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財閥・Hyundai Cardが手がける、規律と自由を感じるコワーキング

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サムスンのグループ企業をはじめ様々な大企業が建ち並ぶ一方で、WeWorkのようなコワーキングスペースも並ぶ江南駅周辺。その中に大手カード会社Hyundai Cardが運営するSTUDIO BLACKというコワーキングスペースがある。

まるでエアポートホテル!?至れり尽くせりで利便性の高いワーキングスペース

1階のレセプションにはゲートが設置されており、IDカードなしでの入館は完全にできないようになっている。このあたりはさすがクレジットカード会社といったところだ。ゲートを抜け、10階のメインラウンジへ。

メインラウンジは共用スペースとして使われており、机や椅子が並んでいるほか、コーヒーマシーンやデザイン・旅行・音楽・料理といったジャンルの本が集められている。またこれらジャンルごとのライブラリがソウル市内に4箇所あり、こちらはHyundai Card契約者であれば誰もが利用することができるとのこと。カード会社が図書館を運営するというのは日本ではあまり馴染みのないことだが、ユーザー視点ではかなりの特典になるのではないだろうか。

同じ10階のフロアにはリフレッシュやミーティングに使えるクッションのある日当たりの良い部屋や、カプセルホテルのような形状をしている仮眠室、空港にありそうなシャワールームなどとにかく様々な用途に使える部屋がたくさんある。その中でもフォトルームとデバイスルームは特に素晴らしく、フォトルームではウェブサイト用の写真や、製品販促用の写真の撮影が可能だ。

デバイスルームではiPhoneやAndoroidなど多くの機種でデバイステストが行えるほか、3Dプリンタも用意してあるという徹底ぶり。他にも各フロアに貸工具が用意されており、オフィスのサイズや配置なども必要に応じてカスタマイズできるなどできる限り不自由のないような作りとなっている。

テストルームには各種デバイスの他、3Dプリンタも設置されている。(中央奥の2台の機械)

プロモーションなどで使う写真の撮影スタジオも施設内に用意されている

また同じくHyundai Cardが運営するコワーキングスペースに「Finβ」というものがある。こちらはSTUDIO BLACKの下の階(5階と6階)のフロアを使って運営しているが、入居チームに違いがあるとのこと。コンセプトもSTUDIO BLACKとは異なり、FinTech分野に強いスタートアップが集まる。FinβはHyundai Cardからのインビテーションが必要で、コワーキングスペースとしての役割が強いSTUDIO BLACKと比較するとアクセラレータプログラムの要素が大きい。

FinβのフロアはSTUDIO BLACKとは異なり、明るい色が基調となっている。メインのカフェテリアラウンジは夜になるとパブへと変貌。ダーツやビリヤードといったリフレッシュ設備も整っており、多くのイベントも開催されているという。

着想からわずか1年でオープン

ところでHyundai Cardという大手がこうしたコワーキングスペースに手を出したのは市場環境の変化だった。デジタル分野とクリエイティブ分野への拡大を狙い、クリエイターとすり合わせていくうちに今の形になったという。わずか1年の準備期間を経て、STUDIO BLACKとFinβあわせて7フロア全面コワーキングスペースを昨年オープン。

特筆すべきは、セキュリティ面を確保しているという点。例えば工具や本といった共有物の外部への持ち出しは禁止されており、本取材においても内部の写真撮影は許可が下りなかった。こうしたルールをしっかりと定めることで、規律があるからこその自由な空間が成り立つのかもしれない。

幅広く取り揃えられている工具類は持ち出し禁止。

韓国だけでなく世界中のスタートアップが注目

コワーキングスペースを利用するには、アプライ後に選考プロセスがある。STUDIO BLACKはアプライ自体は誰もが可能で、チーム単位・個人単位問わないという。一方でFinβは招待制による10チームが1年半の利用期間真っ最中。

また入居している企業の多くは韓国出身のチームが多いが、アメリカ出身のチームもいくつか入居しており、中には日本人も入居しているのだとか。

<入居企業一部抜粋>

HOSTEL WORLD
世界中のホステルを即時予約できるサービス。24時間年中無休のカスタマーサービスやレビュー、近隣の観光情報などを提供。

Apps Flyer
イスラエル発スタートアップ。アプリのダウンロードなどがどの広告経由なのかを計測するモバイルトラッキングサービスを提供。

Remerge
ドイツ発スタートアップ。アプリ向けリターゲティング広告のプラットフォームを提供。東京、ニューヨーク、シンガポールなどにも展開。

ソウルにひしめきあうコワーキングスペースの中での差別化ポイント

ソウルではコワーキングスペースがブームとなってきているが、最大の差別化ポイントはHyundai Cardという大手企業との繋がりがスタートアップにとって最も大きなメリットであること。STUDIO BLACKではあくまでアクセラレーティングを行うのみであるが、VCをコンタクトしたり、週に数回イベントを開くなど多くの人との接点を創出している。

Hyundai Cardとスタートアップとの間でうまくコラボレーションできた例を尋ねると、Hyundai Cardのスマートフォンケースを制作した「FLAME BY」というチームを挙げてくれた。スマホケースにHyundai Cardを収納することができるというプロダクトでユーザーからの反響も大きかったという。こうしたマッチングを起こすことができるというのがコーポレートアクセラレーターの大きな強みなのではないだろうか。

この1年様々なチームが入居してくる中で、Hyundai Cardとスタートアップとの協業も実現することができ、グローバルなネットワークも築きつつある。「まずは目の前のチームと協力していくということが大事。今は1箇所集中で」とのことだが、そして韓国のスタートアップ熱は明らかに高まっているように思える。

韓国財閥系カード会社によるコワーキングスペース。予想に反して堅いイメージを払拭するかのような空間がそこには広がっていた。

2年目となる今年はどのようなイノベーションを創造していくのだろうか。

イノベーターは社会を変革できる—韓国・D.CAMPが目指す支援の理想像

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DCMAP

朝鮮王陵として世界遺産にも登録されている宣陵・靖陵。そこから道路を挟んで反対側に位置する「D.CAMP」は、2012年韓国・テヘランバレーの中でも最も早く生まれたスタートアップコミュニティの1つとして知られている。Banks Foundation for Youth EntrepreneursというNPO財団によって運営されている。2012年、韓国国内18の金融機関が協力し、同財団設立に至った。D.CAMPのDは“Dream”から取り、“Dynamic”や自主性を重んじるという意味での”Do it yourself”といった意味があるという。

テヘランスタートアップベルトの先駆者

D.CAMPはアーリーステージのスタートアップを主な対象とし、投資やインキュベーションサービス等展開している。オンラインサービスも手がけており、登録スタートアップ数はなんと4,000近くにも上る。スタートアップサイドだけでなく投資家等も含めたオンライン登録済の総メンバー数は10,000人を超えるため、他のスタートアップコミュニティにはない大きな特徴の一つだといえる。

現在でこそ多くのスタートアップコミュニティが江南区に集まっているが、設立当時の江南区にはほとんど存在しなかったという。D.CAMPがスタートアップコミュニティ創成期において重要な役割を果たしたということは言うまでもない。

コワーキング、ピッチイベント、シナジー創出を一気に実現

 今回、グローバルパートナーシップリーダーのSonia Lee氏にD.CAMP施設を案内してもらった。

4階のコワーキングスペース

4階のコワーキングスペース

D.CAMPは2階から6階までの5フロアで構成されている。2階がラウンジとなっており、カフェテリアラウンジや有料のOfficeスペースが設けられている。3階はスタッフオフィス、4階にコワーキングスペース、5階が育成プログラムのスペース、そして6階にイベントスペースとそれぞれフロアごとに役割が分かれている。

4階のコワーキングスペースでは40名が作業可能となっており、チャットボットアプリを開発しているチームや、不動産情報を管理するサービスを提供するチームが利用していた。5階の育成スペースには月末に行われるピッチイベントD.DAY等通じて選抜されたチームが所属し、投資家や企業、メディア等とのシナジー効果を狙う。6階はD.DAYやD.TALKといった様々なイベントを行う200人近く収容可能のスペースとなっている。

コワーキングスペースで作業を行い、ピッチイベントでプロダクトを発表、そこから投資家や企業等と連携といった一連の流れをD.CAMPで完結させることができるのは大きな特徴の一つだ。これらを実現できるのも巨大なスタートアップコミュニティを築け挙げているからだと言える。

91億円のExit経験

D.CAMP内にある200人収容可能なスペース。ここでスタートアップがピッチを繰り広げている

D.CAMP内にある200人収容可能なスペース。ここでスタートアップがピッチを繰り広げている

Sonia氏によると、D.CAMPではこれまで50ものデモデイを開催。現在うまくいっているスタートアップの数は240チームにも上るとの答えが返ってきた。小さなスタートアップを中規模のスタートアップにスケールさせていくのがD.CAMPの狙いの1つでもある。そのためには自ら投資していくだけでなく、エンジェルやVC、企業等から投資を引っ張ってくる必要もある。

これまでの歴史の中で最も成功した例として、昨年NEXONの持ち株会社であるNXCによるKorbitの買収を挙げた。Korbitは2013年設立の仮想通貨取引のスタートアップで、ビットコインに世間が目を向ける前から仮想通貨の取引所を開設し、韓国で一番最初に誕生した仮想通貨取引所となった。KorbitはNXCに買収される前もSKやソフトバンクなど大手企業からの資金調達に成功しており、最終的には91億円での売却となった。

スタートアップをオープンにつないでいく

D.CAMPのビルの中にはアメリカ・サンフランシスコを拠点とする動画広告スタートアップVengleも入居する。彼らともイベントを開催し、アプリ開発チームのグローバル進出を手助けするコンペティションを開いたり、合同でメンタリングを実施したりした。スタートアップサイドや周辺環境にも間口を広く開く理由として、「より社会とのつながりを持たせ、社会に反映していきたい」とSonia氏。そのためD.CAMPはスタートアップに関する興味を持つ人であれば、立場に関わらずオープンであるという。

こうした文化で育ったチームは卒業後もそれを引き継ぐ形で、Google CampusやWeWorkといったコワーキングスペースに移籍していくケースも多く見受けられることから、Sonia氏は「育成サイド同士のつながりも大切にしたく、Startup AllianceやGoogle Campusと合同でD.PARTYのようなイベントを企画していきたいです」と話す。

D.CAMP グローバルパートナーシップリーダー、Sonia Lee氏

D.CAMP グローバルパートナーシップリーダー、Sonia Lee氏

今後、グローバルな働きかけとして、2018年3月にシンガポールで開催されるMoney20/20というFinTechやファイナンス分野のカンファレンスにも参加するという。

「Innovaters can innovate society.(イノベーターは社会を変革できる)」
Sonia氏がふとこぼした一言には、D.CAMPの大切にする思いが込められていた。

NAVERと韓国政府が作り出すスタートアップコミュニティ「Startup Alliance」

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韓国でスタートアップエコシステムの献身的貢献に努めている「Startup Alliance」。ディレクターを務めるKidae Lee氏(以下、Kidae氏)は、アメリカで複数のスタートアップに参画後、Startup Allianceにジョインした経歴を持つ。Kidae氏に韓国の現状と今後についてお伺いした。

Startup Alliance ディレクター・Kidae Lee氏

Startup Alliance ディレクター・Kidae Lee氏

——Startup Allianceについて教えてください。

政府とNAVERによるNPOコミュニティで、2014年3月にスタートしました。今年中に会社化の予定です。

我々は4つのセクター・役割からなっています。

  1. 韓国のスタートアップエコシステム構築とレベルアップ。毎年関係者やキープレーヤーを集めたカンファレンスを開催
  2. バークレー大学と連携した教育サービスの提供による起業家リテラシーの向上
  3. 韓国政府のスタートアップ関連の政策の提言
  4. コミュニティプラットフォームの構築。日本や深センでのイベントによる国際化の進展や、隔週でのミートアップやランチ会等。無料で使えるイベントスペースの貸し出しも実施

 

——韓国で盛り上がっている領域は?

世界中どこでも共通だと思いまが、人工知能がひと段落し、あらゆるサービスにビルトインされるようになってきました。今はブロックチェーン技術を活用したスタートアップや仮想通貨関連に注目が集まっています。

韓国の財閥や大手企業を中心に広がるオープンイノベーション

韓国でのオープンイノベーションの状況はいかがでしょうか?

韓国でも大手企業によるベンチャー連携が盛んです。財閥系大手企業による主導により、最近はその手法も多様化しています。

Startup Alliance内のワークスペース

Startup Alliance内のワークスペース

例えば、サムソンはグローバルカンパニーということもあって、世界中のスタートアップとコラボレーションしています。社内ベンチャー制度も設けていて、一部の株式をサムソンが持った形で従業員がスピンアウトできる「C-LAB」という仕組みがあります。これまでにスマートグラスやIoTスピーカー等のチームを輩出していますね。C-LABは人材流出のリスクは否めませんが、モチベーションアップのためにあるようです。

韓国大手企業のロッテは、コーポレートアクセラレーションプログラムを展開しています。ロッテやロッテ関連会社とスタートアップとの戦略的協業が目的です。他にも、SKグループやハンファグループ等、財閥系企業も近しいプログラムを展開しています。

アクセラレーションプログラム以外ですと、CVCは韓国でも従来から盛んなオープンイノベーションの手法を取り入れて、LPや直接出資と組み合わせて運用されています。

最近はソウルメトロ(地下鉄)等の公的機関もベンチャー連携によるオープンイノベーションに取り組んでいます。そのアレンジとイベント会場として当Startup Allianceともコラボレーションしました。プサン市等からも依頼があり、自治体や政府系の団体もスタートアップ連携に熱心です。

Startup Alliance内の多目的スペース

Startup Alliance内の多目的スペース

——スタートアップ創造プログラムで新しい取り組みは出てきていますか?

ひとつ最近の象徴的なオープンイノベーション事例を紹介します。スタートアップスタジオ・FUTURE PLAYと大手化粧品会社AMORE社のスタートアップ創造プログラムです。プログラムのbatchが始まる前にFUTURE PLAYが50K USDで7.5%を投資します。そして、6ヶ月のプログラム後に100KUSDをAMORE社が投資する仕組みです。目的は、その後のAMOREによる延長線上のM&Aです。この新しいモデルは、ヒュンダイ社等他社でも広がっています。

シリコンバレードリームは存在しない

——韓国スタートアップはどのような海外戦略をとっているのでしょうか?

日本と韓国の若者の大きな違いのひとつがあるとすると、韓国は多くの若者をアメリカの大学に20年間近くもかけて送っていることでしょうか。彼らが今の韓国のスタートアップの原動力となっています。

ですが、トライアンドエラーを繰り返しています。韓国のスタートアップは、シリコンバレーに行けば「いいビジネス」や「いい投資家」が見つかると夢を見がちですが、実際帰ってきているチームも多いです。

彼らはアメリカのスタートアップの情報も参考にしつつ、最近は東南アジアに注目しています。日本市場も魅力的ですが、すべて日本語に変換する必要があります。また関係構築にも時間がかかるので、韓国の若いスタートアップはそこまでの忍耐力がない場合が多いですね。

資金調達面では、海外には期待せず、国内での調達を検討しています。前述の通り大手企業からの投資額も増えていて、国内でもお金は回り始めています。海外とはパートナーシップ等で連携していく方向性です。

——インバウンドによる海外スタートアップの受け入れもしているのですか?

韓国政府は海外スタートアップの受け入れに積極的で、予算も付けています。あるプログラムでは80チームを受け入れて、その半分に対してワーキングスペースや宿泊施設等を提供しています。ヨーロッパ等からも来ていて、韓国のスタートアップのエコシステムにプラスに働いているといえます。ただし、国によっては文化の違いから韓国進出に苦しむ場合もあるようです。

——韓国スタートアップのイグジットは活発なのでしょうか?

スタートアップのイグジットは韓国でも大きな課題となっています。法律の制約があって、赤字の企業は基本的に上場できません。大企業のM&A事情でいうと、KAKAOはいくつかの小規模な買収を始めました。最近はNAVERも積極的で、大きなM&A投資予算を持って活動しています。その他の大手企業や財閥系企業のM&Aも期待していますが、彼らはスローペースです。アメリカでも、IT企業に比べてメーカー企業等のM&Aは消極的という印象です。

——今後のビジョンについて教えてください。

Startup Allianceはイベントコーディネートがメインでしたが、今後はもっとリサーチ機能を強化して、情報に基づく政策立案支援や企業の戦略立案支援を行っていきたいと考えています。なかでも「韓国政府のスタートアップ関連の政策の提言」には力を入れていきたいですね。

 

取材を終えて

オープンイノベーションというキーワードをもとに韓国の大手企業も海外の情報を取り入れつつ、様々な手段で活動を展開しているあたり、日本と似た環境のようだ。オープンイノベーションのためには長期的時間軸で大胆な意思決定も必要になる。韓国財閥系のトップダウンによる施策はインパクトがあり、今後の大きな可能性を感じた。

【Helloコワーキング】「Colony」がone and onlyな理由(マレーシア)

addlight journal 編集部  addlight journal 編集部

今年7月、クアラルンプールの中心地にオープンしたコワーキングスペース「Colony」は、ラグジュアリーホテルを彷彿とさせる空間と子育て中の起業家にもやさしいおもてなしで話題となっています。共同創業者のオードリー・オオイ氏と、利用者代表として書道家/Nollyz Malaysia Sdn Bhd代表取締役・石川徳仁氏にインタビュー。Colony、そしてマレーシアで働くことの意義に迫ります。

——創業者お2人のバックグラウンドを教えてください。

オードリー:共同創業者であり、夫のティモシーは多作なブロガーとして活躍していた傍ら、「Netccentric」というSNSを立ち上げて、2015年オーストラリア証券取引所で上場を果たしました。同年、EY Entrepreneur Of The Yearも受賞しました。ColonyはNetccentricに次ぐ新たなスタートアップということになります。私はフルタイムのブロガーとして活動するほか、広告業に従事していました。ティモシーとの間に2歳と4歳の子がいます。

——Colony設立のきっかけを教えてください。
オードリー:ティモシーはKLCC公園をジョギングするのが日課なのですが、ある時周りにいた通勤中の人や携帯電話で話をしている人たちの顔を見たとき、笑顔が消えていることに気づきました。

この20年で私たちの生活水準は著しく向上しました。IT化で異なるコミュニケーションもとれるようになりました。なのに、小部屋に区切られたこれまでどおりの働き方を繰り返し、自分のボスや職場、そして職場で使うラップトップさえも選べるようにはなっていない。技術革新が私たちを生産的にはしましたが、働き方はほとんど改善してこなかったのです。

「もっと働いていることに心地よさを感じられるような職場を創り出せないか?」それがColonyの端緒となりました。私たちは単にコワーキングスペースを運営しているわけではありません。働く環境をより良くしたいと願うオフィス提供者として、社員がより良く働き、会社がより快適になることを妨げるあらゆる要因を取り除きたいと考えています。

——Colonyの名前の由来は?
オードリー: 直訳すると“植民地”ですが、“成長や拡大、あるいは共通の職業や興味関心の下、共棲する人たち”という意味を込めています。

——Colonyのコンセプトを教えてください。

あえて低めの天井としたスペースでは、背丈の低い椅子やテーブル、照明を配置。一面窓につき圧迫感はなく、リラックスを追求

オードリー:「現代版『紳士クラブ』」です。ラグジュアリーな雰囲気を持ちつつ、訪れる人々を快適にさせるような場所ですね。それに合わせたソファや内装、ナチュラルな雰囲気を引き立たせるような照明光を用いています。

——Colonyはどなたがデザインされたのでしょうか?
オードリー:クアラルンプールに拠点を置くインテリア・アーキテクチャー会社「Hoe & Yin Design Studio」です。

——Colonyの利用者属性を教えてください。
オードリー:中規模の企業とスタートアップで半々です。国籍ですと、6割がポルトガルやアメリカ等の国外から入居してきた企業で、残りの4割がマレーシアの企業ですね。

——Colonyの特徴を教えてください。

2Fコワーキングスペース奥にある授乳室。カーテンで目隠しできるよう配慮されている。

オードリー:私たちのビジョンは「企業とその社員に最高の仕事環境を提供する」です。単なるコワーキングスペースを超えてホテルのような経験を仕事にもたらしたいと考えています。マッサージルームやナッピングルーム、プレイルームや授乳室等完備していますし、「クライアントを最大限サポートする」という意味をこめて、コミュニティマネージャーのことを「コンシェルジュ」と呼んでいます。

——子育て中の女性にも配慮した設計はとても素晴らしいと思います。マレーシアで起業する女性が増えているということでしょうか?

オードリー:マレーシアでは女性の54%が仕事に従事しています。私も子がいるので、子育て中の親が心穏やかに仕事できる環境の大切さはよく理解しています。他にもいくつかアイディアを考えているので、実行に移していきたいと思っています。

——契約されている方々はどのようにColonyを活用されていますか?
オードリー:多くは一定期間(月極、または年単位)プライベートオフィスか予約席を利用する契約を結んでいます。登記の登録もできますし、メールの受取りサービスも提供しています。デイパスもあるので一時的な利用も可能です。

コミュニティは非常に積極的です。私たちとしても利用者がお互いをもっと知ることができるように毎月交流イベントを開催しています。

天井高のイベントスペース

ミーティングルームやイベントスペースは企業の方がイベントを開催するために利用してくださることが多いです。例えばランチパーティやセミナー・カンファレンスといったものです。過去にはマイクロソフトやグーグル、メイバンク等といった大手企業や、ある方が週末にバースデーパーティのためにイベントスペースを貸し切られたこともありました。

——ではここで、実際に利用している方に聞いてみたいと思います。石川さんはいつからマレーシアにいらっしゃるのでしょうか?

石川:2012年4月です。家族3人で移住しました。

——マレーシアで起業した背景を教えてください。

石川:日本でも歯科経営コンサルティング業や書道教室の運営等行っていましたが、日本人+起業家+書道家という組み合わせは、マレーシアにおいて希少価値の高い人間として存在できます。それから、マレーシアは国教こそイスラム教ですが、多民族国家。マレー語、中国語、タミル語等使う人がいつつ、英語が公用語。マレーシアのなかでもさまざまなネットワークを作ることが可能です。

——Colonyの決め手はどのあたりにありますか?

石川:何より家から近いところです。ショッピングセンターのKLCCやパビリオンから徒歩5分程度。MRTや公共交通機関も利用しやすいです。それから、Colonyのコンシェルジュはコミュニティ作りがうまいです。フレンドリーですし、いろんなチャンスを持ってきてくれます。

以前、他のコワーキングスペースを使っていましたが、あまり横のつながりがなく、良さが発揮されていませんでした。
——Colonyをどのように活用されていますか?

レンタルオフィスは白を基調としている

レンタルオフィスは白を基調としている

石川:メインのオフィスとして使用しています。コミュニケーションが円滑になるようにと、Colonyが独自のSNSポータルサイトを運営しているので、頻繁に使っています。他の入居企業の方もフレンドリーなので、利用して2ヶ月ですが、いろんなネットワーク作りができています。立地やファシリティ等含めると、他のコワーキングスペースに比べてコスパも良いと思います。
——最後にaddlight journal読者宛にメッセージをお願いします。

オードリー:Colonyでは仕事における柔軟性が企業・社員の幸福を決める大きな要素であると信じています。Colonyの備える施設やサービスを通じて、私達は仕事をより楽しく快適なものにし、ワークライフバランスの向上を図っていきます。

石川:マレーシアはすでに先進国入り目前の国です。かなり成熟した国なので、日本人が人間関係を構築するには非常にニュートラルだと思います。アラブ諸国を始め、アジア各国や欧米から多くの人が来ており、多様性のある職場環境の実現が可能です。

私は7歳の子と3ヶ月の子がいるのですがどこへ行ってもマレーシアはベイビーフレンドリーだと感じます。ビザが年々厳しくなっていますが、依然として起業はしやすいと思います。ただ、ゼロから始めて近年勢いのある会社はかなり少ない状況です。失敗しない経営は可能な環境だと思います。

addlight journal 編集部  addlight journal 編集部

今年7月、クアラルンプールの中心地にオープンしたコワーキングスペース「Colony」は、ラグジュアリーホテルを彷彿とさせる空間と子育て中の起業家にもやさしいおもてなしで話題となっています。共同創業者のオードリー・オオイ氏と、利用者代表として書道家/Nollyz Malaysia Sdn Bhd代表取締役・石川徳仁氏にインタビュー。Colony、そしてマレーシアで働くことの意義に迫ります。

——創業者お2人のバックグラウンドを教えてください。

オードリー:共同創業者であり、夫のティモシーは多作なブロガーとして活躍していた傍ら、「Netccentric」というSNSを立ち上げて、2015年オーストラリア証券取引所で上場を果たしました。同年、EY Entrepreneur Of The Yearも受賞しました。ColonyはNetccentricに次ぐ新たなスタートアップということになります。私はフルタイムのブロガーとして活動するほか、広告業に従事していました。ティモシーとの間に2歳と4歳の子がいます。

——Colony設立のきっかけを教えてください。
オードリー:ティモシーはKLCC公園をジョギングするのが日課なのですが、ある時周りにいた通勤中の人や携帯電話で話をしている人たちの顔を見たとき、笑顔が消えていることに気づきました。

この20年で私たちの生活水準は著しく向上しました。IT化で異なるコミュニケーションもとれるようになりました。なのに、小部屋に区切られたこれまでどおりの働き方を繰り返し、自分のボスや職場、そして職場で使うラップトップさえも選べるようにはなっていない。技術革新が私たちを生産的にはしましたが、働き方はほとんど改善してこなかったのです。

「もっと働いていることに心地よさを感じられるような職場を創り出せないか?」それがColonyの端緒となりました。私たちは単にコワーキングスペースを運営しているわけではありません。働く環境をより良くしたいと願うオフィス提供者として、社員がより良く働き、会社がより快適になることを妨げるあらゆる要因を取り除きたいと考えています。

——Colonyの名前の由来は?
オードリー: 直訳すると“植民地”ですが、“成長や拡大、あるいは共通の職業や興味関心の下、共棲する人たち”という意味を込めています。

——Colonyのコンセプトを教えてください。

あえて低めの天井としたスペースでは、背丈の低い椅子やテーブル、照明を配置。一面窓につき圧迫感はなく、リラックスを追求

オードリー:「現代版『紳士クラブ』」です。ラグジュアリーな雰囲気を持ちつつ、訪れる人々を快適にさせるような場所ですね。それに合わせたソファや内装、ナチュラルな雰囲気を引き立たせるような照明光を用いています。

——Colonyはどなたがデザインされたのでしょうか?
オードリー:クアラルンプールに拠点を置くインテリア・アーキテクチャー会社「Hoe & Yin Design Studio」です。

——Colonyの利用者属性を教えてください。
オードリー:中規模の企業とスタートアップで半々です。国籍ですと、6割がポルトガルやアメリカ等の国外から入居してきた企業で、残りの4割がマレーシアの企業ですね。

——Colonyの特徴を教えてください。

2Fコワーキングスペース奥にある授乳室。カーテンで目隠しできるよう配慮されている。

オードリー:私たちのビジョンは「企業とその社員に最高の仕事環境を提供する」です。単なるコワーキングスペースを超えてホテルのような経験を仕事にもたらしたいと考えています。マッサージルームやナッピングルーム、プレイルームや授乳室等完備していますし、「クライアントを最大限サポートする」という意味をこめて、コミュニティマネージャーのことを「コンシェルジュ」と呼んでいます。

——子育て中の女性にも配慮した設計はとても素晴らしいと思います。マレーシアで起業する女性が増えているということでしょうか?

オードリー:マレーシアでは女性の54%が仕事に従事しています。私も子がいるので、子育て中の親が心穏やかに仕事できる環境の大切さはよく理解しています。他にもいくつかアイディアを考えているので、実行に移していきたいと思っています。

——契約されている方々はどのようにColonyを活用されていますか?
オードリー:多くは一定期間(月極、または年単位)プライベートオフィスか予約席を利用する契約を結んでいます。登記の登録もできますし、メールの受取りサービスも提供しています。デイパスもあるので一時的な利用も可能です。

コミュニティは非常に積極的です。私たちとしても利用者がお互いをもっと知ることができるように毎月交流イベントを開催しています。

天井高のイベントスペース

ミーティングルームやイベントスペースは企業の方がイベントを開催するために利用してくださることが多いです。例えばランチパーティやセミナー・カンファレンスといったものです。過去にはマイクロソフトやグーグル、メイバンク等といった大手企業や、ある方が週末にバースデーパーティのためにイベントスペースを貸し切られたこともありました。

——ではここで、実際に利用している方に聞いてみたいと思います。石川さんはいつからマレーシアにいらっしゃるのでしょうか?

石川:2012年4月です。家族3人で移住しました。

——マレーシアで起業した背景を教えてください。

石川:日本でも歯科経営コンサルティング業や書道教室の運営等行っていましたが、日本人+起業家+書道家という組み合わせは、マレーシアにおいて希少価値の高い人間として存在できます。それから、マレーシアは国教こそイスラム教ですが、多民族国家。マレー語、中国語、タミル語等使う人がいつつ、英語が公用語。マレーシアのなかでもさまざまなネットワークを作ることが可能です。

——Colonyの決め手はどのあたりにありますか?

石川:何より家から近いところです。ショッピングセンターのKLCCやパビリオンから徒歩5分程度。MRTや公共交通機関も利用しやすいです。それから、Colonyのコンシェルジュはコミュニティ作りがうまいです。フレンドリーですし、いろんなチャンスを持ってきてくれます。

以前、他のコワーキングスペースを使っていましたが、あまり横のつながりがなく、良さが発揮されていませんでした。
——Colonyをどのように活用されていますか?

レンタルオフィスは白を基調としている

レンタルオフィスは白を基調としている

石川:メインのオフィスとして使用しています。コミュニケーションが円滑になるようにと、Colonyが独自のSNSポータルサイトを運営しているので、頻繁に使っています。他の入居企業の方もフレンドリーなので、利用して2ヶ月ですが、いろんなネットワーク作りができています。立地やファシリティ等含めると、他のコワーキングスペースに比べてコスパも良いと思います。
——最後にaddlight journal読者宛にメッセージをお願いします。

オードリー:Colonyでは仕事における柔軟性が企業・社員の幸福を決める大きな要素であると信じています。Colonyの備える施設やサービスを通じて、私達は仕事をより楽しく快適なものにし、ワークライフバランスの向上を図っていきます。

石川:マレーシアはすでに先進国入り目前の国です。かなり成熟した国なので、日本人が人間関係を構築するには非常にニュートラルだと思います。アラブ諸国を始め、アジア各国や欧米から多くの人が来ており、多様性のある職場環境の実現が可能です。

私は7歳の子と3ヶ月の子がいるのですがどこへ行ってもマレーシアはベイビーフレンドリーだと感じます。ビザが年々厳しくなっていますが、依然として起業はしやすいと思います。ただ、ゼロから始めて近年勢いのある会社はかなり少ない状況です。失敗しない経営は可能な環境だと思います。