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自動運転技術をめぐる各社の動きと開発状況 (1/2)

前回記事で紹介したプレーヤーの新たな動き

前回こちらの記事にて日系メーカー各社の、自動運転技術の実用化に向けた動きをご紹介しました。今回はその記事の冒頭でも触れたFord、BMW、そしてそのBMWと提携していたIntelといったプレーヤーに関して新たな動きをご紹介します。

Ford社

2021年にレベル5での完全自動運転を達成すると発表していたFord社は、レーダー技術関連企業や、画像認識技術関連企業を買収していたことが報じられていましたが、今年2月10日には、いよいよ自動運転記述の核心部とも言えるAI技術の確保のために、自動運転ベンチャー「アルゴAI」を約10億ドルで買収しました。

出典: 日本経済新聞:フォード、自動運転のAIベンチャーに1130億円投資

正確には、アルゴAI社とのジョイント・ベンチャーの設立という形をとっているようです。

TechCrunch上の記事では、このジョイント・ベンチャーについて以下のように掲載されています。

“The goal is to completely outfit Ford vehicles with self-driving technology. Interestingly, this isn’t a case of a large company simply hiring talent but the creation of an entirely separate company with an independent equity structure.” –Tech Crunch 20170218

「(ジョイント・ベンチャーの)目的はフォード社の自動車への自動運転技術の搭載を完了させることです。興味深いことに、これは巨大企業による単なる人材雇用の事例ではなく、完全に独立した資本形態のもとでの完全独立子会社設立の事例です。」

2015-2016年の売上高では世界第6位に位置するFord社ですが、時価総額では米国テスラ・モーターズに追い抜かれたこともあり、なんとしても自動運転技術の分野で確固たる地位を築こうとする意志が伺えますね。

ちなみに、以下の記事にもある通り、Ford社では今年5月にはそのテスラ・モーターズに時価総額で抜かれたことを受けて、CEOの交代劇も起こっています。

また、2017年6月15日の日本経済新聞の報道によれば、フォードは、自動運転の実用化に向けて必要となる公道でのデータ収集を、ゲームで用いられるような仮想データも活用して行う方針で進めているといいます。走行中に人が飛び出してくるような危険な場面のシミュレーションは、そうした仮想データをAIに学習させるなど、最先端技術を駆使していくことで、開発を加速させていくとのことです。

米国Intelと長安汽車

前回の記事では、独BMW社と米国Intel社が自動運転技術の実現に向けて提携したことを報じましたが、今度はそのIntelが中国の自動車大手である上海汽車と提携をしたようです。

インテルは自動運転技術の開発に向けた情報処理プラットフォームであるIntel Goを提供しており、長安汽車はそのIntel Goを利用した自動運転技術の開発に取り組みたい意向であるようです。

“Chang’an will explore intelligent driving technologies based on Intel’s GOTM self-driving development platform. Technologies including environmental perception, precise GPS and route planning will be tested through Intel’s platform.”

「長安汽車は、インテルの持つ自動運転技術開発プラットフォームである、GOに基づいた自動運転技術開発を模索する。長安汽車の開発する同技術は、環境認識機能や、緻密なGPS機能、ルート・プランニング機能を含んでいて、インテルのプラットフォーム上にてテストが行われる」

–China daily 2017/04/21

出典: Chang’an partners with Intel

Intel Goは自動運転技術の実用化に伴って必要になる膨大な量の演算処理に対処すべく開発が進められるIntel社の自動運転技術プラットフォームの名称で、BMW社もそのプラットフォーム上での自動運転技術の開発を進めていました。

“Intel GO Automotive Development Platforms

As driving becomes more automated, the vehicle must be able to visualize the road ahead, evaluate countless possible scenarios, and choose the best sequence of actions. It must process millions of data points every second and quickly respond to a constantly changing environment. This requires a tremendous amount of both parallel and sequential computing.”

「運転の自動化がさらに進展していくにつれ、自動車は前面道路の情報の可視化、想定される無数のシナリオのシミュレーション、最適な行動選択等が求められることになる。それは、数秒間で数百万ものデータを処理することであり、絶えず変化する環境に即座に対応することが求められることを意味する。つまり、膨大な量の並列処理での計算かつ連続した計算能力が求められることを意味している。」

出典: Intel GO Automotive Solutions

中国の自動車メーカーも多く参戦してきている自動車開発競争ですが、エコカー開発に3,000億円を投じるなど、長安汽車は世界10強入りに向けて、その投資の動きをますます加速させています。また、これは個人的な見解になりますが、国有企業でもある長安汽車は政策面での優遇を受けやすいため、各種規制の整備との連動が重要になってくる自動運転技術の開発においては、そういった要素が有利に働くことも考えられます。

BMW社

画像解析技術を持つイスラエルのMobileye社、米国のIntel社と提携して自動運転技術の開発を行っていたBMW社ですが、そのラスベガスでの公道実験の様子が公開されています。今年に入ってから、自動運転技術開発に向けたそのグループに英国のDelphi Automotiveも参画していて、既にSAEレベル3での自動運転(ドライバーのバックアップのもとで、システムによって走行状況の監視が行われる状態)が一般道を含む公道で可能であるレベルまで完成しているようです。以下の記事では、BMW社の自動運転システムの今後の展開について触れられています。

“Delphi will act as an integrator of the driverless technology, making sure the system the group develops can reach multiple auto manufacturers quickly. Other carmakers are expected to sign on to use the platform in the coming weeks, said Richard Rau, a BMW director of product development.”

「Delphiは、グループで開発するシステムが確実に、あらゆる自動車メーカーに素早く届くようにするために、無人走行技術のインテグレーターのように機能することになります。他の自動車メーカーは、そのプラットフォームを使用するための契約を、来る数週間のうちに結ぶことが期待されています。と、BMWの製品開発担当者の一人は言います。」

同グループが開発する自動運転技術は、他の自動車メーカーの車両にも取り付けが可能になっていて、Intel社やMobileye社、Delhi Automotive社はもちろん、BMW社もまた、自動運転技術のプラットフォームを確立してしまおうという意図を持っているようです。また、その動きは予想されていたよりも、かなり早いように感じますね。

出典: TechCrunch – BMW, Intel and Mobileye bring Delphi in on their self-driving platform

このように、Ford、BMW、Intelの3社は全て他社との技術提携のもとで自動運転技術の開発を進めていることが分かります。とりわけ、Ford社がジョイント・ベンチャーを設立し、完全に独立させた上での自動運転技術開発に踏み切ったことは興味深いですね。こうした外部資源の積極的な活用を各社が進めていることで、自動運転技術の開発競争はますます加速していることが伺えます。

【台湾スタートアップ事情】台湾を、アジアを、そして世界を巻き込むインキュベーターGarage+

台湾スタートアップトレンドをお届けするシリーズ。今回は台湾を拠点にイノベーション創造を引き起こすインキュベーター、Garage+をご紹介いたします。
とにかく幅広く手厚いサポートに注目です。

Garage+を支えるEpoch


Garage+はEpoch(時代基金會)というNPOに支援され運営されています。そんなEpochとは一体何なのか、まずはご紹介していきます。
Epochは台湾、アジアパシフィックの経済発展を促進することをミッションに、社会のために将来の優秀な人材を育てるということをビジョンに掲げています。幅広いネットワークは30以上もの国内企業のみならず、MIT(マサチューセッツ工科大学)やカリフォルニア大学バークレー校といった名門大学や、イギリス王立国際問題研究所などトップクラスの調査機関にまでグローバルに広がっています。

Epochのプログラムはイノベーションと起業家精神育成の初期段階、Garage+を含む産業発展の段階、そして国際機関などと産業連携を行う段階と3つに分かれています。これらを包括的に行っていくのがEpochの特徴だということです。

台湾だけでなくグローバルに実績を上げる


Garage+のプログラムにはこれまで97ものスタートアップが参加し、そのうち37チームは海外からのチームです。これまでの全チームの資金調達成功率は平均して75%ということだそうで、最も多い分野はビッグデータやコンピューティングで3割強を占めるとのこと。これらに続いてIoTとヘルスケアがそれぞれ2割を占める形となっており、ヘルスケアの資金調達成功率はなんと100%ということなので驚きです。

MITのコンピュータ科学・人工知能研究所もパートナーの一員となっている

CSAIL所長のロドニー・ブルックス博士が設立したRethink Robotics社のロボットがエントランスでお出迎え(写真右) Rethink Roboticks初のアジアオフィスをGarage+に開設


これだけの実績を上げているのには理由があります。Garage+の幅広い支援がその1つで、Garage+の大きな特徴となっています。2017年のGarage+ Startup Grobal Programでは10日間の間にパートナー、投資家、そして市場を見つけ出すというスピードを実現するため様々なサポートを行っています。VISA申請の手助けや、パートナー、投資家との1対1のミーティングのアレンジはもちろんのこと、10日間の宿泊施設の用意や3ヵ月のワーキングスペースの提供、さらには海外から参加のチームには往復航空券をGarage+側で負担するという手厚さ。この支援もあってか、2017年1stバッチではなんと21もの国から135チームが参加しました。最も参加チームの多い国は33チームが参加したアメリカで、次に26チームでイスラエル。また、Garage+の持つグローバルネットワークも、500 Startupsや1776、日本でもDMM.comやTechCrunch Japanなどに広がっています。

ここでGarage+のプログラムに参加したチームをいくつか紹介していきます。


参加チーム

Lucid

2015年のStartup Grobal Programに参加したアメリカのLucidは3DVRカメラを開発。台湾のODMメーカーWistron社と提携し、Lab360やTEEC Angel Fundといった企業やエンジェル投資家から約2億円の調達を行いました。

 

ImmerVision Enables

ImmerVision Enablesは2000年にフランスで創業、現在はカナダを本拠としています。360°カメラの開発を行っており、Startup Grobal Programを通じてフォーチュングローバル500にも選出された台湾のODMメーカー、Quanta Computerと提携。また、日本のクラウドファンディングサイトMakuakeではSolo Piという製品を掲載しました。

Blocks Wearables

Lucidと同じく2015年のStartup Grobal Programに参加したBlocks Wearablesは世界初のモジュール型スマートウォッチを開発。こちらはロンドンを拠点とし、Kickstarterで約1.8億円(1.6億ドル)の資金調達に成功。さらにクラウドファンディング史上2番目に大きなスマートウォッチ会社となりました。

 

ここで紹介している企業はごく一部ですが、このように、Garage+では、幅広い国と地域から参加してくるチームの資金調達の多数サポートしていることをお分かりいただけたかと思います。このような海外からのスタートアップを台湾に誘致し、台湾の大企業との接点を生み出すグローバルオープンイノベーションというのもGarage+の特徴の一つです。

 

最後に

Garage+、またEpochのプログラムに参加する各チームの実績の裏にはそれぞれのチームへの懇切丁寧なフォローがありました。最初に挙げたような台湾、あるいはアジアパシフィックの発展を促進するというミッションや人材育成を掲げているということが手厚いフォロー、サポートの根底にあるのでしょう。
台湾のスタートアップエコシステムへの貢献だけでなく、グローバルに支援し、世界規模で動いているというのが非常に印象的でした。

いかがでしたでしょうか。
弊社では今後も海外のスタートアップコミュニティーに関するトレンドや情報をお届けして参ります。本記事、またその他お問い合わせがございましたら、ぜひこちらからお気軽にご連絡ください!

【開催報告】日本流オープンイノベーションによる大企業と大学発ベンチャーの未来(Mirai Salon #4)

株式会社アドライトが主催する、大企業や官公庁の事業責任者を対象にオープンイノベーションをテーマにしたイベントシリーズMirai Salonの第4回目「日本流オープンイノベーションによる大企業と大学発ベンチャーの未来」を、2017年6月8日(木)に、三菱地所株式会社様共催のもとEGG JAPAN(東京・丸の内)にて開催いたしました。今回のテーマは大学発ベンチャーに視点を置いたオープンイノベーション。大企業側も大学との連携には興味があるとみえ、今回も数多くの参加者の皆さまにお集まりいただきました。

イベント当日は、まず三菱地所株式会社者より、東京・丸の内が魅力的なビジネスセンターであり続けるために行われている、日本の中小ベンチャー企業に対してのビジネス開発支援や誘致活動等についてご説明。オフィススペースの運営や、年間250回以上のイベントを開催する会員組織「東京21cクラブ」の概要や取組み等についてご紹介頂きました。

次に、弊社代表の木村よりご挨拶とMirai Salonイベントシリーズについてのご紹介、および、弊社のベンチャー支援の実績や本イベントのテーマであるオープンイノベーションに対する取り組み、大企業とベンチャー企業を取りまく環境、オープンイノベーションの意義と有効性について、また、経産省が発表したイノベーション創造の現状に関する内容などをご紹介しました。今回で第四回目となる本イベントシリーズでは、過去にはインダストリー4.0IoTコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)といったトピックにおけるオープンイノベーションの実情を、第一線で活躍する有識者の方々をお招きしてお伝えしてきました。オープンイノベーションという手法は認知度が上がってきてはいるものの、実際にどう推進していくのかという点では正解がなく多くの企業が苦労されていることも事実。弊社ではこういった課題の解決をご支援すべく、関連イベントの開催やハンズオン支援の提供など積極的に活動している旨お話しました。

株式会社アドライト 代表取締役 木村忠昭

その後、登壇者4名より、各社のオープンイノベーションに対する取り組みとインサイトについてお話いただきました

大企業連携ではパズルピースが合致した

まずは最初の登壇者は、無意識で暮らしを良くするソリューションを創る企業ドリコス株式会社の代表取締役竹氏。竹氏は学生起業家としてキャリアをスタート。同社では、「飲む」と「エレクトロニクス」の融合により、消費者が知らないうちにヘルシーになっていくという世界の実現を目指しています。読者の皆さんの中にも、ダイエットや身体作りに挑戦したが続かなかった、挫折した、リバウンドした、といった経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。また、近年人気がでてきたヘルスケア系のアプリやウェアラブル端末などを使っていてもやはりうまくいかなかったという方もいらっしゃるのではないかと思います。この状況をみた竹氏は、日本の経済成長をけん引したエレクトロニクスの力に目をつけます。

同社で開発した「healthServer」は未来のヘルスケアデバイス。あなただけの栄養士であるheatlhServerは、管理栄養士と医学博士の監修のものに開発された独自の栄養解析アルゴリズムを搭載。消費者の身長、体重、性別といった身体的情報に加えて、どういった栄養素を消費しているのかといった行動パターンの情報などをもとに、ドリンクに混ぜ合わせることが可能な粉末状の栄養素を提供してくれます。まさにあなただけの栄養士。消費者は何も考えることなく、意識することなくhealthServerが提供するドリンクを飲むことで健康になっていく、ということです。

今回のテーマである、大企業連携においては、大手飲料メーカーとタッグを組んで事業展開を加速させてきたエピソードを披露。同社が経験した事業提携では、中核事業の成長エンジンとしての提携と派生価値の検証エンジンとしての提携のふたつに大別されるとのこと。前者は想起しやすい提携スタイルで、後者は例えばベンチャー企業にありがちなリソース不足問題の補充のメリットがあったようです。また、大企業側にとっては既存事業を時代や流行に沿った形で変革していくための足掛かりにできるという点もあるWin-Winな提携を実行。竹氏はこれを「パズルピースが合致した」と表現してくれました。

ドリコス株式会社 代表取締役 竹 康宏氏

宇宙開発のispaceは多様性に富んだチームを形成

続いての登壇者は、宇宙開発の分野で奮闘する株式会社ispace代表取締役袴田氏。同社が目指す未来は、宇宙に生活圏を築く時代を創造すること。そのために、積極的に大企業連携を行い、通信会社と組んで月面における通信環境を開発したり、接着剤メーカーと組んで宇宙で使える接着剤の開発をしたり、といった取り組みを行われているそうです。

同社が牽引する有名プロジェクトは、日本発民間月面探査チームHAKUTOです。通信大手au、東北大学、多様性に富んだプロボノメンバーが集い開発した月面探査ローバーは、各国から集まった計34チームの中から5本指に入る実力を発揮。その知恵と技術が業界最小の探査ローバーに集約されました。NASAのローバーは約900kg、中国は約100kg、アメリカは約30kgの重量があることに対して、同チームのローバーは4kgと圧倒的な軽さを実現。これにより、打ち上げてから月面に運ぶまでの労力とコストを大幅に削減することができます。

このような輝かしい実績を誇るispace社は、民間月面探査レースに参加するために立ち上げられたベンチャー企業。東北大学教授でもあるCTO吉田氏が約20年に渡り東北大学宇宙ロボット研究室の研究開発で培ったノウハウと技術を活用し、当初からレース後の宇宙分野での事業化を目標とし活動を続けてきました。今回のテーマにまさにぴったりなエピソードを紹介してくださった袴田氏。宇宙に生活圏が築く時代の到来が待ち遠しいところです。

株式会社ispace 代表取締役&ファウンダー、HAKUTO代表 袴田 武史氏

京都大学から生まれるオープンイノベーション

ベンチャー企業2社に続いて登壇いただいたのは、京都大学イノベーションキャピタル株式会社投資部でプリンシパルを務める八木氏。京都大学発ベンチャー企業をベンチャーキャピタルとして支援する八木氏からは、京都という土地柄や在籍する大企業、また、政府が出資する官民ファンドについてのお話など、普段あまり接することがない情報も交えてお話いただきました。

京都大学といえばiPS細胞の山中教授など、ノーベル賞の受賞者を数多く輩出してきた言わずと知れた名門大学。その京都大学からイノベーションを創出するために結成された同社の取り組み内容、ファンド概要/規模と投資先のベンチャー企業などご紹介いただきました。同社は、ベンチャー企業の事業領域に特化することはなく幅広く支援。その領域は、バイオテクノロジー、ICT、IoT、AI、エネルギー、素材系など多岐に渡っています。

印象的であったことは、大学連携を含めたオープンイノベーションの現実についてのお話。民間企業ではないという点で、やはり想定外のことが起きていることをプロジェクト推進の課題として捉えており、その点を解決してオープンイノベーションを通じたより多くの成功事例を生み出していく考えです。一方で、大学としても独立が求められており大学単体としてどのようなバリューを世の中に出していくのか、という点も今後の発展に向けて大切であると八木氏はお話しました。

その中でも最大の課題は、起業家人材が足りていないことであるといいます。それをうけて、より多くの優秀な若手のホープを起業家として育成すべく立ち上げたのが、Entrepreneur Candidate Club(ECC-iCap)と名付けられた起業家育成コミュニティーです。このコミュニティーを通じて、ミートアップやイベントの開催、シードプログラム、起業家育成プログラムの提供などを行っていくそうです。

これまでの数多くのイノベーションを生み出してきた京都大学の今後の動きに注目です。

京都大学イノベーションキャピタル株式会社 投資部 プリンシパル 八木 信宏氏

オープンイノベーションのカギはスピード感

そして最後の登壇者は、TomyK Ltd.ファウンダーでACCESS共同創業者の鎌田氏。鎌田氏は自身も東大在学中にベンチャー企業を立ち上げ、最近はベンチャー起業の支援を中心に活躍されています。また、Googleよって買収にされた東京大学発のロボットベンチャーSCHAFT(イベントの翌日SoftBankによって買収されることが発表された)の立ち上げからEXITまで社外取締役として支えた経験を持っています。

鎌田氏は、リアル世界とデジタル世界の融合がグローバルに戦うカギだと語りました。ハードウェアのみでは中国勢や韓国勢に価格で勝っていくのは難しく、Computingの面も付加しプラットフォームとして戦うことが大切との考えです。大学発の例として、インクジェット印刷でフレキシブル基板の製造をオンデマンドで発注できるサービスを展開するAgICやヒューマノイドロボットの実用化を目指すSCHAFTを、動画を交えながら詳しくご紹介いただきました。

テックベンチャー創出の課題としては、八木氏と同様に、起業家人材を増やすこと、また、大企業と足並みをそろえてともに成長していくこと、を挙げられました。鎌田氏のお話の中でも印象的であったことは、ベンチャーと大企業で連携する際のスピード感の違い。ベンチャー企業は一年半でなくなっちゃうんです、と語った鎌田氏は限られたリソースの中で成功していくためには大企業側の迅速な意思決定と推進体制が必要不可欠であると話しました。大企業にも特有の意思決定プロセスがありその必要性を説いた上で、ベンチャー連携は打率2割くらいの確率で成功するもの、くらい失敗を恐れない姿勢が必要とされるのではないか、ということでした。

グローバルにベンチャーを長期に渡り経営し、大型M&Aも経験された鎌田氏の熱のこもったプレゼンには独特の説得力を感じさせるものがあり、参加者の皆さまも聞き入っている様子がうかがえました。

TomyK Ltd. Founder & CEO 鎌田 富久氏

大学発ベンチャーとオープンイノベーションの未来

休憩をはさんでから、弊社木村ファシリテーションのもと、登壇者によるパネルディスカッションを実施。

パネルディスカッションの様子

まずは木村から、登壇者の皆さまへの質問タイム。最終的に提携を行うと意思決定した時に重要視していたこと、出資をもらう前後で事業のスピードが加速したことは具体的にどういった点であったのか、事業会社と提携する上でデメリットはあったのか、などを質問。京大VCの八木氏には、大学の先生のベンチャーへの関わり方について、VCとして投資した後の支援内容などについて。また、鎌田氏には、大企業とベンチャー企業のスピード感の違い、米国Google社の買収におけるプロセスや意思決定方法とスピード感などについてお伺いしました。その後、参加者からも、様々な質問が投げかけられました。大企業が以前と比べて他社連携に対しオープンになってきているのかや、ベンチャー企業が次の産業を創り出していくとするとどういった産業になるのかなど、それ他にも幅広くかつ突っ込んだ質問がでて予定時間をオーバーするほどの活発な議論が繰り広げられました。

その後の懇親会でも、登壇者と参加者を交えて、積極的に名刺交換や情報交換を行う姿が印象的でした。

最後に

大学発ベンチャー経営側、支援側の第一線で活躍される方々をお招きして行われた今回のMirai Salon第4回は、前回に引き続き熱気に包まれ、活発な議論が行われた会となりました。今後もMirai Salonでは、オープンイノベーションに関する様々なテーマでイベント開催を予定しています。関連トピックに関するイベント登壇やお問い合わせに関しては、こちらからお気軽にお声がけくださいませ。

 

【台湾スタートアップ事情】複合企業アクセラレータプログラムによる新たなイノベーションの形

エンターテイメント領域のアクセラレータプログラム

今回は台湾にて複合企業アクセラレータプログラムを展開するDIT Startupを紹介していきます。

Appworksやgarage+などのインキュベーション施設は台北市内にあるのに対し、台北市内から車を走らせること30分、DIT Startupの拠点は新北市・新店というエリアの真ん中にあります。大きな川に面し、近くには烏来などの観光地も多く、週末は多くの観光客がボートに乗りに来るような快適な場所です。

「台湾メーカーHTCの本社のすぐそばにあるため関連する外国企業なども多く訪れ、関連するゲーム企業の1社も入居しているビルのワンフロアが我々の拠点なんです。」お話をお伺いしたのは、DIT Startupsの育成事業部のディレクターを務めるManny Li氏。Manny氏は以前はゲームやエンターテイメント領域のアナリストをしながら、業界の記事を書いたり、若手クリエーターを集めたイベントをして独自のコミュニティを形成してきました。そんな彼がDIT Startupsにジョインしたのが今年1月。CEOであるRosa氏に誘われ、Rosa氏の持つエンターテイメントやゲーム業界の重鎮たちとのネットワークと、自身の持つ若手クリエーターのネットワークを掛け合わせれば面白い化学反応があるのではないかと考え、ジョインを決めたといいます。

Manny氏によると、DITとはDo It ! Team up !の略であり、数年前に設立され関連するゲームやエンターテイメント領域へのベンチャー投資を行ってきました。今年からはエンターテイメント領域に特化したアクセラレータプログラムを開始し、現在は12チームが参加する3か月間のbatch1の最中です。「IoTやヘルスケアに特化したインキュベーションやアクセラレーションのプログラムは台湾にもいくつか存在するが競争も激しいため、我々は他が注力していないエンターテイメント領域にフォーカスしているんです。」とManny氏は話します。メンター陣もCEOのRosa氏やManny氏の人脈で、アライアンス企業連合や業界のメンバーを中心に30-40名が在籍し、予約制の週次でのオフィスアワーを行っています。また、オフィスアワーとは別に週次の座学のカリキュラムがあり、3か月のプログラム期間の半分はプロダクト開発、残りの半分はマーケティングを、アライアンス企業連合の第一線で活躍している方々をお招きして開催しているとのこと。Batch1の大半はゲーム及びエンターテイメント領域においてBtoC事業を行っています。

複数のアライアンス企業による複合企業アクセラレータプログラム

さらに、DIT Startupの取り組みは、エンターテイメント領域にフォーカスしていることの他に、もうひとつ特徴的な要素があります。それは、DIT Startupが7つのアライアンス企業連合の投資によって設立・運用されていることです。そのうち5社は台湾での中堅ゲーム企業であるgamania社をはじめとするゲームやエンターテイメントで構成され、残りの2社は不動産・投資企業とのこと。また、不動産・投資企業がアライアンス企業連合にいることもあり、DIT Startupが入居するビルの2階にはカフェも併設されており、DIT CafeとしてDIT Startupの傘下で経営しています。

「DIT CaféはDIT Startupの収益源となっており、そこでの収益をアクセラレータプログラムに回しています。ちょっとした打ち合わせや大きなイベントなどを行う場合にはDIT Cafeを使っています。」今回の取材もDIT Cafeで行われました。

また、DIT Startupがこれらアライアンス企業連合により運営されている結果、アクセラレータプログラム後の展開として、
1.アライアンス企業連合とのIP(知的財産)やコンテンツ面など含むコラボレーション
2.最終的なアライアンス企業連合とのM&Aによるイグジット
も想定しているとのこと。これらの展開はこれからとのことですが、その前段として既に、毎週のクローズドな交流イベントを通じて、アライアンス企業連合の経営陣とアクセラレータプログラム参加企業との交流により、双方に刺激が生まれているそうです。Demo dayもクローズドでアライアンス企業連合向けのみに行われるとのこと。

最後に

いかがでしたでしょうか。関連するアライアンス企業連合による複合企業アクセラレータプログラムは世界中でもまだ新しい取り組みであり、このアクセラレータプログラムもbatch1の最中のことですが、ここからどのようなイノベーションが生まれるか楽しみです。Manny氏曰く、同じ業界のアライアンス企業連合による取り組みについて、当初は競争関係などを心配していたそうですが、新たなイノベーションの種を一緒に見つけていこうという気運のほうが高く、関係も良好でこれからの創造できない化学反応に期待しているとのこと。広い意味ではオープンイノベーションの新しい形とも呼べるDIT Startupの複合企業アクセラレータプログラムの取り組みからどんな革新が生まれるか、引き続き注目していきます。

弊社では今後も海外のスタートアップコミュニティーに関するトレンドや情報をお届けして参ります。本記事、またその他お問い合わせがございましたら、ぜひこちらからお気軽にご連絡ください!

エンターテイメント領域のアクセラレータプログラム

今回は台湾にて複合企業アクセラレータプログラムを展開するDIT Startupを紹介していきます。

Appworksやgarage+などのインキュベーション施設は台北市内にあるのに対し、台北市内から車を走らせること30分、DIT Startupの拠点は新北市・新店というエリアの真ん中にあります。大きな川に面し、近くには烏来などの観光地も多く、週末は多くの観光客がボートに乗りに来るような快適な場所です。

「台湾メーカーHTCの本社のすぐそばにあるため関連する外国企業なども多く訪れ、関連するゲーム企業の1社も入居しているビルのワンフロアが我々の拠点なんです。」お話をお伺いしたのは、DIT Startupsの育成事業部のディレクターを務めるManny Li氏。Manny氏は以前はゲームやエンターテイメント領域のアナリストをしながら、業界の記事を書いたり、若手クリエーターを集めたイベントをして独自のコミュニティを形成してきました。そんな彼がDIT Startupsにジョインしたのが今年1月。CEOであるRosa氏に誘われ、Rosa氏の持つエンターテイメントやゲーム業界の重鎮たちとのネットワークと、自身の持つ若手クリエーターのネットワークを掛け合わせれば面白い化学反応があるのではないかと考え、ジョインを決めたといいます。

Manny氏によると、DITとはDo It ! Team up !の略であり、数年前に設立され関連するゲームやエンターテイメント領域へのベンチャー投資を行ってきました。今年からはエンターテイメント領域に特化したアクセラレータプログラムを開始し、現在は12チームが参加する3か月間のbatch1の最中です。「IoTやヘルスケアに特化したインキュベーションやアクセラレーションのプログラムは台湾にもいくつか存在するが競争も激しいため、我々は他が注力していないエンターテイメント領域にフォーカスしているんです。」とManny氏は話します。メンター陣もCEOのRosa氏やManny氏の人脈で、アライアンス企業連合や業界のメンバーを中心に30-40名が在籍し、予約制の週次でのオフィスアワーを行っています。また、オフィスアワーとは別に週次の座学のカリキュラムがあり、3か月のプログラム期間の半分はプロダクト開発、残りの半分はマーケティングを、アライアンス企業連合の第一線で活躍している方々をお招きして開催しているとのこと。Batch1の大半はゲーム及びエンターテイメント領域においてBtoC事業を行っています。

複数のアライアンス企業による複合企業アクセラレータプログラム

さらに、DIT Startupの取り組みは、エンターテイメント領域にフォーカスしていることの他に、もうひとつ特徴的な要素があります。それは、DIT Startupが7つのアライアンス企業連合の投資によって設立・運用されていることです。そのうち5社は台湾での中堅ゲーム企業であるgamania社をはじめとするゲームやエンターテイメントで構成され、残りの2社は不動産・投資企業とのこと。また、不動産・投資企業がアライアンス企業連合にいることもあり、DIT Startupが入居するビルの2階にはカフェも併設されており、DIT CafeとしてDIT Startupの傘下で経営しています。

「DIT CaféはDIT Startupの収益源となっており、そこでの収益をアクセラレータプログラムに回しています。ちょっとした打ち合わせや大きなイベントなどを行う場合にはDIT Cafeを使っています。」今回の取材もDIT Cafeで行われました。

また、DIT Startupがこれらアライアンス企業連合により運営されている結果、アクセラレータプログラム後の展開として、
1.アライアンス企業連合とのIP(知的財産)やコンテンツ面など含むコラボレーション
2.最終的なアライアンス企業連合とのM&Aによるイグジット
も想定しているとのこと。これらの展開はこれからとのことですが、その前段として既に、毎週のクローズドな交流イベントを通じて、アライアンス企業連合の経営陣とアクセラレータプログラム参加企業との交流により、双方に刺激が生まれているそうです。Demo dayもクローズドでアライアンス企業連合向けのみに行われるとのこと。

最後に

いかがでしたでしょうか。関連するアライアンス企業連合による複合企業アクセラレータプログラムは世界中でもまだ新しい取り組みであり、このアクセラレータプログラムもbatch1の最中のことですが、ここからどのようなイノベーションが生まれるか楽しみです。Manny氏曰く、同じ業界のアライアンス企業連合による取り組みについて、当初は競争関係などを心配していたそうですが、新たなイノベーションの種を一緒に見つけていこうという気運のほうが高く、関係も良好でこれからの創造できない化学反応に期待しているとのこと。広い意味ではオープンイノベーションの新しい形とも呼べるDIT Startupの複合企業アクセラレータプログラムの取り組みからどんな革新が生まれるか、引き続き注目していきます。

弊社では今後も海外のスタートアップコミュニティーに関するトレンドや情報をお届けして参ります。本記事、またその他お問い合わせがございましたら、ぜひこちらからお気軽にご連絡ください!