方で、AIは過度な期待のピークを迎えており、主流の定着まで5~10年程度係るとの予測も見られます。なぜ、これほど多くの企業が導入しながら、定着にこれだけ要すると言われているのでしょうか?

オープンイノベーションの現場で実際に起きているケースを踏まえると、大きな理由の一つにAIの導入にある程度予算を確保してPoC(Proof of Concept:概念実証)を実施したものの、本格展開に踏み切れないというケースが多く発生しているためと考えられます。

AIの本格展開を妨げる3つの壁

なぜ、大手企業が多くのケースで本格展開に二の足を踏むのでしょうか?そこにはAI特有の3つの壁が存在していると考えています。

  1. 人材の壁:世界で80万人、日本で3万人のAI人材が不足していると言われる中、大手企業の業務や文化までも理解して質の高いサービスを提供できる人材は一握りです。適任者がいないもしくは適任者のリソースが十分に割けていないために求める結果が出ないケースが増えています。

  2. 社内説得の壁:AIのPoCを行った企業からは、「社内を(論理的に)説得できなかった」ために、本格導入に二の足を踏んでいるという声がしばしば聞かれます。AIの性質上、「なぜ、この精度が出たのか?」、「なぜ、数値が改善/悪化したのか?」といった質問に誰もが納得するように答えることが難しい場合がほとんどです。AIは関心度が高いために、上記のような質問が多方面から出て説明に時間を要する、というケースも少なくないようです。

  3. 目的の壁:本来、AIは“手段”ですが、時流に遅れないという“目的”を果たすために、とにかく使ってみるケースが多く存在しています。AIで何ができるかが正確にわらかないままPoCを始めたために本格展開まで進まないというケースも多いのが実状です。

AIプロジェクトスタート時に重要なこと

では、大手企業はどうすればAIによる成果をより確実に得ることができるのでしょうか?需要過多で人材が慢性的に不足しているAI領域のプロジェクトは、「試してみたいけれど受託してくれる外部パートナーがいない」といったことも起き得る状況です。

こうした状況を踏まえると、PoCプロジェクトスタート時には本格展開まで見据えて、短期・中長期の期待効果の高いテーマを選定しておくことが重要です。

また、PoCに向けて受託先の選定等を行う際にも、受託先候補に情報をしっかり提供し、定量・定性両面の現状を正しく伝えた上で意見をもらうことも先決。

こうした的確なテーマ設定と外部パートナーへの正しい情報提供で、PoC後先に進めない…というケースの多くは未然に防ぐことが可能です。

テーマ設定が8割

AIを活用してビジネス上の成果を得るには、初期のテーマ設定が8割と言っても過言ではありません。AIの特徴を踏まえ、社内の知見だけでは不十分と感じる場合には外部の視点も取り入れながらテーマ設定を行うことで、AI導入の成果は大きく変わってくるはずです。

弊社アドライトでは、オープンイノベーションでのAIプロジェクト実績も多数ございます。ご興味がある方はお気軽にお問い合わせください。

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